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綺麗な蓮です
綺麗な蓮です。(とある池にて)


こんにちは、大原です。

前回までの記事はこちら↓
和法とは その1
和法とは その2

前回は、和法に用いられるという
小柴胡湯の方意を確認しました。

小柴胡湯は少陽、半表半裏にある邪を除き、
少陽枢機を通すということが大きな働きで、
この少陽枢機、半表半裏とは何かを知ることが、
和法とは何かを解明することにつながりそうです。

さて、素問の陰陽離合論篇に、
少陽為枢」(少陽は枢をなす)という記述があります。
少陽枢機」と密接な関係がありそうです。

では「少陽為枢」の言葉の意味を考えるため、
前後の記述も抜粋してみます。

帝曰、願聞三陰三陽之離合也。
歧伯曰、聖人南面而立、前曰廣明、後曰太衝。
太衝之地、名曰少陰。
少陰之上、名曰太陽
太陽根起於至陰、結於命門。名曰陰中之陽。
中身而上、名曰広明。広明之下、名曰太陰。
太陰之前、名曰陽明。陽明根起於厲兌、名曰陰中之陽。

厥陰之表、名曰少陽。少陽根起於竅陰、名曰陰中之少陽。
是故三陽之離合也、太陽為開、陽明為闔、少陽為枢

三経者、不得相失也、搏而勿浮、命曰一陽。

ここでは、太陽、陽明、少陽の三陽の関係について
述べられています。
この三陽は人体の経脈の名称とも一致し、
それぞれ太陽経、陽明経、少陽経と呼ばれます。
解説本では、
このように経脈の名称と一致していることから、
この記述は三陽経脈の関係について
述べられていると解釈されています。

その関係について具体的には
最後の二行の内容にありますので、
意訳と一緒にみていきますと、

是故三陽之離合也、太陽為開、陽明為闔、少陽為枢。
(三陽の離合は、太陽経は開、陽明経は闔、少陽経は枢をなす。)

三経者、不得相失也、搏而勿浮、命曰一陽。

(三経は、相互に密接に関連しているので、集まって働くことから一陽と名づけます。)

となります。
ここで気になるのが一行目の
太陽経は開、陽明経は闔、少陽経は枢をなす
というところです。

ここで漢字の意味を調べてみますと
:開く、あける(そのままですね)
:扉(とびら)
:くるる、とぼそ(戸の片端の上下に短い棒をつけ、それを小さな穴(=とぼそ)にはめ込んで、開閉するようにした仕掛け。)
とあります。

つまり、三陽の太陽、陽明、少陽は
開、闔、枢の漢字の意味からすると、
全体として
扉の開け閉めのような働きがあるということになります。
(ここでの「扉」とは、ふすまなどの引き戸ではなく、
開け閉めをドアノブで引いたり押したりするタイプの
いわゆる「ドア」タイプの扉です。)

以上のことから、
和法とはどのようなものかを考えてみます。

少陽枢機を通すものが和法であると
先に述べました。
つまりこの「」が通っていない状況、
すなわち「」がうまく働いていない状況とは
どのような状態でしょうか。

扉に喩えると、
おそらく扉の開閉がうまくいかない状況であり、
それは扉を開けようにも
扉を取り付けている軸の部分が錆び付いたり
外れかかったりしているような
イメージになると思います。

結論からすると
その軸の部分の錆びを取り除いたり
ちゃんと軸にはめ直して
扉の開閉がスムーズに行えるようになることが
和法ということになるのでしょう。

扉の枢、すなわち軸の部分が壊れてしまう原因は
いくつかあると思います。
扉が少し開いているとことに
急に強い風が入り混んで扉の軸が外れてしまった、
雨水や汚れで錆び付いた、
扉を乱暴に開け閉めした、などです。

外邪の人体の侵襲が
このような扉の不調に喩えられるようにも思います。

続きます。


参考文献:
『中医臨床のための方剤学』
『黄帝内経  素問  上巻』
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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