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こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第九章「論関格是脉而非症」の其の二です。



和訓:
而して潔古は則ち曰く、寒が上に在り、熱が下に在り。
夫れ脉の兩寸が倶に盛んなること四倍以上なり、
而して寒は上に在り、熱は下に在りと謂う可けんや?
東垣は則ち清氣が濁道を反行するを以て格と曰い、
濁氣が清道を反行するを関と曰えり。
丹溪は但だ膈中に碍する所の有ると覚えて、
升降すること能わざるのみを言えり、是は格は有りて関は無し。
元方は大小便の通ぜざるを以て関格と爲す、
其の説は尤も舛錯を爲せり。
後に丹溪は竟に関格を以て症を立て門を分かち、
後学をして茫然として辨ずるところ莫きに致らしむ。
独り馬元台のみは諸子の非を力辨し、
関格は隔食や癃閉の症に非ず。と言えり。
夫れ巣、張、李、朱は医の宗爲たるに、
尚お『内経』と相い乖く、況んや下工においておや。
豈んぞ知らん、関格は脉体爲り、而して病名に非ざる者なることを。


・張潔古は関格とは
「寒が上に存在し、熱が下に存在する」といったけども
果たして両寸脉が四倍以上も盛んであるというものが、
寒が上にあり、熱が下にあるという病証と合致するのであろうか?

・李東垣は
「清気が通常の流れに反して濁道に降りて行くのが格であり、
濁気が通常の流れに反して清道へ上っていくのが関である」とした。

・朱丹溪は
「胸膈の中につまった感覚があって、気の昇降ができなくなったものを格という」
と言って関については述べていない。

・巣元方は
『諸病源候論』(関格大小便不通候)の中で、大小便不通を以て関格であるとしているが、
この説が最も錯誤したものである。

・後に朱丹溪は関格という病症を病証門の一つとしているが
後学の人には分からず弁明もできなくなってしまった。

・馬元台という医家は諸家の非を力説し、
関格は隔食症や癃閉ではないと述べている。

・巣元方、張潔古、李東垣、朱丹溪のような偉大な医家は
『内経』の意に背いていて間違っている。

・普通の医家が、
“関格とは脉体のことであり病名ではない”
ということ知らないのは当たり前である。


馬元台
名は蒔、字は玄台または元台、一説には仲化。
明代の医家で、張景岳と同じく会稽の人。
著書:
『黄帝内経素問注証発微』『黄帝内経霊枢注証発微』各九巻


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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