<近日開催予定のイベント>
【学生向け勉強会のお知らせ】東洋医学概論をモノにしよう!
→(第1回:6/16(土)15:30〜(金曜日も受付中))

【学生向け勉強会】「素問を読もう!」申込み受付中です

→毎週火曜19時〜 または 毎週木曜13時〜 (途中からの参加も可能です。)


こんにちは、為沢です。
今回の中国医学史は、前回紹介した黄帝の続きです。


『黄帝内経』について御紹介します。

まず、『黄帝内経』とは中国医学の礎となる医学書で
現存する書物は『黄帝内経素問こうていだいけいそもん』(以下 『素問』)
黄帝内経霊枢こうていだいけいれいすう』(以下 『霊枢』)
という二部に分かれて構成されております。

『素問』『霊枢』の原型である
『黄帝内経』という書物は、作者不明でその成立事情も不明の書物です。
『黄帝内経』はB.C86年〜B.C26年までの間に
いくつかの医学書をまとめて宮廷医 李柱国によって
改訂・編纂されましたが、
その後、誰がいつどのようにこの『黄帝内経』をもとに
『素問』『霊枢』を再編纂したのかも不明とされております。
(恐らく、何百年と渡り
編纂や改訂を繰り返されたためではないか
という意見もあるようです。)

『素問』の内容は、医学の基礎理論を重点に説いており、
『素問』の最も早い注釈は、皇甫謐こうほひつにより『甲乙経』(3世紀)が著され、
これに続き、斉・梁(5世紀〜6世紀初)頃
全元起により『素問訓解』という書物が著されます。
(この注釈本は12世紀初に散逸されたそうです!残念)
その後、楊上善ようじょうぜん『黄帝内経太素』(7世紀)
と再編纂されております。
現存する『素問』は王冰おうひょう(710年?~804年?)による注釈・編纂されたものですので
後から付加されたであろう内容もあるため、
一部の章は考証派に不評なところもあります。。

『霊枢』も『素問』と並ぶ
中国の歴史上最も古い中国医学の経典で、
これは『素問』に比べ、(基礎理論も述べているが)
診断・治療・鍼灸施術法などの臨床技術について
詳しく述べられている医書です。
『霊枢』という名前が出てくるのは王冰おうひょうが著した
『素問序』(762年)が最初であり、
それまでは『九巻』『鍼経しんきょう』という名で呼ばれておりました。
王冰は『素問』を再編纂し、その注釈を作成しましたが
『霊枢』の注釈は作らなかったみたいで、
『霊枢』の注釈本は16世紀になるまで現れず、
『素問』に比べると少ないです。

『黄帝内経』の成立については諸説ありますが、
伝説的な黄帝の名に医学の奥義を託し、
岐伯・雷公という副人物を配して論じられた
中国医学の礎となった書物であります。


参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『現代語訳◉黄帝内経素問』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

画像:
『図像本草蒙筌』総論,首巻,巻之1-12
早稲田大学図書館古典籍総合データベースより
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ni01/ni01_00815/index.html

為沢

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here