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こんにちは、北野です。
前回に続き肺の臓腑弁証について
書いていきたいと思います。

《3》風寒束肺証

【臨床所見】
咳嗽、痰は希薄で白、鼻閉、鼻汁は水様
軽い悪寒発熱、無汗、舌苔白、脈緊浮

【証候分析】

①咳嗽、痰は希薄で白:
風寒の邪により、肺の宣発機能が制約され、
気逆するために起こる。
また寒邪のために痰は希薄で白い

②鼻閉、鼻汁は水様:
肺は鼻の竅であり、肺気が失宣すると
鼻竅の通りが悪くなるためにおこる。

③悪寒発熱、無汗:
風寒の邪が肺衛を犯し、衛気が抑えつけられると悪寒がおこり、
正気が邪気と抗争すると発熱がおこる。
また、肺気不宣のため、毛竅が閉塞して無汗となる

舌苔には著名な変化がない
邪がまだ内に伝わっていないためである。

⑤脈浮緊:
風寒の邪を感受した象

風寒束肺証風寒表証の弁証の要点

風寒束肺証
肺気不宣による咳嗽が主症であり、さらに風寒表証をともなう。
一般には表証は軽く、表証がほとんど現れない場合もある。

風寒表証
悪寒発熱が主症であり、咳嗽は随伴症状として現れる。
咳嗽のおこらないものある。

風寒束肺証には宣肺止咳で、風寒表証には散寒解表を治法とする。

【治療】
治 法:宣肺止咳
治療穴:手太陰経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。灸法も可。

《4》痰湿阻肺証

【臨床所見】
咳嗽、痰は多く粘調、痰の色は白く喀出しやすい、胸悶、
ひどい場合には気喘、痰鳴がおこる、舌質淡、舌苔白膩、脈滑。

【証候分析】

肺は「貯痰の器」といわれ、痰飲の邪に侵されやすい。
寒湿が肺に侵襲するか、または脾虚により生じた内湿が肺に貯留して、
肺の宣粛機能を傷害すると、肺の通調水道が失調して
水液が肺に停留し痰湿となる。喀痰の量が多いのが特徴である

①咳嗽、痰は多く粘調、痰の色は白く喀出しやすい:
痰湿のために、宣降機能が失調し
肺気上逆するために咳嗽がおこる

②胸悶、気喘、痰鳴:
痰湿が気道に阻滞し、肺気不利となっておこる。

③舌質淡、舌苔白膩、脈滑:
痰湿内停の象

【治療】
治 法:利湿去痰
治療穴:手太陰経、足太陰経、足陽明経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。灸法も可。

《5》風熱犯肺証

【臨床所見】
咳嗽、痰は粘調で黄色い、鼻閉、鼻汁は黄色く粘調、
身熱、軽い悪風悪寒、口乾、咽痛、舌尖、舌苔薄黄、脈浮数
【証候分析】

①咳嗽:
風熱が肺を犯し、肺の粛降機能が失調しておこる。

②痰は鼻汁粘調で黄色い:
風熱が液に作用すると黄色く粘調になる。

③鼻閉:
風熱が肺を犯し、肺の宣散機能が失調すると、
鼻竅不利となるためにおこる。

④発熱、軽い悪寒発熱:
肺衛が邪を受け、衛気が邪気と抗争すると、発熱がおこる。
また衛気が抑えつけられると、悪風悪寒がおこる。

⑤咽痛:
咽喉は肺の門戸であり、
風熱が肺を犯すと咽喉不利にとなって咽痛がおこる。

⑥舌尖紅、舌苔薄黄:
舌尖部は、上焦の病を主っている。
上焦に位置する肺の熱を反映している

【治療】
治 法:宣肺清熱
治療穴:手太陰経、手陽明経穴を主に取る。
手 法:針にて瀉法を施す。一般的には灸法は用いない。

以上風寒束肺証、痰湿阻肺証、風熱犯肺証について
書かせて頂きました。


参考文献:

『針灸学 基礎篇』    東洋学術出版社
『中医病因病機学』    東洋学術出版社
『中医診断学ノート』   東洋学術出版社

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