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3月18日(日) :告知!第7回 鍼灸学生の為の勉強会

3月20日(火)19時〜 または 3月22日(木)13時〜
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どうも下野です。
引き続き肺の補瀉温涼の薬の内容となり、
今回は瀉薬に関してになります。


【原文】
肺臓補瀉温涼薬
瀉:
葶藶、防風、枳穀、檳榔、桑白皮、通草、沢瀉、琥珀、
赤茯苓、紫蘇葉、枳実、麻黄、杏仁、蘿蔔子。

<温薬に続く>


【現代語訳】
肺臓の補瀉温涼薬。
瀉す薬:
葶藶、防風、枳穀、檳榔、桑白皮、通草、沢瀉、琥珀、
赤茯苓、紫蘇葉、枳実、麻黄、杏仁、蘿蔔子。


【生薬】

葶藶子ていれきし

葶藶子
葶藶子

アブラナ科のクジラグサ、ヒメグンバイナズナなどの
成熟した種子。
性味:辛・苦・寒
帰経:肺・膀胱・大腸
効能:
①瀉肺平喘
・痰飲壅肺の咳嗽や呼吸困難、喘鳴などに。
方剤例 → 葶藶大棗瀉肺湯。

②行水消腫
・水飲停留腸間の腹水や腹満、口渇などに。
方剤例 → 已椒藶黄丸。
・結胸の胸水、便秘、尿量減少などに。
方剤例 → 大陥胸丸。

防風ぼうふう

防風『中医臨床のための中薬学』より
防風『中医臨床のための中薬学』より

セリ科のボウフウの根および根茎。
帰経:辛・甘・微温
性味:肝・脾・膀胱
効能:
①散風解表
・風寒表証の発熱・悪寒・頭痛・身体痛などの症候時に用いる。
方剤例 → 川芎茶調散。

②勝湿止痛
・風寒湿痺の関節痛・筋肉のひきつりに用いる。
方剤例 → 防風湯。

③祛風止痛
・破傷風など、外風による痙攣・ひきつりに用いる。
方剤例 → 玉真散。

枳穀きこく

枳穀『中医臨床のための中薬学』より
枳穀『中医臨床のための中薬学』より

ミカン科のダイダイ、イチャンレモンの成熟果実。
性味・帰経・効能は
枳実と同じあるが、
作用が緩和で理気寛中や
胸腹の気滞による痛みに適す。
日本産では夏代や温州ミカンがこれに当たる。

檳榔びんろう

檳榔『中医臨床のための中薬学』より
檳榔『中医臨床のための中薬学』より

ヤシ科の檳榔樹の成熟した種。
性味:苦・辛・温
帰経:胃・大腸
効能:
①行気消積・瀉下
・食積気滞の腹満や腹痛、便秘等に。
方剤例 → 木香檳榔丸。
・湿熱下痢のテネスムスに。
方剤例 → 芍薬湯。

②利水消腫
・脚気の腫脹や痛みに。
方剤例 → 鶏鳴散・九味檳榔湯。
・実証の水腫に。

③殺虫
・線虫や回虫の虫積に。

④その他
・マラリア等に。

桑白皮そうはくひ(桑皮)

桑白皮『中医臨床のための中薬学』より
桑白皮『中医臨床のための中薬学』より

クワ科カラグワのコルク層を除去した根皮。
性味:甘・寒
帰経:肺
効能:
①瀉肺平喘
・肺熱の咳嗽や呼吸困難などに。
方剤例 → 瀉白散・五虎湯。

②利水消腫
・肺気壅実の浮腫や尿量の減少に。
方剤例 → 五皮散。

通草(つうそう)

通草『中医臨床のための中薬学』より
通草『中医臨床のための中薬学』より

ウコギ科カミヤツデの茎髄。
性味:甘・淡・寒
帰経:肺・胃
効能:
①清熱利水
・湿熱下注の排尿痛や排尿困難に。
方剤例 → 通草湯。
・湿温初期の悪寒、発熱、怠さなどに。
方剤例 → 三仁湯。

②通気下乳
・乳汁の分泌不全に。
方剤例 → 通乳湯。

沢瀉たくしゃ

沢瀉
沢瀉

オモダカ科のサジオモダカの皮を取り除いた茎。
性味:甘・淡・寒
帰経:腎・膀胱
効能:
①利水滲湿・泄熱
・水湿停滞の尿量減少や水腫、水様下痢などに。
方剤例 → 四苓散・五苓散。
・湿滞有熱に。
方剤例 → 猪苓湯。
・湿熱下注の排尿痛や排尿困難、尿の混濁に。
方剤例 → 五淋散。

②除痰飲
・痰飲停留のめまいに。
方剤例 → 沢瀉湯・半夏白朮天麻湯。

③その他
・腎火を泻す。
方剤例 → 六味地黄丸。

琥珀こはく

古代のカエデ、マツなどの樹脂が、
長期間地層に埋没して化石化したもの。
性味:甘・平
帰経:心・肝・肺・膀胱
効能:
①鎮驚安神
・心神不寧の動悸や不眠、不安感に。
方剤例 → 琥珀定志丸・琥珀多寐丸。
・癇癪、驚きや恐れ、小児驚風に。
方剤例 → 琥珀抱竜丸・琥珀寿星丸。

