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こんにちは、大原です。
『経絡と指圧』という本の中に、
東洋医学で重要視する経絡けいらくの意義について
解説されているところがあります。

ちなみに、経絡けいらくとは経脈けいみゃく絡脈らくみゃくの総称で、
学校の教科書『新版 東洋医学概論』によると
経絡は、人体を海にたとえると海流のようなものであり、
血脈けつみゃくや三焦を内包した通り道であるといえる。
そこで本書では、
生理物質の運行および情報伝達の通り道が経絡であると定義する
とあり、人体内部のあらゆる生理物質の通路であるとされています。

しかし、この経絡とは
科学的には実際どのようなものなのか、
西洋医学における血管やリンパ管、神経の走行を指すのか、
など、いろいろな仮説が提唱されており、
経絡の正体が一体何かは
研究課題の一つとなっているようです。

さて、『経絡と指圧』という本の中で、
この経絡の正体を考える上で
重要なことが書かれています。
以下、部分的にその内容を抜粋していきます。

「経脈十二なるものは分肉の間を伏行して見えない」
というのは、我々(施療者)の認識能力にも関係してくるのである。
植物細胞に見られた原形質流動が、
動物細胞になると見にくくなるというのは

動的要素の加わることによって原始的形態は不分明になることであり、
生きている本質は、生きてゆくための構造を複雑にすればするほど
その影に隠れて見えにくくなるのである。
・・・(中略)・・・
(経絡は)脈管や筋骨の走行に経絡が一致し、
自律神経の働きと呼応するから、
自律神経の働きと呼応するから、
経絡はそれらの働きの総合に違いないと考えるのは
近代人のものの認識方法を端的に示しているのではなかろうか。

古人にとっては見えるものよりも、
見えないものの方が、
価値が高いという考えの方が自然だったのである。

陰陽思想は、表に現れて動きのある陽よりも、
蔭にかくれて静かで見えない陰の方がより根本的な存在だったのである。
物は形があって実質的で誰にもよく見えてわかる。
しかし心は形もなくつかみどころがなくて、
分かる人にしか見えない。
誰にでも見えるものではなくては信用できないから
一部の人しか認められないものは存在しないことに決めようと
愚かな科学者たちは団結した。
絵画の美しさが分からないから、
絵の値段で騒いでいるのと同じことではなかろうか。
・・・(中略)・・・
経絡の本態が生命そのものの働きである限り、
生命を証明するのと同様、困難なことである。
生命は見せるものではなくて、
生きている実感によって捉えられるものである。」

いくつか専門的な言葉もありますが、
ここでは経脈の重要な考え方と同時に、
現代のものの見方や考え方に対して、
目に見えるものだけがすべてであるという科学の姿勢を、
東洋医学で長年活躍されてきた医療人として
危惧されている考えが伝わってくると思います。

(冒頭の
経脈十二なるものは分肉の間を伏行して見えない
についての詳細は
過去のブログをご参照ください。
「過去記事:絡穴の場所」 )

この話の身近な例として、
スポーツで華々しく活躍する裏には
その選手の蔭の努力があったり、
また日常元気に過ごされている方も
夜はしっかり寝て休めているということが
土台にあるということだと思います。
将棋の鋭い一手にも多くの読みが必要です。

止まっているときがあるからこそ
動くときにしっかり動けるとも言え、
また、経脈をとらえる際には
このような蔭の部分も考えることが重要ということだと思います。

最近、西の空が綺麗に感じます。
最近、西の空が綺麗に感じます。(2020年4月7日 スマホにて)

■参考文献
『経絡と指圧』
『新版 東洋医学概論』 医道の日本社
興味がおありでしたら、ぜひ参考文献もお読みください。

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