鯉のぼり
鯉のぼり

下野です。
今回は『諸病の主薬』の記事になります。


【原文】
不寐、須用酸棗仁、為主。
頭左痛、須用芎帰、為主。
頭右痛、須用参耆、為主。
頭風痛、須用藁本、白芷、為主。
諸頭痛、須用蔓荊子、為主。

<第二十一に続く>


【解説】
不眠には酸棗仁を使用すべし。

頭の左が痛むのは、芎帰を使用すべし。

頭の右が痛むのは、参耆を使用すべし。

頭風痛には、藁本、白芷を使用すべし。

諸々の頭痛には、蔓荊子を使用すべし。

———————————————————————————
酸棗仁さんそうにん

酸棗仁『中医臨床のための中薬学』より
酸棗仁『中医臨床のための中薬学』より

サネブトナツメの成熟種子。
性味:甘・酸・平
帰経:心・肝・胆・脾
効能:
①補肝寧神
・血不養肝や虚火による焦躁や不眠、動悸などに。
方剤例 → 酸棗仁湯・天王補心丹・補肝湯。
・心脾両虚の健忘や浅眠、疲れやすい、無気力などに。
方剤例 → 帰脾湯。

②収斂止汗
・虚証の多汗に。

川芎せんきゅう

川芎
川芎

セリ科のマルバトウ属植物の根茎。原名は芎藭。
性味:辛・温
帰経:肝・心包・胆
効能:
①活血行気
・気血瘀滞による月経不順・無月経・月経痛など。
方剤例 → 四物湯。
・肝鬱気滞・血瘀の胸脇痛。
方剤例 → 柴胡疏肝散。
・瘀血痺阻心脈による挟心痛。
方剤例 → 冠心Ⅱ号。
・火毒壅盛の気滞血瘀による皮膚化膿症など。
方剤例 → 透膿散。
・打撲外傷による内出血の腫脹・疼痛。

②祛風止痛
・風寒の頭痛に。
方剤例 → 川芎茶調散。
・風熱の頭痛に。
方剤例 → 川芎散。
・風湿の頭痛に。
方剤例 → 羌活勝湿湯。
・血虚の頭痛に。
方剤例 → 加味四物湯。
・風寒湿痺の関節痛に。
方剤例 → 三痺湯。

当帰とうき

当帰
当帰

セリ科の根をいう。
根頭部を帰頭、主根部を当帰身、支根を当帰尾、
帰身と帰尾を含めて全当帰という。
性味:甘・辛・苦・温
帰経:心・肝・脾
効能:
①補血調経
・血虚による顔色につやがない・頭のふらつき・眩暈・目がかすむ・動悸・月経不順などに。
方剤例 → 四物湯。
・大出血のあと、あるいは気虚をともなうときに。
方剤例 → 当帰補血湯。
・虚寒の腹痛・冷えなどをともなうときもに。
方剤例 → 当帰生姜羊肉湯。

②活血行気・止痛
・気滞血瘀の疼痛・腹腔内腫瘤などに。
方剤例 → 膈下逐瘀湯。
・打撲外傷による腫脹・疼痛に。
方剤例 → 活絡効霊丹。
・痺証のしびれ痛みにも。
・癰疽瘡瘍にも。

③潤腸通便
・腸燥便秘に。
方剤例 → 潤腸丸。

◉人参

人参
人参

ウコギ科のオタネニンジンの根。
性味:甘・微温・微苦
帰経:肺・脾
効能
①補気固脱
・大病・久病・大出血・激しい吐瀉などで
元気が虚衰して生じるショック状態で脈が微を呈するときに。
・亡陽で四肢の冷え・自汗などを呈するときに。
方剤例 → 参附湯。

②補脾気
・脾気虚による元気がない・疲れやすい・食欲不振・四肢無力・泥状〜水様便などの症候に。
・気虚下陥による内臓下垂・子宮下垂・脱肛・慢性の下痢などの症候に。
方剤例 → 補中益気湯。
・気虚下陥
元気がない・疲れやすい・動くと息切れがする・
四肢がだるく無力・立ちくらみ・頭痛・眩暈などに。
・気虚発熱
発熱・体の熱感・自汗・悪風・口渇があり熱い飲食を欲する・息切れ・元気がない。

