こんにちは下野です。

皆さん、初詣には行かれましたでしょうか?
僕は人混みが嫌だったので、
今年は一鍼堂から10分程度歩いた所にある神社に行ってきました。
住宅街の中にひっそりとある神社ですが、
一説によると某芸能事務所の創業家と関係があるようで、
芸能関係者もお参りにくるとか。
(実際、名前入りの石製の蝋燭立てがありました。)

標高が70㍍ということで眺望も良く、
また 梅の季節もおすすめとご近所の方にお伺いしましたので、
行ってみようと思います。

では『難経』の記事に参ります。


【原文】
「第四十四難」
四十四難曰、七衝門何在。

然。
唇為飛門、歯為戸門、会厭為吸門、胃為賁門、
太倉下口為幽門、大腸小腸会為闌門、
下極為魄門、故曰七衝門也。

「第四十五難」
四十五難曰、経言八会者、何也。

然。
府会大倉、蔵会季脇、筋会陽陵泉、髄会絶骨、
血会鬲兪、骨会大杼、脈会太渕、気会三焦外、
一筋直両乳内也。熱病在内者、取其会之気穴也。


【現代語訳】
「第四十四難」
人体にとって重要な門である、
七つの衝門はどこにあるのか。

答え。
唇を飛門(とびらの門)、
歯を戸門(出入り口)、
会厭を吸門(気を入れる門)、
胃の上口を賁門(物が速やかに下る門)、
胃の下口を幽門(奥深い門)、
大腸と小腸が交わる闌門(水穀の気を残滓と津液に分ける門)、
肛門を魄門(形質のみの残滓を出す門)とし、
以上で七つの衝門とする。

「第四十五難」
医学経典で述べられている、
八会とは何を指しているのか。

答え。
六腑の気が会する所は太倉穴、
五臓の気が会する所は章門穴、
筋が会する所は陽陵泉穴、
髄が会する所は絶骨穴、
血が会する所は膈兪穴、
骨が会する所は大杼穴、
脈が会する所は太淵穴、
気が会する所は三焦膜の外、両乳の間の膻中穴である。
熱病が内に在する場合は、その会する所の要穴で
治療することが出来る。


【解説】
「第四十四難」
ここでは、七衝門について論じられている。
七衝門とは
「人体の消化器系統中の七つの重要な部位にある門戸。」
『中医基本用語辞典』東洋学術出版社より)
とされており、飛門戸門吸門噴門幽門闌門魄門の総称である。

各門は以下のようになる。
飛門:飛=扉という意味であり、唇の動きが扉に似ているからだとされている。
戸門:歯が開閉の門戸であり、穀がここで噛み砕かれて出入りするからだとされている。
吸門:会厭は咽頭蓋のだと考えられることから、納気の門戸。
噴門:胃の入り口。
幽門:胃の下口で、小腸と繋がる。
闌門:小腸と大腸が交わる部分。
魄門:肛門の別名。

「第四十五難」
ここでは八会について論じており、
八会とは
精気が会聚するところで、すべて経脈中の経穴であり、
本文に記載されている内熱疾患だけでなく、その他の疾患の治療穴となる。

八会については以下のようになる。
腑会:任脈の太倉穴(=中脘穴)。胃の募穴でもある。
[主治]中焦の病、腑の病、痰病など。
[参考]『鍼灸治療基礎学』(代田 文誌 著・医道の日本社)には
「中脘は、小腸経・三焦経・胃経の生ずる所、肺経の始まる所、
肝経の終わる所、任脈の気が発する所であって、
任脈とこれ等諸経の交会所である。」
と書かれている。

臓会:足厥陰肝経の章門穴。脾の募穴でもある。
[主治]肝・胆・脾病、局部病など。
[参考]足の厥陰と少陽の会とあり、肝経と胆経の会する所でもある。

筋会:足少陽胆経の陽陵泉穴。合土穴である。
[主治]胆の病、筋の病症、経脈上の病症など。
[参考]『黄帝内経霊枢』の九鍼十二原篇には、
「疾高而外者、取之陽之陵泉也。」(病が身体上部にあって腑に属せば、陽陵泉に取れ。)
と記されている。

髄会:足少陽胆経の絶骨穴(=懸鐘穴)。
[主治]髄病、経脈上の病症など。
[参考]藤本 蓮風先生は「臓腑経絡学」(アルテミシア)の中で、
「絶骨と三陰交を結び、外と内から刺すやり方を“打ち抜きの鍼”といっていたが、
この方法で胎毒や梅毒を治療していたらしい。」
と言っている。

血会:足太陽膀胱経の膈兪穴。
[主治]血病、経脈病証、経筋病症など。
[参考]『鍼灸治療基礎学』(代田 文誌 著・医道の日本社)によると
沢田 健先生は「膈は上焦と下焦との境に位し、天地の境である。
故に、上にも下にも効く。」
と、ここを診断・治療で重要視されていた。

骨会:足太陽膀胱経の大杼穴。
[主治]経脈上の病症、表証、骨病など。
[参考]本穴は足太陽の経穴、督脈の別絡、手足太陽経と少陽経の交会穴である。
その為、一身の陽気を調節するのに大切な所だと言われている。

脈会:手太陰肺経の太淵穴。兪土穴(原穴)である。
[主治]肺の病、経脈上の病、血脈病など。

気会:任脈の膻中穴。心包の募穴でもある。
[主治]上焦(心・肺)の病症など。

※記載の[主治]に関しては、
書籍・文献に記載されているもので、
しっかり弁証し、経穴の反応を診た上で使用することが大切です。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社
『臓腑経絡学』 アルテミシア
『鍼灸治療基礎学』 医道の日本社
『中医基本用語辞典』 東洋学術出版社
『鍼灸学[経穴篇]』 東洋学術出版社
『臨床経穴学』 東洋学術出版社

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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