昨日はNHKの特番で漢方や鍼灸の特集が
放送され、大変好評だったようです。
(番組→東洋医学 ホントのチカラ ~科学で迫る 鍼灸・漢方薬・ヨガ~ – NHK
僕も軽く観ましたが、
本音を言うと、
東洋医学として、
或いは、紹介されている施術の内容としては、
ものすごく初歩的というか、
どちらかというと西洋医学的な方法に偏ったものであり、
本当の醍醐味である東洋医学の診断術や
生体観が省かれていたので、
こんな内容で面白いのかなあと心配になりまして、
どんなもんかなと、
TwitterやFacebookなどで反応を調べていました。
すると、
面白い、これはすごい!との視聴者の声が多数。
え??
どの点が面白いんだろう?
本当はもっともっと面白いのにと
いう気持ちばかりが沸き立ってしまったのですが、
この反応を冷静に受け止めると、
こういうレベルの認識でさえ、
一般の人には目から鱗が落ちるレベルである
という事だということだということは、
仮に、本来の東洋医学の懐の広さや有効性が人々の目に留まる、
或いは、色眼鏡なく素直に起こる事象や
効果の検証が成されるとこれはとんでもないことが起こるな
という事を考えて少し嬉しくなりました。
どうやら、我々が当たり前に思っている世界は
世間では全く以て当たり前のことではないらしい。
その恐ろしいギャップに驚きました。
なんで、こんなにオブラートに包んだ、
神髄には全く触れない程度のものでも
こんなにも世間の人は驚いているんだという僕としては逆に衝撃。。
うーーん。複雑(笑)
まずは、
兎に角、そこはいいとして、
僕が鍼師として生きているうちにそういう本質的な
東洋医学・鍼灸に対する再評価が生まれると
嬉しいのにな、とそんな具合に思っています。
こういうきっかけがその足がかりにでもなってくれれば嬉しい。
少し期待して、
あまり期待せず。。(笑)
これまでは、鍼で効果があったとしても
自分達の口から効くよってことを口に出すのは
制度的にも許されない事だったので、
第三者からどういうアプローチであるにしろ、
少なからずはっきりと効果があると世間に発信してもらうってことは、
なんというか、少し職業的苦悩が浮かばれる気がします。
(これは、同業者諸君にしかわからない感情かも知れませんが。)
あと、もう一つ、
東洋医学、鍼灸医学が認められる、認められない、
どちらにせよ、
それを提供している鍼灸師側にそれだけの
準備が出来ているかというと、
恥ずかしながら僕は全く出来ていないと思っています。
これに異を唱える人もいるかも知れませんが、
僕は、鍼灸医学を啓蒙する上で、
今の鍼師がきちんと誇りをもってその本質を提供出来ているかと
言われると全くそう思わない。
歴史的にみても今の現状は恥ずかしい業界レベルにあると思っている。
僕個人の意見でいいので、
僕は真にそのように思っています。
そとの評価や社会的立ち位置がどう変わろうが、
その条件は変わらないと思う。
僕は、自分の職業的目的の一部としてそれを変えたいと思っている。
本音と建て前というものがあろうかと思いますが、
僕は立場上、建て前をいう必要がない
ポジジョンにいるので言えるのかもしれない。
それが本音。
しかし、同時に、
今ままではこんな事はあり得なかった。
鍼は、東洋医学は何十年も虐げられ続けて来たから。
誰かが素直に鍼ってすごいって言ってくれることに対して、
今回、心が躍りました。
ありがとうございます。
そして、同時に、
今後、東洋医学は認められていいと思うけど、
流行り物には絶対しては
ならない大事なものだと思っています。
利権の道具にされるのも、
システムの一部として利用されることも
避けないといけない。
医療として認識されると反作用として、
医療の利権の一部として食い物にされるという
働きが絶対に産まれますから。
守り磨き切りたいと思います。
出来るかしら。
鍼持ったからには、
全うしなくちゃね。

