「火星への移住希望者」募集中!ただし片道切符  romomieより
「火星への移住希望者」募集中!ただし片道切符 romomieより


こんにちは、為沢です。

先日、面白いと言うより
恐ろしいニュースを拝見しました。
2023年より人間を火星に移住させる計画が
立てられているそうです。

移住計画なので、片道切符
地球に帰る予定なし!!!!

月移住どころか、
いきなり火星に行っちゃうんですから
かなりブッ飛んでますよね。(失礼)
このニュースを知った時
刑務所に入るよりも悲惨な気がしました。


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(中)百五章と百六章。
百五章では、陽明の胃実証を誤って丸薬を用いて攻下した場合の治療について。
百六章では、 太陽経に随って邪が腑に入り、
少腹に瘀血が生じた場合の証治について述べている。


弁太陽病脈証并治(中)百五章

傷寒十三日、過経譫語者、
以有熱也、当以湯下之。
若小便利者、大便当鞭、
而反下利、脉調和者、知医以丸藥下之、
非其治也。若自下利者、脉当微厥、
今反和者、此爲内実也、
調胃承気湯主之。五十五。用前第三十三方。

和訓:
傷寒十三日、過経して譫語する者は、熱あるを以て也。
当に湯を以て之を下すべし。
若し小便利する者は、大便当に鞭かるべし。而るに反って下利し、
脉調和する者は、医丸藥を以て之を下したりと知り、
其の治にあらざるなり。若し自ら下利するものは、脉当に微厥なるべし。
今反って和する者は、此れ内実すと爲す也。
調胃承気湯之を主る。五十五。前の第三十三方を用う。


傷寒十三日、過経譫語者、以有熱也、当以湯下之
傷寒で十三日経過して、太陽経から裏に伝わり譫語が現れる。
これは陽明・燥熱が実したことによるものであるから、
湯液を用いて下さなければならない。・若小便利者、大便当鞭
燥実証であれば津液は下方に押しやられて胃中に留まれず
その回復が困難な場合、
小便がよく出て大便が硬くなるのが普通である。

而反下利、脉調和者、知医以丸藥下之、非其治也
しかし今大便は硬くなく反対に下痢をしている。
脈に乱れがなく調和が取れている理由は寒による下痢ではなく、
丸薬で誤って下したために起こったもので、治療法が合っていない。

若自下利者、脉当微厥、
今反和者、此爲内実也、調胃承気湯主之

もしもとから下痢している場合は脈象は微厥のはずだが、
今脈象は調和している。
これによって虚寒の自下利証でないことが分かる。
実熱は未だ除かれていないので、
この場合は調胃承気湯で治療するのが妥当である。

調胃承気湯

こちらを参照→【古医書】傷寒論を読む: 弁太陽病脈証并治(中)七十章・七十一章

提要:
陽明の胃実証を誤って丸薬を用いて攻下した場合の治療について述べている。

訳:
傷寒の病に罹って十三日が経ち、
表邪は他経に伝入して患者が譫語を発するようになるのは、
実熱があるからで、湯薬で攻下して治療せねばならない。
もし尿がよく出ていれば、
大便は硬く出にくくなるはずなのに、
今それに反して下痢があり、
しかも脉と証が合致しているなら、
医者が丸薬で攻下したから下痢しているのであって、
誤った治療の結果である。
もしも もとから下痢しているなら、
脉象は微厥のはずなのに、
今それに反して調和しているなら、
裏実証であり、調胃承気湯で治療する。
第五十五法。前記第三十三法の処方を用いる。


弁太陽病脈証并治(中)百六章

太陽病不解、熱結膀胱、
其人如狂、血自下、下者愈。
其外不解者、尚未可攻、
当先解其外。外解巳、但少腹急結者、
乃可攻之、宣桃核承気湯。
方五十六。後云、解外宣桂枝湯。

桃仁五十箇、去皮尖 大黄四兩 桂枝二両、去皮 甘草二両、炙  芒硝二兩
右五味、以水七升、煮取二升半、
去滓、内芒消、更上火、微沸下火。

先食溫服五合、日三服、当微利。

和訓:
太陽病解せず、熱膀胱に結し、
其の人狂の如く、血自ら下り、下るものは愈ゆ。

其の外解せざる者は、尚未だ攻むべからず、
当に先ず其の外を解すべし。外解し巳り、但だ少腹急結する者は、
乃ち之を攻むべし。桃核承気湯に宜し。方五十六。
桃仁五十箇、皮尖を去る 大黄四兩 桂枝二両、皮を去る甘草二両、炙る 芒硝二兩
右五味、水七升を以て、煮て二升半を取り、滓を去り、
芒消を内れ、更に火に上せ、微かに沸し火を下ろす。

食に先だち五合を溫服し、日に三服し、当に微かに利すべし。


太陽病不解、熱結膀胱
太陽病が解けず、邪気が下焦の太陽腑・膀胱に内伝して熱に転化し凝結した。

其人如狂
これは要らない血が体に残った場合、
下焦の血が下へ降りきらないために上焦の心肺に入り、
清陽に瘀血が影響して狂ったようになる。

血自下、下者愈
血が自然に下がっていく者は治っていく。

其外不解者、尚未可攻、当先解其外
攻下する前に表証があれば、先に表を解いて
これ以上内伝しないようにしていかなければいけない。

外解巳、但少腹急結者、乃可攻之、宣桃核承気湯
「少腹急結」とは五枢、帯脈、居髎(足少陽胆経の経穴・下記の画像参照)
のあたりに独特の硬結・圧痛がみられ、この部分がひきつれて痛むこと。

