<近日開催予定のイベント情報>
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こんにちは、大原です。
今回から、
「第9、周身五十周する営気、周天二十八宿と衛気の運行関係、漏刻による営衛気の所在」
に入ります。
(前回はこちら 第8、自然の四海と相応する人の四海との関係

この篇の内容は
『黄帝内経 霊枢』の、
主に五十営篇(第15)と衛気行篇(第76)の二つの篇から
抜粋し修正されている内容のようです。
今回は前半部分の
『霊枢』五十営篇(第15)から抜粋されている部分までを
みていきます。

<原文>
黄帝問曰
「五十營奈何?」
岐伯荅曰
「天周二十八宿、宿三十六分、人氣行一周千八分。
人經絡上下左右前後二十八脉、周身十六丈二尺、以應二十八宿、
漏水下百刻、以分晝夜。
故人一呼脉再動、氣行三寸、一吸脉亦再動、氣行三寸、呼吸定息、氣行六寸。
十息氣行六尺、日行二分。
二百七十息、氣行十六丈二尺、氣行交通于中、一周于身、下水二刻、日行二十分有奇。
五百四十息、氣行再周于身、下水四刻、日行四十分有奇。
二千七百息、氣行十周于身、下水二十刻、日行五宿二十分有奇。
一萬三千五百息、氣行五十營于身、水下百刻、日行二十八宿、漏水皆盡、脉已終矣。
所謂交通者、并行一數也。
故五十營備、得盡天地之壽矣、氣凡行八百一十丈也。

<読み>
黄帝問曰
「五十営いかん?」
岐伯答えて曰く
「天のめぐりは二十八宿、宿三十六分、人氣一周を行くは千八分。
人の経絡は上下左右前後、二十八脉なり、周身は十六丈二尺、以て二十八宿に応ず。
漏水下ること百刻、以て昼夜を分かつなり。
故に人は一呼に脉再動、氣行くこと三寸、一吸に脉また再動し、氣行くこと三寸、呼吸定息に、氣行くこと六寸。
十息にして氣行くこと六尺、日は行くこと二分なり。
二百七十息に氣行くこと十六丈二尺、氣行き中を交通し、身を一周す、水下ること二刻、日は行くこと二十分奇有り。
五百四十息に、氣行き身を再周す、水下ること四刻、日行くこと四十分奇有り。
二千七百息には、氣行くこと身を十周し、水下ること二十刻、日行くこと五宿二十分奇有り。
一万三千五百息に、氣行くこと身を五十営す、水下ること百刻、日行くこと二十八宿、漏水皆尽き脉すでに終るなり。
いわゆる交通なる者、ならび行くことの一数なり。
故に五十営にしてつぶさに、天地の寿を尽くすを得るなり、氣およそ行くこと八百一十丈なり。

<意味>
黄帝が申すには
「経脈の氣が人体内にあって五十周を運行する状態はどんなものであるか?」
岐伯がお答え申し上げるには
「天体の運行して二十八宿を環周するに、それぞれの星宿は三十六分の距離ずつ離れており、
人体の経脈の氣の運行一昼一夜は、天体の運転日を行くこと千八分に相当します。

(「二十八宿」とは:
二十八宿とは古代における天文学の名称、周点の星を分けて四方に各七宿とする。
天体の運行は二十八宿の間を周る。)

人の経絡は人体中に分布して上下左右前後にあり、
合計二十八脉で全身を循転一周するのであります。
氣の行くこと合計十六丈二尺もって二十八宿に対応するものであります。
またこれは銅壺滴漏れを用いて漏水を下しその水量を知って時計を計るという、
いわゆる水時計の百刻をもって一日とし、
それによって昼夜を分かつものであります。
一般に、人は一呼に脈は二動し氣は三寸行き、
一吸に脉はまた二動し氣もまた三寸行きます。
従って安定した一呼吸の間には、氣は六寸行き、十息では氣の行くこと六尺、
かくして二七息には氣の行くこと一丈六尺二寸、
この間に太陽が進むこと二分、
二百七十息では氣行くこと十六丈二尺、
この間においては、氣は上下交流し経脈の中を貫通して全身を一周するわけです。
それはまさに漏水下注二刻に当たるもので、太陽の行くこと二十分あまりとなります。

五百四十息では、氣は全身を二周することになり、
その時間では漏水の下注では四刻となり、

太陽の行くこと四十分あまりとなります。
二千七百息では、氣は全身を十周し、
漏水の下注では二十刻、太陽の行くこと五宿二十分あまりとなります。

一万三千五百息には、氣は全身を五十周し、
漏水の下注では百刻、太陽の行くことは二十八宿となり、

百刻の漏水は皆滴尽し経脉の氣もまた五十周を走り終えることになるのです。

いわゆる交通とは一周(二十八脈)を運行運行することです。
営気が五十周流れれば天地から与えられた寿命を全うでき、
営気はおよそ一日に八百十丈流れます。

営気は一日に五十周し五蔵の精を営養します。
この法則にあてはまらないものは狂生といいます。
五十周の営気により五蔵は皆営気を受けることができるのです。

<解説>
いろいろな数の単位が出てきてややこしいと思いますが、
単純に、時間と距離や回数の掛け算が行われています。
1日を単位としてまとめますと、以下のようになります。

<1日あたりの、進む距離や回数>
・星座:28宿×36分=1008分
(天体の28の星が同じ間隔にあり、星と星との距離がそれぞれ36分。)
・水時計:100を刻む
・呼吸:13500息(回)
・営気:人体(全身=28脈=16丈2尺)を50周(810丈)
(一呼吸で営気は6寸進むことから、6寸×13500=810丈となります。
また、28脈とは、12経脈×2(左右)と、任脈、督脈、陽蹻脈、陰蹻脈を
合計したものということです。

・・・ですが、ここまで書いて疑問が出ました。
陽蹻脈と陰蹻脈も左右あるので、合計30脈になりますので
数が合わないと思います・・・。
奇経だと数え方が違ってくるのでしょうか?
誰か教えてください。)

続きます。


参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍

興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。

いつも参考にさせて頂いてます。

 

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