阿是の穴は秘伝なり、
凡そ経穴三百六十ヶ所みな経の正道なり、
其絡穴にかかわらず三百六十穴の外、
痛む処を推て針灸を行うこれ阿是の穴なり。
前にも記すごとくこれを天応の穴とも散針とも云うなり、
しかれども猥りに行うべからず、
たとえば田を行くに道を行かずして田の阿是を行くこころなり、
道にあらねども田の中を行かずして阿是を行くがごとし、
経絡の外なれども妄にほどこすにはあらず、
道理を考え針灸をおこなうげし、
乱にほどこすときは人をなやます、
然るゆえに秘中の秘としてこれを忤さず、
初学の者のすることにあらず、
経絡を会得したる上にて阿是の術を行うときは奇効あり。

〜『鍼灸重宝記』より〜

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