「古人、医也者は意也、といへり。
云意は、意精しければ、医道をしりてよく病を治す。
医書多くよんでも、医道に志なく、
粗く工夫くはしからざれば、医道をしらず。
病を治するに拙きは、医学せざるに同じ。
医の良拙は、医術の精しきと、あらきとによれり。
されども、医書をひろく見ざれば、
医道をくはしくしるべきやうなし。」

貝原 益軒『養生訓』より


下野です。
久しぶりに『養生訓』の記事になります。

今回は「択医」、
つまり良い医者、治療を選択する為の内容となります。
とは言いつつも、
内容的には医を志す者、
または医を生業にする者に向けられて
書かれているのではと思う内容であります。

その「択医」の中に冒頭の文章があり、
その内容は
「医学書を多く読んでも、
医道に志がなく、
治療は雑で工夫がなければ、
医学を学んでいないのと同じである。
ただ医学書を多く読まないと、
医術に精進が出来ないぞ!」
といったものであります。

私達鍼灸師は
最適な治療が出来る様に
日々 書物を読み、学を深めてはいますが、
やはり「治せない、治らない」という
壁にぶち当たります。
そういったときに、
技術不足なのか、知識不足なのか
と言うのは頭に浮かぶのですが、
例えば、鍼を置いておく時間や鍼の太さの選択、
配穴の組合せ、
患者さんとの間合いなど
治療中の創意工夫の不足に関しては
なかな考えつかないものです。

でもこれに気がつけた時、
治療者として成長が出来るでしょうし、
また治療が非常に楽しくなると思います。
よく「●●流治療術」と言うのがあり
それを受け継ぐことも良いでしょうが、
僕はそういったものをベースにしつつも
オリジナルの「下野流」の治療方法を
見つけ出せるように
日々精進していこうと思います。


<参考文献>
『養生訓』 貝原守一博士校訂本
『口語 養生訓』 日本評論社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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