たまたま、こういう事で東洋医学に少し興味を持った人に
対して、一つヒントを。
黒船を想ってみる。
海の向こうから西洋の哲学や医学が
やってきて、
この国は何故か海の外からやってきたその医学をのみ
医学とすると制度として決めて、
何年が経つかを考えてみて欲しい。
それまではずーっと東洋医学をやってきた。
西洋医学はどちらかと言うと若手ホープ。
西洋医学がどう。東洋医学がどうと言う気はない。
東洋医学を忘れてしまっているだけ。
日本建築を日本で作ってはダメ、
建築物は西洋建築しか認めないというルールがあったら、
おかしいと思うでしょ。
でも、この国の医学の設定はそれをやってしまったわけ。
少し前に西洋医学=医学とするという良くわからないルールを
作る前にはずっと東洋医学があったわけだし、
天皇陛下が受ける最先端の治療も東洋医学だったわけ。
大多数で行われていることが絶対的に正しいという事ではない。
マイノリティに真実が埋もれている事だって多い。
この国の医学にもそういう歴史と真実があるということがヒントになる。
黒船の前の医学を思い返すかのように
その記憶に多少なりとも触れ戻ろうとする
内容が、この時間のこのような放送局から
流されたということの意味は大きいと思う。
これまで数十年、こういう事は御法度だった。
東洋医学というのは、
職業的にはなんとか薄皮一枚生き残ってはいたが、
この国にとって大々的には触れてはならないものの一つであった。
これは言い過ぎではない。
そういう経緯もあり、
今回のことは、
嬉しい限りです。
本当にありがとうございます。
鍼師と言っても、東洋医学と言っても、
職業鍼灸師がほとんど。
でも、一部にきちんと鍼師として全うしている
医学者・医術者が生き残っていることを
知って欲しい。
個人的叫び。
まだ、伝わるとは思ってないですが願っています。

木木

 

#東洋医学ホントのチカラ #NHK #東洋医学 #鍼灸 #鍼灸院

3 コメント

  1. こんにちは。
    記事を読んで、林さんの「世間ではどれだけ東洋医学が知られていないか」の「知らなさ具合」に驚きました。
    ご自分のおられる世界がとても狭いということに気づけて良かったですね。
    「これのどこが面白いの」と思うのであれば、ご自分でさらに面白い番組を作ってみては如何でしょうか。
    ぜひ見てみたいです。

    • 面白いのかという
      表現したことによって
      少し語弊が生じたようです。
      東洋医学の世界や考え方は現代医学とは
      かなり違った切り口で人を解釈するので、
      それを仮に「面白い」或いは「変わった世界」と表現するとすると、
      この番組では、
      それを中々伝えるのが難しいので、
      現代医学の考え方や一般的な思考方法を用いながら
      東洋医学を施した際の効果検証を行っているようでした。
      そこには制作者の工夫が見えます。
      それがいいのかも知れません。
      じゃないと、なかなか伝わらないので。
      これは僕も毎日患者に説明するので理解出来ます。
      かなり苦労しますから。
      しかし、そうした際に、
      東洋医学としての「面白さ」「変わった世界」は薄まって
      伝わっているので、(伝える工夫として)
      そこに対して東洋医学の面白さが伝わるのかなと心配に
      思った次第であり、
      これは一般の人が思う「面白さ」とは切り口が違うわけです。
      カレーで話すとわかりやすいかもしれません。
      僕らはいつも本国のカレーを作っているが、
      中々一般受けしにくいので、
      輸入する人がスパイスなどをかなり落とした日本的解釈のカレーを
      出した。
      本国のカレーを作っている僕らからすると、
      面白くねえなあと思って食べたりするのですが、
      世間的には大ヒット!
      と、こういう現象が起こったことに僕は逆に面白さというか、
      多くの発見がありました。
      そういう意味で書きました。
      伝わればいいのですが(^_^;

    • また、自分で面白い番組を作ってみろ
      という話しについては、
      これは興味深い発想で、
      仮にこういう番組の製作に関われるのであれば、
      表に顔が出るのはちょっと嫌ですが、
      表現方法や企画に携われる機会があれば
      是非、参加してみたいですね。
      どう東洋医学を発信するか、
      どういう反応があるか、
      また、それを受けてどう新たに工夫するかには
      個人的に非常に興味があります。
      やってみたいなあ(笑)
      そういう裏方仕事も嫌いじゃないんですよね。。

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