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力強く歩く
力強く歩く

下野です。
今回は「諸病の主薬」の第三回になります。


【原文】
発汗、須用麻黄、桂枝、為主。
久汗不出、須用紫蘇、青皮、為主。
止汗、須用桂枝、芍薬、為主。
表熱、須用柴胡、為主。
裏熱、須用黄連、黄芩、為主。

<第四に続く>


【解説】
発汗させるには。
麻黄、桂枝を使用すべし。

長年汗をかかないものには、
紫蘇、青皮を使用すべし。

汗を止めるには、
桂枝、芍薬を使用すべし。

表熱証には、
柴胡を使用すべし。

裏熱証には、
黄連、黄芩を使用すべし。

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麻黄まおう

麻黄
麻黄

マオウ科のシナマオウなどの
同属植物の木質化していない地上茎。
性味:辛・微苦・温
帰経:肺・膀胱
効能:
①発汗解表
・外感風寒の悪寒や発熱、無汗、頭痛、関節痛などに。
方剤例 → 麻黄湯。

②宣肺平喘・止咳
・外邪による肺気不宣の呼吸困難、咳嗽に。
方剤例 → 三拗湯。
・寒飲の肺気不宣に。
方剤例 → 小青竜湯。
・壅熱による肺気不宣に。
方剤例 → 麻杏甘石湯・五虎湯・定喘湯。

③利水消腫
・表証を伴った水腫に。
方剤例 → 麻黄加朮湯・甘草麻黄湯。
・内熱の自汗や口乾、発熱などに。
方剤例 → 越婢湯・越婢加朮湯。
・裏寒の冷えや脈沈に。
方剤例 → 麻黄附子湯。

④その他
・遊走性の皮疹に。
・風寒湿痺の疼痛などに。
方剤例 → 陽和湯。

桂枝けいし

桂枝
桂枝

クスノキ科のケイの若枝またはその樹皮。
性味:辛・温・甘
帰経:肝・心・脾・肺・腎・膀胱
効能:
①発汗解肌
・風寒表証の頭痛、発熱、悪寒などに。
・表虚で自汗がみられるとき。
方剤例 → 桂枝湯。
・裏寒で無汗の時。
方剤例 → 麻黄湯。

②温通経脈
・風寒湿痺の関節痛に。
方剤例 → 桂枝附子湯・桂枝加朮附湯・桂芍知母湯。
・営衛不足による血痺の痺れに。
方剤例 → 黄耆桂枝五物湯。
・脾胃虚寒の腹痛に。
方剤例 → 小建中湯・桂枝加芍薬湯。
・血寒瘀滞の月経周期の延長、無月経、月経痛に。
方剤例 → 温経湯。

③通陽化気
・脾陽不運の痰飲内停の背中の冷えや息切れ、眩暈などに。
方剤例 → 苓桂朮甘湯。
・膀胱の気化不行により水湿が内停し、小便不利がでたとき。
方剤例 → 五苓散。
・胸陽不振の狭心痛や動悸に。
方剤例 → 枳実薤白桂枝湯。

④平衝降逆
・心の気陰両虚で脈結代、動悸がみられるときに。
方剤例 → 炙甘草湯。
・下焦の陰寒が心陽虚に乗じて上衝する奔豚気に。
方剤例 → 苓桂甘棗湯・桂枝加桂湯。

◉紫蘇

紫蘇『中医臨床のための中薬学』より
紫蘇『中医臨床のための中薬学』より

シソ科のシソ。
また、近縁植物の葉。
性味:辛・温
帰経:肺・脾・胃
効能:
①散寒解表
・風寒表証の頭痛・悪寒・発熱など。
方剤例→加味香蘇散。
・胸苦、痞え、食欲不振など。
方剤例→香蘇散。
・咳嗽、息苦しいなど。
方剤例→杏蘇散。
②理気寛中
・脾胃の気滞による腹満、嘔吐、悪心などに。
方剤例→霍香正気散。
・痰凝気滞の梅核気。
方剤例→半夏厚朴湯。
③行気安胎
・気滞、気鬱の胎動不安、悪阻に。
方剤例→黄連蘇葉湯、順気飲子。
④解魚蟹毒
・魚貝類の中毒による悪心、嘔吐など。

青皮せいひ

青皮『中医臨床のための中薬学』より
青皮『中医臨床のための中薬学』より

ミカン科のオオベニミカン、コベニミカン、
又はその同属植物の成熟前の果皮。
性味:苦・辛・温
帰経:肝・胆・脾・胃
効能:
①疎肝破気:
・肝鬱気滞の胸脇部の脹痛・イライラ・憂鬱に。
・気滞血瘀の肝腫・脾腫に。
・肝鬱化火の乳腺炎に。
方剤例→橘葉栝楼散。
・気滞痰凝の乳房の腫塊に。
・寒滞肝脈による疝気の痛みに。
方剤例→天台烏薬散
②消積化滞:食積の腹満や腹痛・腐臭の曖気に。
方剤例→青皮丸

