茯苓
茯苓

張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁陽明病脈証并治 二百五十五章・二百五十六章。
二百五十五章では、陽明腑証の腹部膨満に対しては下法を行うこと。
二百五十六章では、脈象を根拠にした、
陽明と少陽の順逆について詳しく述べております。


二百五十五章

腹滿不減、減不足言、當下之、宜大承氣湯。三十九。

和訓:
腹満減せず、減ずるも言うに足らざるは、
当に之を下すべし。大承気湯に宜し。三十九。


腹滿不減、減不足言、當下之、宜大承氣湯
陽明腑証では腹部に膨満感が生じる。
それが完全に軽減しないのは、腸中に燥結し、
内に濁熱が停滞しているためである。
大承気湯証であるので下法を行う。

提要:
陽明腑証の腹部膨満に対しては下法を行うこと

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
腹部膨満が軽減せず、或いは軽減したといってもわずかであれば、
攻下して膨満を治療せねばならず、大承気湯を用いるとよい。第三十九法。


二百五十六章

陽明少陽合病、必不利、其脉不負者、順也。
負者、失也。互相剋賊、名爲負也。
脉滑而數者、有宿食也、當下之、宜大承氣湯。四十。

和訓:
陽明と少陽との合病、必ず不利し、
其の脉負ならざる者は、順と為すなり。
負とは、失うことなり。互いに相剋賊するは、名づけて負と為すなり。
脉滑にして数なるものは、宿食あるなり。当に之を下すべし。
大承気湯に宜し。四十。


陽明少陽合病、必不利、其脉不負者、順也
陽明腑証は胃実であるから、下痢はおこらないが
下痢が起こるということは、少陽の熱が陽明に迫り、
木剋土の状態となって、陽明と少陽の合病が出現する。

陽明の脈は大で、少陽の脈は弦である。
大脈を示していれば陽明の気が旺盛で、
土は木に剋されていないので、脈は負ではなく順である。

負者、失也。互相剋賊、名爲負也
木が土を剋していれば逆証であり、予後は不良である。
この相剋する脈象を負という。

脉滑而數者、有宿食也、當下之、宜大承氣湯
滑数が現れれば裏に宿食がある。
宿食と熱邪が凝結して熱結となり、
下痢が現れているのであるから、大承気湯で実熱を攻瀉するとよい。

提要:
脈象を根拠にした、陽明と少陽の順逆について。

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
陽明と少陽が同時に邪を感受して発病した場合、
必ず下痢が起こるが、もし相剋の関係にある脈象が出現しなければ
順正であり、相剋の関係にある脈象が出現すれば、逆証である。
いわゆる逆証とは、相剋関係が脈象に現れたものを指す。
もし脈象が滑で数ならば、内に宿食がある証拠で、
攻下しなければならず、大承気湯を用いるとよい。第四十法。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:為沢 画

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是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢


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