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こんにちは、為沢です。
張仲景の古医書『傷寒論しょうかんろん』の解説です。

今回の傷寒論は弁厥陰病脈証并治 三百六十六章。
この章では、下痢をして陽が回復した時に
眩暈が生じれば病は治ることについて詳しく述べております。



下利、脉沈而遅、其人面少赤、
身有微熱、下利清穀者、必鬱冒汗出而解

「下利、脉沈而遅」は下焦虚寒により生じ、
寒が甚だしければ清穀下痢をする。
しかし病人の顔は少し紅く、身体に微熱があるのは、
亡陽証ではなく、陰病中に陽症が現れている状態、
つまり邪気が表より解けようとしていることを反映したものである。
これを「必鬱冒汗出而解」と書いて表現している。

病人必微厥、其面戴陽、下虚也
鬱冒(一時的に目の前が暗くなるようなめまい)と微厥は、
発汗して病が治る前に現れた症状で、
陽気の回復により表が解ける病機を反映したものである。
一般に虚証が激しい場合、それが自然に治る時でも
或いは治る前でもしばしば出現する。
これは正気が邪気よりも勝り、
邪気を体外に追い出す時に生じる症状である。

提要:
下痢をして陽が回復した時に眩暈が生じれば病は治ることについて

『現代語訳 宋本傷寒論』訳を使用:
下痢して、脉は沈かつ遅で、患者の顔は軽度に紅潮し、
身体には微熱があり、下痢に不消化物がみられる場合は、
必ず眩暈するが、その後すぐに汗が出て病は癒える。
患者は手足は必ず軽度に厥冷しているはずだ。
それは、患者の顔が紅潮し、下焦に虚寒がある状態だからだ。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社

『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房

『増補 傷寒論真髄』  績文堂

『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:為沢 画

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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