白芍びゃくしゃく

芍薬
芍薬

ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し、
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。
性味:苦・酸・微寒
帰経:肝・脾
効能:
①補血斂陰
・血虚による顔色がよくない、ふらつき、眩暈、かすみ目などに。
方剤例 → 四物湯。
・陰虚陽浮による自汗や寝汗に。
・外感風寒・表虚の営衛不和の自汗や悪風に。
方剤例 → 桂枝湯。
②柔肝止痛
・肝鬱気滞による胸脇部の張りや痛み、憂鬱感、イライラなどに。
方剤例 → 四逆散・柴胡疏肝散。
・肝脾不和の腹痛や下痢に。
方剤例 → 痛瀉要方・逍遙散・当帰芍薬散。
・血虚肝乗の筋肉の痙攣や痛みに。
方剤例 → 芍薬甘草湯・桂枝加芍薬湯・小建中湯。
・大腸湿熱の下痢や腹痛に。
方剤例 → 芍薬湯・黄笒湯。

③平肝斂陰
・肝陰不足・肝陽上亢の頭痛や眩暈に。
方剤例 → 鎮肝熄風湯・七物降下湯。

④その他
・利水剤として。
方剤例 → 真武湯。
・血痺に。
方剤例 → 黄耆桂枝五物湯。

柴胡さいこ

柴胡
柴胡

セリ科のミシマサイコ。
又はその変種の根。
性味:苦・微辛・微寒
帰経:肝・胆・心包・三焦
効能:
①透表泄熱
・外感表証の発熱に。
方剤例 → 柴葛解肌湯。
・少陽在邪の寒熱往来、口苦、胸苦しい、悪心などに。
方剤例 → 小柴胡湯。

②疏肝解鬱
・肝鬱気滞の憂鬱やイライラ、月経不順などに。
方剤例 → 四逆散・柴胡疏肝散・逍遙散。

③昇拳陽気
・気虚下陥の慢性下痢や脱肛、子宮下垂に。
方剤例 → 補中益気湯・昇陥湯。

④その他
・瘧疾の寒熱発作に。
方剤例 → 柴胡達原飲。

黄連おうれん

黄連
黄連

キンポウゲ科のオウレン属の根茎。
性味:苦・寒
帰経:心・脾・肝・胆・胃・大腸
効能:
①清熱燥湿
・大腸湿熱の下痢や裏急後重に。
方剤例 → 香連丸・芍薬湯・葛根黄笒黄連湯。
・腸胃湿熱の腹満や嘔吐、悪心、下痢に。
方剤例 → 半夏瀉心湯・枳実消痞丸。
・三焦湿熱の潮熱や胸苦しい、口渇、嘔吐などに。
方剤例 → 杏仁滑石湯。

②清熱瀉火
・熱入心包の高熱や意識障害、譫言、煩燥などに。
方剤例 → 牛黄清心丸・安宮牛黄丸。
・火盛迫血妄行の吐血、鼻血に。
方剤例 → 三黄瀉心湯。
・心火上炎の焦燥、不眠、口内炎に。
方剤例 → 朱砂安神丸。
・陰血不足があるときに。
方剤例 → 黄連阿膠湯。
・胃火の消穀善飢、歯痛に。
方剤例 →清胃散。
・肝火胃犯の胃痛や嘔吐、胃酸過多に。
方剤例 → 左金丸。
・肝火上炎による目の充血や腫れ、痛みに。
方剤例 → 当帰竜薈丸。
・胸中積熱・腸中有寒の腹痛、嘔吐に。
方剤例 → 黄連湯。

③清熱解毒
・熱毒の高熱、煩燥、目の充血、腫れ、咽喉の痛み、皮膚化膿症に。
方剤例 → 黄連解毒湯・普済消毒散。
・火毒による目の充血や腫れ、痛みに。

黄芩おうごん

黄芩
黄芩

シソ科のコガネバナの周皮を除いた根。
内部が充実し、細い円錐形をしたものを条芩、桂芩、尖芩などと称し、
老根で内部が黒く空洞になってものを枯芩、
さらに片条に割れたものを片芩と称する。
性味:苦・寒
帰経:肺・脾 ・大腸・小腸・胆
効能:
①清熱燥湿
・湿温・暑温初期の湿熱阻滞気機の胸が苦しいや、悪心、嘔吐などに。
・湿が熱より重いとき。 → 黄芩滑石湯。
・熱が湿より重いとき 。→ 甘露消毒丹。
・湿熱中阻の腹満や嘔吐時に。 → 半夏瀉心湯。
・大腸湿熱の下痢や裏急後重に。 → 黄芩湯・葛根黄芩黄蓮湯。
・湿熱黄疸に。

②清熱瀉火・解毒・凉血
・肺熱の咳嗽や呼吸の促迫、黄痰などに。
方剤例 → 清肺湯。
・上焦火熱の高熱や口渇、喉痛などに。
方剤例 → 凉膈散。
・上焦火盛の喉の腫れや痛み、皮膚化膿症に。
・血熱妄行の鼻血や吐血に。
方剤例 → 黄蓮解毒湯・三黄瀉心湯。

③清熱安胎
・妊娠中の蘊熱による下腹痛に。
方剤例 → 当帰散。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『本草綱目』 国立国会図書館デジタルコレクション
『東方栄養新書』 メディカルユーコン

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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