下野です。

今回も薬性の歌ですが、
ここで紹介されている生薬は
全部で240種とされています。
今回の生薬を含めてもまだ40種。
まだまだ先は長いですが、
どうかお付き合い下さい。


【原文】
独活甘苦、頚項難舒、両足湿痺、諸風能除。
白芷辛温、陽明頭痛、風熱瘙癢、排膿通用。
藁本気温、除痛顛頂、寒湿可除、風邪可屏。
香附味甘、快気開鬱、止痛調経、更消宿食。
烏薬辛温、心腹脹痛、小便滑数、順気通用。

<第九に続く>


【解説】
独活は甘苦。
風寒在表による後頚部の症状や
両足湿痺に用いる。
また、祛風にも働く。

白芷は辛温。
陽明経の頭痛や風熱に用いる。
散風、除寒湿の効能もあり、
皮膚の瘙癢や排膿にも働く。

藁本は温。
風寒湿による頭痛に効果がある。

香附の味は甘。
理気解鬱に働き、
経絡を調え、止痛に効果がある。
更には宿食をも消し去る。

烏薬は辛温。
寒凝気滞による下腹部の脹痛や、
膀胱虚冷の頻尿に用いる。
行気作用がある。

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◉独活

セリ科のシシウド。
その他同属植物の地下部。
性味:辛・苦・微温
帰経:肝・腎・膀胱
効能:
①祛風勝湿・止痛:
・風寒湿痺の痺れや痛みが下半身にある場合。
方剤例→独活寄生湯・三痺湯
・外感の風寒湿邪による頭痛、関節痛、悪寒など。
方剤例→荊防敗毒散・羗活勝湿湯
・頭痛や歯痛に。
方剤例→清上蠲痛湯

◉白芷

セリ科のヨロイグサなどの根。
性味:辛・温
帰経:胃・大腸・肺
効能:
①散寒解表:風寒による感冒で、額の痛みを伴う時に。
方剤例→九味羗活湯
②祛風止痛:
・風寒による頭痛に。
方剤例→川芎茶調散・清上蠲痛湯
・風熱による頭痛。
方剤例→清上防風湯
・副鼻腔炎による額の痛み。
方剤例→蒼耳散
③消腫排膿:
・皮膚化膿症に用いる。
方剤例→仙方活命飲

◉藁本

中国産はセリ科のカサモチの根部。
日本産はセリ科のヤブニンジンの根部。
性味:辛・温
帰経:膀胱
効能:
①散寒解表:風寒表証の頭痛、悪寒などに。
方剤例→羗活防風湯
②祛風勝湿・止痛:
・風寒や風湿による頭痛や関節痛に。
方剤例→羗活勝湿湯
・副鼻腔炎による頭痛に。
方剤例→辛夷散

◉香附

カヤツリグサ科のハマスゲの細根などを除いた根茎。
性味:辛・微苦・微甘・平
帰経:肝・三焦
効能:
①理気解鬱:
・肝鬱気滞による胸の脹痛、腹満、憂鬱など。
方剤例→柴胡疎肝散
・気、血、痰、湿、熱、食鬱による胸苦しい、嘔吐、消化不良などに。
方剤例→越鞠丸
・寒凝気滞による腹痛やお腹の張りに。
方剤例→良附丸
②調経止痛:肝鬱気滞による月経の乱れや痛みに。
方剤例→香附芎帰湯・艾附丸

◉烏薬

クスノキ科のテンダイウヤクの肥大した根部。
性味:辛・温
帰経:脾・肺・腎・膀胱
効能:
①行気散寒止痛:
・中寒気滞の腹痛や冷えに。
方剤例→烏沈湯・香烏散
・寒凝気滞の下腹部痛や冷え、疝気に。
方剤例→天台烏薬散
・寒鬱気逆の腹脹や痛み、呼吸困難などに。
方剤例→四磨湯
・気滞血瘀の腹痛、月経痛などに。
方剤例→烏薬湯・加味烏薬湯
②温腎縮尿:腎陽不足、膀胱虚冷の頻尿や遺尿に。
方剤例→縮泉丸


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野


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