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こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第十二章「論三消有寒不専主火」です。



和訓:
劉河間の三消論を観れば、一つに皆な以て燥熱の太甚となす。
張子和は三消は、俱に火に従って断ず。二公の言は詳しきなり。
然るに《内経》又、心が肺に寒を移せば肺消と爲る、
飲むこと一、溲すること二なるは、死して不治なり。
此れは元陽が既に虧け、金は寒く水は冷えれば、則ち陰邪が之に乗ずるなり。
陽が衰えれば則ち氣虚し、陽は陰を師いずして、則ち水は氣に化せざるなり。
故に水を飲むこと少なくして便溺は多く、
肺腎の消と爲す、必ずや温剤を以て寒邪を散去すれば、
陽氣は漸くに回りて、則ち陰寒は自ら退くなり。
此は正に所謂 心が肺に寒を移し飲むこと一、溲すること二の証なり。
見る可しは消は陰陽有りて、尽く火爲りと称するを得ざるなり。


・三消とは
「消」は口渇があって水を多く飲むこと。
消渇証のこと。
三消は上・中・下の三焦の消渇をいう。

・劉河間の三消論を見れば一概にすべての燥熱の激しいものであるとしている。
・張子和は三消はすべての火証であると断言している。
この二人の論についてはよく知られていることである。

・『素問』気厥論
”心移寒於肺、肺消。肺消者、飲一溲二、死不治。”
とある。

この肺消の病は、元陽が既に欠損して、
金(肺)は寒となり、水(腎)は冷えている状態にあって、
これに陰邪が乗じたものである。

・陽が衰えれば気が虚して、陽は陰の統帥することができず、
水は気化することができなくなる。

・水を飲むことを少ないのに、量が多くなる。
これが肺腎の消であり、
温剤を用いて寒邪を除けば、次第に陽気は回復して
陰寒はひとりでに消退してしまう。

・これが『素問』のいうところの
”心移寒於肺、肺消。肺消者、飲一溲二、死不治。”の証である。

・消渇の証には陰陽寒熱があることがあり、
全てを火証であるとすることはできない。


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
『景岳全書』台聯國風出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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