③益肺気
肺気虚による呼吸困難・咳嗽・息切れ(動くと憎悪する)・自汗などの症候に。
方剤例 → 人参蛤蚧散。

④生津止渇
・熱性の気津両傷で高熱・口渇・多汗・元気がない・脈が大で無力などに。
・気津両傷による元気がない・息切れ・口渇・皮膚の乾燥・脈が細で無力などに。
方剤例 → 加減復脈湯。
・消渇証の口渇・多尿に。

⑤安神益智
・気血不足による心神不安の不眠・動悸・健忘・不安感などに。

⑥その他
血虚に対し補血薬と用いて益気生血し、
陽虚に対し補陽薬と使用して益気壮陽し、
補血・壮陽の効果を強める。
正虚の表証や裏実正虚に、
解表薬や攻裏薬とともに少量を使用する。

黄耆おうぎ

黄耆
黄耆

マメ科のキバナオウギ、ナイモウオウギの根。
性味:甘、温
帰経:脾・肺
効能
①補気昇陽
・脾肺気虚で元気がない・易疲労・食欲不振など。
方剤例 → 参耆膏。

②補気摂血
・気不摂血による血便・不正性器出血など。
方剤例 → 帰脾湯。

③補気行滞
・血痺による肢体の痺れ・運動障害・半身不随など。
方剤例 → 黄耆桂枝五物湯。

④固表止汗
・表虚の自汗・盗汗など。
方剤例 → 玉屏風散。

⑤托瘡生肌
・気血不足による皮膚化膿症の化膿が遅い・潰瘍を形成するなど。
方剤例 → 黄耆内托散・帰耆建中湯など。

⑥利水消腫
・気虚の水湿不運による浮腫・尿量減少など。
方剤例 → 防已黄耆湯。

藁本こうほん

藁本『中医臨床のための中薬学』より
藁本『中医臨床のための中薬学』より

中国産はセリ科のカサモチの根部。
日本産はセリ科のヤブニンジンの根部。
性味:辛・温
帰経:膀胱
効能
①散寒解表
・風寒表証の頭痛、悪寒などに。
方剤例 → 羗活防風湯。

②祛風勝湿・止痛
・風寒や風湿による頭痛や関節痛に。
方剤例 → 羗活勝湿湯。
・副鼻腔炎による頭痛に。
方剤例 → 辛夷散。

白芷びゃくし

白芷『中医臨床のための中薬学』より
白芷『中医臨床のための中薬学』より

セリ科のヨロイグサなどの根。
性味:辛・温
帰経:胃・大腸・肺
効能
①散寒解表
・風寒による感冒で、額の痛みを伴う時に。
方剤例 → 九味羗活湯

②祛風止痛
・風寒による頭痛に。
方剤例 → 川芎茶調散・清上蠲痛湯。
・風熱による頭痛。
方剤例 → 清上防風湯。
・副鼻腔炎による額の痛み。
方剤例 → 蒼耳散。

③消腫排膿
・皮膚化膿症に用いる。
方剤例 → 仙方活命飲。

蔓荊子まんけいし

蔓荊子『中医臨床のための中薬学』より
蔓荊子『中医臨床のための中薬学』より

クマツヅラ科のハマゴウ、
ミツバハマゴウの成熟した果実。
性味:辛・苦・微寒
帰経:膀胱・肝・胃
効能
①疏散風熱・清頭目・止痛
・風邪・風熱の頭痛や眩暈に。
方剤例 → 羗活防風湯・菊芎飲。
・風熱による目の充血に。
・風火の歯痛や歯茎の腫れや痛みに。

②祛風除湿
・風湿痺の関節痛や筋肉の引き攣りに。
方剤例 → 羗活勝湿湯。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『鍼灸医学事典』 医道の日本社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here