太陽の塔・黒い太陽
太陽の塔・黒い太陽

こんにちは、為沢です。
画像は太陽の塔の裏にあたります。
2014年度中に太陽の塔内部が一般公開されると以前ニュースを見たのですが、
耐震工事などの関係で遅れるかも?なんてニュースもあったりしますがどうなんでしょうか?
早く見てみたいです。


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百六十章と百六十一章。
百六十章では、何度も誤治を行った結果、
津・血が極度に虧損して痿証という変証になった場合について。
百六十一章では、心下痞鞕して噫気が絶えず
出るようになった場合の証治について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(下)百六十章

傷寒吐下後、發汗、虚煩、脉甚微、八九日心下痞鞕
脇下痛、氣上衝咽喉、眩冒、經脉動愓者、久而成痿。

和訓:
傷寒吐下の後、発汗、虚煩し、脉甚だ微に、八九日に心下痞鞕し
脇下痛み、気上りて咽喉を衝き、眩冒し、経脈動愓するものは、久しくして痿を成す。


傷寒吐下後、發汗、虚煩、脉甚微
傷寒時に誤って吐法・下法を行ったあと、
津液がひどく虚して脾胃が損傷した。
そして、さらに発汗法を行ったことで
心陽が虚して気分がイライラする煩が生じた。
発汗により経脈・津血が消耗し、
また陽気が発汗により身体外へ漏れ出るので脈微となる。

八九日心下痞鞕
8〜9日という日数は、誤治を行い日数が長いことを表し
正気が虚して邪が内陥し、気機が阻害され心下痞鞕になったのである。

脇下痛、氣上衝咽喉、眩冒
水飲が通常ではいかない方向へ動いたため脇下痛が起こり、
濁陰の気が水飲と同時に上逆することにより眩冒が起こっている。

經脉動愓者、久而成痿
陰陽がともに虚し、津血を損傷させ、また陽気が変化して生じる
メカニズムまでも失調させてしまったことにより
経脈は濡養を失い、筋肉は弛緩して萎え、意のままに動かなくなる。

提要:
何度も誤治を行った結果、津・血が極度に虧損して痿証という変証になった場合について。

訳:
傷寒の病を誤って催吐、攻下したあと、さらに発汗法を施したところ
虚煩が現れ、脈象は極めて微弱となった。八九日の頃には心下部が痞満して硬くなり
脇下は痛み、また咽喉に気が衝き上がってくる感じがして、めまいがあり、全身の経脈は跳動し
これが慢性に経過するとついに痿証となる。


百六十一章

傷寒發汗、若吐若下、解後、
心下痞鞕、噫氣不除者、施覆花代赭湯主之。方二十三。

施覆花三兩 人参二兩 生薑五兩
代赭一兩 甘草三兩、炙 半夏半升、洗 大棗十二枚、擘

右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、再煎取三升。溫服一升、日三服。

和訓:
傷寒発汗し、若しくは吐し若しくは下し、解して後、
心下痞鞕し、噫気除かざるものは、旋復代赭湯之を主る。
施復花三両   人参二両  生薑五両
代赭一両  甘草三両、炙る   半夏半升、洗う  大棗十二枚、擘く
右七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、再び煎じて三升を取る。一升を温服し、日に三服す。


傷寒發汗、若吐若下、解後、
心下痞鞕、噫氣不除者、施覆花代赭湯主之
傷寒証に発汗法、或いは吐法、下法を用いて表証が消失した。
しかしそのあと心下痞鞕が出現し、噫気が絶えず出る様になった。
これは病人の脾胃がもともと虚していたのであり、
表邪により誘発され発病したのである。
この場合、旋復代赭湯之で肝気の上逆を鎮め、胃を調えて痞を解いていけばよい。

旋復代赭湯

施復花(せんぷくか)
基原:
キク科のオグルマ、ホソバオグルマなどの頭花。

施復花は苦辛鹹・微温で、苦降辛散し鹹で軟堅消痰し
温で壅滞を宣発し、下気消痰・化噫止嘔・瀉肺通腸の効能をもつ。
痰壅気逆・痰結胸痞・喘咳痰多・胸脘水飲・嘔吐噫気などに有効である。

 

人参
人参

人参
基原:
ウコギ科のオタネニンジンの根。
加工調整法の違いにより種々の異なった生薬名を有する。

人参は甘・微苦・微温で中和の性を稟け、
脾肺の気を補い、生化の源である
脾気と一身の気を主る
肺気の充盈することにより、
一身の気を旺盛にし、
大補元気の効能をもつ。

