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神戸にて
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どうも下野です。
今回も『薬性の歌』の記事に参ります。


【原文】
五倍苦酸、療歯疳●、痔癬瘡膿、兼除風熱。
玄明味辛、能蠲宿垢、化積活痰、諸熱可療。
通草味甘、善治膀胱、消癰散腫、能通乳房。
枸杞甘温、添精固髓、明目袪風、陰興陽起。
黃精味甘、能安臟腑、五労七傷、此薬大補。

<第三十七に続く>


【解説】
五倍は苦酸。
虫歯が歯茎にまで侵食した状態を治療する。
痔癬や瘡膿にも用い、
風熱を除く。

玄明は味辛。
垢をのぞく効能がある。
積を化して痰を活し、
諸熱を治療する。

通草は味甘。
膀胱を治すのに優れている。
癰を消して腫を散じ、
乳汁分泌不全を治す。

枸杞は甘温。
益精の働きがあり、髄を固くする。
明目に働き、内風を去る。
陰興し、陽起こす。

黃精は味甘。
臓腑を安じて、五労七傷に
この薬が大いに補う。

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◉五倍子(五倍)

ウルシ科ヌルデの葉に、
アブラムシなどが寄生し形成される
虫癭を熱湯に浸して乾燥させたもの。
性味:酸・鹹・寒
帰経:肺・大腸・腎
効能:
①斂肺降火
・肺陰虚証の慢性咳嗽に。

②渋腸止瀉
・慢性下痢や脱肛に。
方剤例 → 玉関丸。

③渋精縮尿
・遺精や遺尿に。
方剤例 → 玉鎖丹。

④斂汗生津
・盗汗や消渇に。

⑤固渋止血
・血尿や血便、性器出血に。
方剤例 → 玉関丸。
・帯下にも。

⑥その他
・湿疹や化膿症、脱肛、子宮脱に。

◉芒硝(玄明粉)
天然の含水硫酸ナトリウム。
又は風化消。
性味:鹹・苦・寒
帰経:胃・大腸・三焦
※ 為沢先生による解説はこちら
【古医書】傷寒論: 弁陽明病脈証并治 二百三十八章・二百三十九章
※ 本多先生による解説はこちら
大陥胸湯 / 腹證奇覧

芒硝は、
「下腹に溜まった脂肪を分解する漢方」
という名目で一時期よく宣伝がされていた
「防風通聖散」に含まれております。

◉通草

ウコギ科カミヤツデの茎髄。
性味:甘・淡・寒
帰経:肺・胃
※ 本多先生による解説はこちら
当帰四逆湯 / 腹證奇覧

カミヤツデの髄から作られた
通草紙というものがあり、
水彩画の用紙や短冊、しおりに使われたようです。

◉枸杞子

ナス科クコやナガバクコの成熟した果実。
性味:甘・平
帰経:肝・腎・肺
効能:
①滋補肝腎・明目
・肝腎陰虚によるふらつき、めまい、視力低下、流涙等に。
方剤例 → 枸杞丸・杞菊地黄丸。

②潤肺
・肺腎陰虚による慢性咳嗽に。

◉黃精

ユリ科カギクルマバナルコユリや、
その同属植物の根茎。
性味:甘・平
帰経:脾・肺・腎
効能:
①補脾気・益脾陰
・脾気陰両虚の食欲不振や食後の腹脹、便が硬い等に。

②潤肺止咳
・肺陰虚の乾咳、無痰に。

③補腎益精
・腎精不足の脚腰の怠さや無力感、頭がふらつく等に。
・腎陰虚の消渇に。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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