②行気散瘀
・血瘀気滞の無月経や腹腔内腫瘤に。
方剤例 → 琥珀散。

③利水通淋
・膀胱湿熱の排尿痛や排尿困難、血尿に。
方剤例 → 琥珀散。

茯苓ぶくりょう

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃
効能
①利水滲湿
・水湿停滞の尿量減少や浮腫に。
方剤例 → 四苓散・五苓散。

②健脾補中
・脾虚の食欲不振や元気がない、腹鳴、水様便などに。
方剤例 → 四君子湯・啓脾湯・参苓白朮散。
・脾虚の水湿停滞で悪心や嘔吐、めまいなどに。
方剤例 → 二陳湯・半夏白朮天麻湯・六君子湯・小半夏加茯苓湯。

③寧心安神
・心神不寧の不眠や動悸などに。
方剤例 → 帰脾湯・安神定志丸。

《附 赤茯苓》
マツホドの菌核で内側の肉部が淡紅色のもの。
効能
・滲利湿熱の効能があり、
湿熱下注の排尿痛や排尿困難に用いる。

◉紫蘇

紫蘇『中医臨床のための中薬学』より
紫蘇『中医臨床のための中薬学』より

シソ科のシソ。
また、近縁植物の葉。
性味:辛・温
帰経:肺・脾・胃
効能:
①散寒解表
・風寒表証の頭痛・悪寒・発熱など。
方剤例 → 加味香蘇散。
・胸苦、痞え、食欲不振など。
方剤例 → 香蘇散。
・咳嗽、息苦しいなど。
方剤例 → 杏蘇散。

②理気寛中
・脾胃の気滞による腹満、嘔吐、悪心などに。
方剤例 → 霍香正気散。
・痰凝気滞の梅核気。
方剤例 → 半夏厚朴湯。

③行気安胎
・気滞、気鬱の胎動不安、悪阻に。
方剤例 → 黄連蘇葉湯、順気飲子。

④解魚蟹毒
・魚貝類の中毒による悪心、嘔吐など。

枳実きじつ

枳実
枳実

ミカン科のダイダイ、イチャンレモン、カラタチなどの幼果。
性味:苦・微寒
帰経:脾・胃・大腸
効能:
①破気消積
・調胃湿熱積滞の腹痛や便秘、或いは下痢などに。
方剤例 → 枳実導滞丸。
・熱結の便秘や腹満、腹痛に。
方剤例 → 大承気湯。
・気滞血瘀の腹痛や腹満などに。
方剤例 → 通導散・枳実芍薬散。

②化痰消痞
・胸脇の痰飲で胸が痞えて苦しいや呼吸促迫に。
方剤例 → 導痰湯・滌痰湯。
・痰濁阻滞胸陽の胸痛や胸の痞えなどに。
方剤例 → 枳実薤白桂枝湯。
・寒疑気滞の胃痛や上腹部の痞えに。
方剤例 → 橘皮枳実生姜湯。
・飲食停滞・脾胃不運の上腹部の痞えや腹痛、食欲不振に。
方剤例 → 枳実消痞丸・枳朮丸。

span style=”font-size: 18px;”>◉麻黄まおう

麻黄
麻黄

マオウ科のシナマオウなどの
同属植物の木質化していない地上茎。
性味:辛・微苦・温
帰経:肺・膀胱
効能:
①発汗解表
・外感風寒の悪寒や発熱、無汗、頭痛、関節痛などに。
方剤例 → 麻黄湯。

②宣肺平喘・止咳
・外邪による肺気不宣の呼吸困難、咳嗽に。
方剤例 → 三拗湯。
・寒飲の肺気不宣に。
方剤例 → 小青竜湯。
・壅熱による肺気不宣に。
方剤例 → 麻杏甘石湯・五虎湯・定喘湯。

③利水消腫
・表証を伴った水腫に。
方剤例 → 麻黄加朮湯・甘草麻黄湯。
・内熱の自汗や口乾、発熱などに。
方剤例 → 越婢湯・越婢加朮湯。
・裏寒の冷えや脈沈に。
方剤例 → 麻黄附子湯。

④その他
・遊走性の皮疹に。
・風寒湿痺の疼痛などに。
方剤例 → 陽和湯。

杏仁きょうにん

杏仁
杏仁

バラ科ホンアンズ、アンズの種子。
性味:苦・辛・温・小毒
帰経:肺・大腸
効能:
①止咳平喘
・外感や痰濁の実邪による咳嗽や呼吸困難に。
・風寒による喘咳や多痰に。
方剤例 → 杏蘇散・桂枝加厚朴杏仁湯。
・肺熱の喘嗽に。
方剤例 → 麻杏甘石湯・五虎湯。
・肺燥の喘咳に。
方剤例 → 桑杏湯。

②潤腸通便
・老人や産後血虚の腸燥便秘に。
方剤例 → 五仁丸・麻子仁丸・潤腸湯。

③その他
・肺気を宣通して水道通調する。
方剤例 → 三仁湯・杏仁滑石湯。

蘿蔔子らぶし

アブラナ科ダイコンの成熟種子。
性味:辛・甘・平
帰経:脾・胃・肺
効能:
①消食化積・行滞除脹
・食積気滞の腹満や曖気、呑酸、腹痛など。
方剤例 → 保和丸。
・湿をともなえば茯苓、熱なら連翹、脾虚なら白朮を加える。

②降気化痰
・多痰の咳嗽や呼吸困難に。
方剤例 → 三子養親湯。


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<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

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下野

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