朝焼けと月
朝焼けと月

下野です。
朝の冷え込みがきつく、
起きるのが辛くなってきましたが、
いざ 外に出てみると
空気は澄んで非常に気持ちが良いですね。

では「薬性の歌」に参ります。


【原文】
鬱金味苦、破血生肌、血淋溺血、鬱結能舒。
金銀花甘、療癰無対、未成則散、已成則潰。
漏蘆性寒、祛悪瘡毒、補血排膿、生肌長肉。
蒺黎味苦、療瘡瘙癢、白癜頭瘡、翳除目朗。
白芨味苦、功専収斂、腫毒瘡瘍、外科最善。

<第二十六に続く>


【解説】
鬱金は味苦。
破血し、肌を生じ、
血淋や血尿を治す。
鬱結をよく解消させる。


瘡癰に対して用い、
消散、潰破の効果がある。

漏蘆の性は寒。
悪性の瘡毒を消し退る。
血を補い、膿を排して
肌を生じ、傷口を治す。

蒺黎は味苦。
瘡の掻痒を治療し、
白斑や頭瘡にも用いる。
眼のかすみを取り、鮮明にする。

白芨は味苦。
その効能は専ら収斂であり、
腫毒や癰瘡に用いる。
外科に最も適している。

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◉鬱金

ショウガ科ウコン、
並びにハルウコンの根。
性味:辛・苦・寒
帰経:心・肺・肝・胆
効能:
①行気破瘀
・気滞血瘀の胸や乳房の脹痛や腹満、月経痛など。
方剤例 → 推気散・宣鬱通経湯。
・気血瘀滞の狭心痛に。
・気滞血瘀の脇下の腫瘤や苦しい、痛みなどに。

②清心解鬱
・湿温による意識障害。
方剤例 → 菖蒲鬱金湯。
・温熱病の高熱、意識障害、譫言に。
方剤例 → 牛黄清心丸。
・痰熱内閉の癲癇、狂躁状態に。
方剤例 → 白金丸・癲癇散。

③涼血止血
・血熱瘀滞の吐血や鼻血、血尿などに。
方剤例 → 生地湯。

④利胆退黄
・肝胆湿熱の黄疸や胆石に。

◉金銀花

スイカズラ科スイカズラの花蕾。
性味:甘・寒
帰経:肺・胃・心
効能:
①清熱解毒
・熱毒の皮膚化膿症や咽喉の腫れや痛みに。
方剤例 → 銀花解毒湯・五味消毒散。
・腫れや痛みが強く、消散と潰破を早める時に。
方剤例 → 仙方活命飲。
・腸癰に。
方剤例 → 清腸飲。

②涼血止痢
・熱毒による下痢で膿血便、血便があるとき。

③疏散風熱
・外感風熱、温病初起の発熱、発疹などに。
方剤例 → 銀翹散。

◉漏蘆

キク科ヒゴタイの根。
性味:苦・寒
帰経:胃
効能:
①清熱解毒・消癰
・皮膚化膿症に。
方剤例 → 漏蘆散
・乳腫炎初期の発赤、痛み、腫れに。
方剤例 → 乳癰湯

②行血下乳
・気血瘀滞の乳汁の分泌不全や乳房が脹って痛む。
方剤例 → 漏蘆湯。

◉白蒺黎

ハマビシ科ハマビシの未成熟の果実。
性味:辛・苦・微温
帰経:肝・肺
効能:
①平降肝陽
・肝陽上亢の眩暈や頭痛に。

②疏肝解鬱
・肝気鬱結の胸脇部の 脹りや痛み、乳汁が出ない等に。

③疎肝風熱・明目止痒
・風熱の目の充血や流涙に。
方剤例 → 白蒺黎散。
・風熱の皮疹で、尚且つ痒みが強い時に。

④その他
気滞血瘀の無月経や下腹部の痛みに。

◉白芨

ラン科シランの地下茎。
性味:苦・甘・渋・微寒
帰経:肺・胃・肝
効能:
①収斂止血
・喀血に用いる。
方剤例 → 白芨枇杷散。
・吐血に用いる。
方剤例 → 烏芨合剤。
・外傷の出血に。

②消腫生肌
・皮膚化膿症の初期で潰破するときに。
方剤例 → 内消散。
・手足の熱傷にも。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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