脾胃は人体における重要な生理機構の一つであり、
脾臓・胃腑・肌肉・四肢・口・唇などで構成されている。
脾蔵は中焦の横隔膜の下、やや左側に位置する。

脾胃は気血を化生し、五臓六腑と体内外を潤して、
肌肉を満たし、四肢を壮健にするので
後天の本といわれる。
脾胃の機能としては、 受納機能と運化機能が最も重要である。
飲食物はまず胃に入り、胃ですりつぶされ分解されてから
腸に送られ、その精微物質は脾の運化機能によって
全身に配布される。
胃の受納機能とは、飲食物を摂取して消化し、さらに下降送付させる
機能である。
脾の運化作用とは水穀の精微物質の吸収、配布と水液の代謝などの
機能のことである。
脾胃が受納運化化生した水穀の精微のある部分は
脈中を循環し、営血と呼ばれる。
そして、脈外を巡るものを衛気といい、
体を温め体表を防衛する働きをする。

脾胃の受納運化機能は昇精と降濁の2種類の作用によって
成り立っている。
「昇」の機能は脾にあり、清陽を昇発させ、
水穀精微を上昇させて心肺に送り、そこから
他の臓器に転送させる。
「降」の機能は胃にあり、摂取した飲食物を分解して送り、
小腸で消化、吸収させる。
脾の昇精機能が働かなくなれば胃の降濁機能も作用せず、
反対に胃の降濁機能が作動しなければ脾の昇精機能も働かなくなる。
つまりどちらか一方が、もう一方の疾患の原因になるのである。

人体の五臓六腑の間の昇降運動は、互いに協力しあい、
制約しあいながら全体的な気機の活動を促している。


参考文献:

『中医弁証学』 東洋学術出版社

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