元気が充盈すると、益血生津し安神し智恵を増すので、
生津止渇・安神益智にも働く。
それゆえ、虚労内傷に対する第一の要薬であり、
気血津液の不足すべてに使用でき、
脾気虚の倦怠無力・食少吐瀉、
肺気不足の気短喘促・脈虚自汗、
心神不安の失眠多夢・驚悸健忘、
津液虧耗の口乾消渇などに有効である。
また、すべての大病・久病・大吐瀉による
元気虚衰の虚極欲脱・脈微欲絶に対し、もっとも主要な薬物である。

 

 

生薑
生薑

生薑
基原:
ショウガ科のショウガの新鮮な根茎。
日本では、乾燥していない生のものを鮮姜、
乾燥したものを生姜を乾生姜ということもあるので注意が必要である。

生薑は辛・微温で肺に入り
発散風寒・祛痰止咳に、
脾胃に入り
温中祛湿・化飲寛中に働くので
風温感冒の頭痛鼻塞・痰多咳嗽および水湿痞満に用いる。
また、逆気を散じ嘔吐を止めるため、
「姜は嘔家の聖薬たり」といわれ
風寒感冒・水湿停中を問わず
胃寒気逆による悪心嘔吐に非常に有効である。

代赭石(たいしゃせき)
基原:
天然の赤鉄鉱(主成分は酸化第二鉄Fe2 O3)

代赭石は苦寒で重く、寒で瀉熱し重鎮で降逆し
肝・心の血分に入り、平肝清火・鎮逆降気・凉血止血の効能をもつ。
肝陽上亢の眩暈耳鳴、気逆下降の噫気・呃逆・嘔吐・反胃・痰喘気急、
血分有熱の吐衄下血・崩漏帯下などに有効である。

 

 

甘草
甘草

甘草
基原:
マメ科のウラルカンゾウ、

またはその他同属植物の根およびストロン。


甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、

甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・

清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。

そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。

また、薬性を調和し百毒を解すので、
熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると
寒性を緩めるなど薬性を緩和し薬味を矯正することができる。

ここでは甘緩和中と諸薬の調和に働く。

 

 

半夏
半夏

半夏
基原:
サトイモ科のカラスビシャクの
塊茎の外皮を除去して乾燥したもの。


半夏は辛散温燥し、水湿を行らせ逆気を下し、

水湿を除けば脾が健運して痰涎は消滅し、
逆気が下降すると
胃気が和して痞満嘔吐は止むので
燥湿化痰・和胃消痞・降逆止嘔の良薬である。

それゆえ、脾虚生痰の多痰、痰濁上擾の心悸・失眠・眩暈、

痰湿犯胃の悪心嘔吐・飲食呆滞・心下痞結にもっとも適する。

また、適当な配合を行えば、痰湿犯胃の咳喘・胃虚や胃熱の嘔吐・

痰湿入絡の痰核などにも使用できる。
このほか、行湿通腸するので老人虚秘にも効果がある。

生半夏を外用すると癰疽腫毒を消す。

 

 

大棗
大棗

大棗
基原:
クロウメモドキ科のナツメ。またはその品種の果実。

甘温で柔であり、補脾和胃と養営安神に働くので、

脾胃虚弱の食少便溏や営血不足の臓燥など心神不寧に使用する。

また薬性緩和にも働き、峻烈薬と同用して薬力を緩和にし、脾胃損傷を防止する。

ここでは、脾胃を補うとともに芍薬と協同して筋肉の緊張を緩和していく。
また、生薑との配合が多く、生薑は大棗によって刺激性が緩和され、

大棗は生薑によって気壅致脹の弊害がなくなり、

食欲を増加し消化を助け、大棗が営血を益して発汗による
傷労を防止し、
営衛を調和することができる。

提要:
心下痞鞕して噫気が絶えず出るようになった場合の証治について。

訳:
傷寒の病を発汗させ、或いは吐かせたり、
或いは下したりした結果
はじめの症状はとれたが心下部が痞満して硬くなり、
げっぷが続く場合は、旋復代赭湯で治療する。

施復花三両   人参二両  生薑五両  代赭一両
甘草三両、炙る 半夏半升、洗う 大棗十二個、裂く
右の七味を、一斗の水で、六升になるまで煮て、滓を除き、
三升になるまでさらに煎じる。一回一升を一日に三回温服する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

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是非参考文献を読んでみて下さい。

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