下野です。

今回で第四回目となる
『万病回春』「巻之一 万金一統の述」の記事に参ります。


【原文】
手太陰肺経也。
本臓経絡、起中府穴、終少商穴、傳手陽明大腸経。
手陽明大腸経也。
起商陽穴、終迎香穴、傳足陽明胃経。
手少陰心経也。
起極泉穴、終少衝穴、傳手太陽小腸経。
手太陽小腸経也。
起少沢穴、終聴宮穴、注足太陽膀胱経。
手厥陰心包絡也。
起天地穴、終中衝穴、傳手少陽三焦経。
手少陽三焦経也。
起関衝穴、終耳門穴、出足少陽胆経。

足太陽膀胱経也。
起晴明穴、終至陰穴、注足少陰腎経。
足少陰腎経也。
起湧泉穴、終腧府穴、傳手厥陰心包絡経。
足少陽胆経也。
起瞳子髎穴、終竅陰穴、傳足厥陰肝経。
足厥陰肝経也。
起大敦穴、終期門穴、復傳手太陰肺経。
足陽明胃経也。
起頭維穴、終厲兌穴、傳足太陰脾経。
足太陰脾経也。
起隠白穴、終大包穴、傳手少陰心経。

頭者、諸陽之会也。
鼻者属肺、鼻和則知香臭也。
目者属肝、目和則知黒白也。
口者属脾、口和則知穀味也。
舌者属心、舌和則知五味也。
耳者属腎、耳和則知五音也。

肺開竅於鼻也。
心開竅於舌也。
脾開竅於口也。
肝開竅於目也。
腎開竅於耳也。

歯者腎之標、骨之余也。
髪者属心、禀火気也。
髭者属腎、禀水気也。
眉者属肝、禀木気也。
毛者属肺、禀金気也。

<第五に続く>


【現代語訳・解説】
手の太陰は肺経である。
中府穴に起こって少商穴に終わり、手の陽明大腸経に伝わる。
手の陽明は大腸経である。
商陽穴に起こって迎香穴に終わり、足の陽明胃経に伝わる。
手の少陰は心経である。
極泉穴に起こって少衝穴に終わり、手の太陽小腸経に伝わる。
手の太陽は小腸経である。
少沢穴に起こって聴宮穴に終わり、足の太陽膀胱経に注ぐ。
手の厥陰は心包絡である。
天池穴に起こって中衝穴に終わり、手の少陽三焦経に伝わる。
手の少陽は三焦経である。
関衝穴に起こって耳門穴に終わり、足の少陽胆経に出る。

足の太陽は膀胱経である。
晴明穴に起こって至陰穴に終わり、足の少陰腎経に注ぐ。
足の少陰は腎経である。
湧泉穴に起こって腧府穴に終わり、手の厥陰心包絡に伝わる。
足の少陽は胆経である。
瞳子髎穴に起こり竅陰穴に終わり、足の厥陰肝経に伝わる。
足の厥陰は肝経である。
大敦穴に起こって期門穴に終わり、再度 手の太陰肺経に伝わる。
足の陽明は胃経である。
頭維穴に起こって厲兌穴に終わり、足の太陰脾経に伝わる。
足の太陰は脾経である。
隠白穴に起こって大包穴に終わり、手の少陰心経に伝わる。

頭は諸陽(手足の三陽)が集まる場所である。
鼻は肺に属し、
肺の機能が調和していれば香臭を嗅ぎわけることが出来る。
目は肝に属し、
肝の機能が調和していれば黒白(五色)を見分けることが出来る。
口は脾に属し、
脾の機能が調和していれば穀味を味わうことが出来る。
舌は心に属し、
心の機能が調和していれば五味の弁別が出来る。
耳は腎に属し、
腎の機能が調和していれば五音を聞き分けることが出来る。

肺は孔を鼻に、
心は孔を舌に、
脾は孔を口に、
肝は孔を鼻に、
腎は孔を耳に開く。

歯は腎の標であり、骨の余である。
髪は心に属し、火気を受ける。
髭は腎に属し、水気を受ける。
眉は肝に属し、木気を受ける。
皮毛は肺に属し、金気を受ける。

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ここでは十二経絡の流注、
臓腑の生理機能が書かれている。

また、東洋医学の書物には
「腎の状態は毛髪に現れる」といった表現があるが、
ここに書かれている
「髪者属心、禀火気也。」は
「髪は火気を受けるので(顔の)上に生える」を意味しているようで、
「髭は水気を受けるので(顔の)下、
眉は木気を受けるので横に生える」
とそれぞれ考えるようである。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『基礎中医学』 燎原書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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