こんにちは、為沢です。

個人的なことですが、今年になってSF映画にハマってしまい
S・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」のような浮遊感のある映画や
「ガタカ」や「コンタクト」といった映画も大好きで
宇宙ものを漁って観ていると、天文学に興味を持ち
最近では本屋の天文学コーナーで、ずっと立ち読みしてます。

天文学の入門書として
「ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む」
という本を今読んでいるのですが、これがとても面白いんです。

ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む
ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む

ハッブル望遠鏡が捉えた神秘的な宇宙の写真とともに
ハッブル望遠鏡の打ち上げの苦難や、星の成り立ち、太陽系の天体、
ブラックホール、なかには
ダークマター、ダークエネルギーなる正体不明のものまで紹介しております。
こういう妖しい専門用語を聞くとワクワクしませんか?
僕だけでしょうか(笑)
傷寒論と全く関係ない内容ですが、
今後も天文学について面白いものがあれば御紹介致します。

さて、今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(上)二十四章と二十五章。
二十四章では、桂枝湯を服用し反って煩するものの治療法について。
二十五章では、桂枝湯を服用させた後の
二つの異なった症状と治療について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(上)

二十四章

太陽病、初服桂枝湯、反煩不解者、
先刺風池、風府、却与桂枝湯則愈。十一。

和訓:
太陽病、初めて桂枝湯を服し、反って煩して解せざるものは
先ず風池、風府を刺し、却って桂枝湯を与うれば則ち愈ゆ。十一。


太陽病、初服桂枝湯、反煩不解者
太陽病を罹って桂枝湯を最初に服用させたが、
反って煩症を示すばかりで治らない者。
これは誤治ではなく、表邪が太陽経に凝結することによるもので、
薬の力だけでは流通させることができないため、煩症が表れている。

先刺風池、風府、却与桂枝湯則愈
先に風池と風府に鍼を刺し太陽の邪を排せば、
経絡中の風邪は取り除かれるため、
その後、桂枝湯を服して肌表を解いて治す。

経穴解説
風池
風池は、風邪がなかに入るところであり、
風をさがすための要穴であることから風池と命名された。
足の少陽胆経の経穴で手足の三陽、陽維脈、陽蹻脈、奇経八脈の会するところで、
本穴で疏風解表、太陽経気の宣通をはかる。

風府
督脈の経穴であり、督脈は陽気を調整する作用があり
外風を治し、また脳風を治し、上半身、とくに頭項部、脊背部の風邪を去る。
外感風寒、風熱の治療に用い、去風散邪解表の効がある。
傷寒は風府から起こるので、直接邪を治療することができる。

風池・風府どちらも陽維脈に関係する経穴で、
陽維脈は体表の衛気に直接関与し、体表の邪を取り除く働きがある。

提要
桂枝湯を服用し反って煩するものの治療法。


太陽病を罹って、桂枝湯の第一服目の一升服用したところ
病勢は衰えず、反って煩熱が現れるようであれば、
この場合まず風池穴と風府穴に鍼を刺し、
後に桂枝湯を引き続き服用させれば病は癒える。第十一法。

 

 


二十五章

服桂枝湯、大汗出、脉洪大者、与桂枝湯、如前法。
若形似瘧、一日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯。方十二。
桂枝一兩十七銖、去皮芍藥一兩、六銖 麻黄十六銖、去節
生薑
一兩六銖、切 杏仁十六箇、去皮尖 甘草一兩二銖、炙 大棗五枚、
右七味、以水五升、先煮麻黄一二沸、去上沫、
内諸藥、煮取二升、去滓、溫服一升、日再服。
本云、桂枝湯二分、麻黄湯一分、合爲二升、分再服。
今合爲一方、将息如前法。

臣億等謹按、桂枝湯方、桂枝、芍藥、生薑各三兩、
甘草二兩、大棗十二枚。麻黄湯方、麻黄三兩、桂枝二兩、甘草一兩、杏仁七十箇。
今以算法約之、桂枝湯取十二分之五、即得桂枝、
芍藥、生薑各一兩六銖、甘草二十銖、大棗五枚。
麻黄湯取九分之二、即得麻黄十六銖、桂枝十銖三分銖之二、収之得十一銖、
甘草五銖三分銖之一、収之得六銖、杏仁十五箇九分枚之四、収之得十六箇。
二湯所取相合、即共得桂枝一兩十七銖、麻黄十六銖、
生薑、芍藥各一兩六銖、甘草一兩二銖、大棗五枚、杏仁十六箇、合方。