『東洋医学講座・取穴篇』より
『東洋医学講座・取穴篇』より

少腹急結は蓄血証で診られる。
蓄血証とは熱邪と血が小腸で結したもので、
小腸に瘀熱を結しているので下腹部が硬く脹り、
血分の病変で膀胱の気化は障害されていない(蓄水証ではない)ために
排尿に異常はなく、血分の熱であるから夜間に発熱し、
瘀熱が心神を上擾するうわごと・狂躁状態などがみられる。

表証は解けており、少腹急結がある場合は
活血祛瘀剤の桃核承気湯で血を循らせて瘀血を除き、熱を瀉して通便させていく。

桃核承気湯
方義

桃仁
桃仁

桃仁
基原:
バラ科のモモ、ノモモなどの成熟種子。
桃仁は苦甘で平性であり、心肝二経の血分に入り、
苦で泄降導下して破瘀し、甘で気血を暢和して生新し、
破瘀の効能が生新に勝るので、行瘀通経の常用薬である。
それゆえ、瘀血積滞の経閉・痛経・癥瘕、
産後瘀阻の塊痛・悪露不行、
に含有し潤腸通便に働くので、
陰虚津枯の腸燥便秘にも適用するが、
効力が十分ではないので潤燥滋陰薬を配合する必要がある。
このほか、止咳平喘にも働くので気逆喘咳にも用いる。

大黄
大黄

大黄
基原:
タテ科のダイオウ属植物、
およびそれらの種間雑種の根茎。しばしば根も利用される。
大黄は苦寒沈降し気味ともに厚く、
「走きて守らず」で下焦に直達し、
胃腸の積滞を蕩滌するので、
陽明腑実の熱結便秘・壮熱神昏に対する要薬であり
攻積導滞し瀉熱通腸するため、
湿熱の瀉痢・裏急後重や
食積の瀉痢・大便不爽にも有効である。
このほか、瀉下泄熱により
血分実熱を清し清熱瀉火・凉血解毒に働くので
血熱吐衄・目赤咽腫・癰腫瘡毒などの上部実熱にも用い、
行瘀破積・活血通経の効能をもつために、
血瘀経閉・産後瘀阻・癥瘕積聚
跌打損傷にも適し、湿熱を大便として
排出し清化湿熱にも働くので、
湿熱内蘊の黄疸・水腫・結胸にも使用する。
外用すると清火消腫解毒の効果がある。

桂枝
桂枝

桂枝
基原:
クスノキ科のケイの若枝または樹皮。
桂枝は辛甘・温で、
主として肺・心・膀胱経に入り、
兼ねて脾・肝・腎の諸経に入り、
辛散温通して気血を振奮し営衛を透達し、
外は表を行って肌腠の風寒を緩散し、
四肢に横走して経脈の寒滞を温通し、
散寒止痛・活血通経に働くので、
風寒表証、風湿痺痛・中焦虚寒の腹痛・
血寒経閉などに対する常用薬である。
発汗力は緩和であるから、
風寒表証では、有汗・無汗問わず応用でき、
とくに体虚感冒・上肢肩臂疼痛・
体虚新感の風寒痺痛などにもっとも適している。
このほか、水湿は陰邪で陽気を得て
はじめて化し、通陽化気の桂枝は
化湿利水を強めるので、
利水化湿薬に配合して痰飲・畜水などに用いる。

甘草
甘草

甘草
基原:マメ科のウラルカンゾウ、
またはその他同属植物の根およびストロン。
甘草の甘平で、脾胃の正薬であり、
甘緩で緩急に働き、補中益気・潤肺祛痰・止咳・
清熱解毒・緩急止痛・調和薬性などの性能を持つ。
そのため、脾胃虚弱の中気不足に用いられる。
また、薬性を調和し百毒を解すので、熱薬と用いると熱性を緩め
寒薬と用いると寒性を緩めるなど薬性を緩和し薬味を矯正することができる。

芒硝
基原:天然の含水硫酸ナトリウムNa2 SO4・10H2O
または風化消Na2SO4・2H2O。
なお古来の芒硝は結晶硫酸マグネシウム MgSO4・7H2Oである。
芒硝は鹹渋・寒で、鹹で軟堅し苦で降下し寒で清熱し、
瀉熱通便・潤燥軟堅の効能をもち、胃腸三焦の実熱を蕩滌し燥屎を除去する。
それゆえ、実熱積聚の大便燥結・譫語発狂などを呈する陽明腑実証や、
陽明の熱が水飲と結した結胸に適する。外用すると清熱消腫に働き、
癰腫瘡毒・目赤喉腫口瘡などに有効である。

提要:
太陽経に随って邪が腑に入り、少腹に瘀血が生じた場合の証治について述べている。

訳:
太陽病表証が癒えず、邪熱が経を伝わって内に入り
膀胱に結すると、患者は狂に似た証候を呈し、
そして血便をみるが血便が出れば病は癒える。
もし表証が癒えず、しかもまだ攻下法は用いられない場合は、
まず表証を治療せねばならない。
表証が解除されるのを待ち、
そのあと少腹がひきつれて痛むだけなら
攻下法で治療すればよく、桃核承気湯を用いてよい。
処方を記載。第五十六法。
桃仁五十個、皮尖を除く 大黄四兩 桂枝二両、皮を除く 甘草二両、炙る 芒硝二兩
右の五味のうち芒硝を除く四味を、七升の水で、二升半になるまで煮て、滓を除き、芒消を入れて、
更に火にかけ、少し沸騰させて火からおこし食前に五合を温服し、
一日三回服用、少し下痢するのがよい。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
『東洋医学講座・取穴篇』  自然社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

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