和訓:
桂枝湯を服し、大いに汗出で、
脉洪大なるものは、桂枝湯を与うること、前法の如し。
若し形瘧に似て、一日に再発するものは、汗出でて必ず解す。
桂枝二麻黄一湯に宜し。方十二。
桂枝一兩十七銖、皮を去る 芍藥一兩、六銖 麻黄十六銖、節を去る 生薑一兩六銖、切る
杏仁十六箇、皮尖を去る 甘草一兩二銖、炙る 大棗五枚、擘く

右七味、水五升を以て、先ず麻黄を煮ること一二沸、上沫を去り、諸藥を入れ、
煮て二升を取り、滓を去り、一升を溫服し、日に再服す。
本に云う、桂枝湯二分、麻黄湯一分、合わせて二升と爲し、分かちて再服す。
今合せて一方と爲し、将息は前法の如しと。

臣億ら謹んで按ずるに、桂枝湯方、桂枝、芍藥、
生薑各三兩、甘草二兩、大棗十二枚。麻黄湯方、麻黄三兩、桂枝二兩、甘草一兩、杏仁七十箇。
今算法を以て之を約するに、桂枝湯は十二分の五を取り、
即ち得るは桂枝、芍藥、生薑各一兩六銖、甘草二十銖、大棗五枚。
麻黄湯は九分の二を取り、即ち得るは麻黄十六銖、桂枝十銖三分の二銖、之を収めて十一銖を得、
甘草五銖三分銖の一、之を収めて六銖を得、杏仁十五箇九分枚の四、之を収めて十六箇を得。
二湯の取りたる所相合わせ、即ち共で桂枝一兩十七銖、
麻黄十六銖、生薑、芍藥各一兩六銖、甘草一兩二銖、大棗五枚、杏仁十六箇を得、合方す。


桂枝湯、大汗出、脉洪大者、与桂枝湯、如前法
桂枝湯で発汗させる場合は「小しく汗を発する」のが適当であるが
大いに汗をかかせてしまった。また、脉洪大の脉象は陽明の熱象である。
しかし煩渇のような裏熱証がみられなければ、病邪は表にあるため
桂枝湯を再び用いて発汗解表させて良い。

若形似瘧、一日再発者、汗出必解、宜桂枝二麻黄一湯
桂枝湯を服用させた後、熱が一日二回ほど瘧のような出方をする場合は、
発汗したが小邪がなお肌表に鬱滞して解さないためである。
もう一度発汗が必要だが、既に一度発汗させているので少しだけ発汗させる。
桂枝二麻黄一湯(桂枝湯剤の十二分の五、麻黄湯剤の九分の二を合わせたもの)を用いて
発汗過多にならないように処方するのが良い。
二十三章にも「一日二三度發…瘧に似た発作が一日に二〜三回発する。」
→桂枝麻黄各半湯とあるが
それよりも軽い症状であるため、桂枝二麻黄一湯を用いる。)

提要
桂枝湯を服用させた後の二つの異なった症状と治療について。


桂枝湯を服用したあと汗が出過ぎて、
そして脉象が洪大であれば、まだ桂枝湯をさせてよく、服用法は前と同じ。
もし瘧疾のような発熱悪寒が現れ、
これが一日に二度おこる場合は、発汗させるだけで癒え、
桂枝二麻黄一湯で治療することができる。
処方を記載。第十二法。
桂枝
一両十七銖、皮を除く 芍薬一両六銖 麻黄十六銖、節を除く 生姜一両六銖、切る
杏仁十六箇、皮尖を除く 甘草一両二銖、炙る 大棗五枚、裂く
右の七味は、五升の水で、まず麻黄を少し煮て、浮かんだ泡を取り除き、残りの諸藥を入れ、
二升になるまで煮て、滓を除き、一升を溫服し、一日に二回服用する。
別本には、桂枝湯二分に対し、麻黄湯一分を、合わせて二升としたものを、二回に分けて服用する。
今合せて一つの処方とするが、療養法は前法に倣うこととある。

臣億らが謹んで考察するには、桂枝湯方は、
桂枝、芍藥、生薑が各三両
、甘草二兩、大棗十二個であり、
麻黄湯方は、麻黄三両、桂枝二両、甘草一両、杏仁七十個である。
今計算によって数を求めると、桂枝湯を十二分の五にすると、
桂枝、芍藥、生薑は各一両六銖で、甘草二十銖、大棗五個である。
麻黄湯を九分の二にすると、麻黄十六銖、桂枝は十銖と三分の二銖で、これを十一銖とみなし、
甘草は五銖と三分の一銖、これを六銖とみなし、
杏仁は十五個と九分の四個で、十六個とみなす。
二湯を前記の量ずつ合わせると、桂枝一両十七銖、
麻黄十六銖、生薑、芍藥各一両六銖、甘草一両二銖、大棗五個、杏仁十六個となる。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『臨床経穴学』
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』 績文堂
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社為沢

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