下野です。

『緋色の研究』新潮文庫
『緋色の研究』新潮文庫

最近なぜか推理小説にはまっており、
特に名探偵の代名詞である
コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズシリーズ」を
読んでいます。
今回じっくり読んでわかったのですが、
科学や物理、医学など
色んな事を知ることも出来ますので、
息抜きと共に、良い学びの機会となっています。
秋の夜長にいかがでしょうか?

では『薬性の歌』に参ります。


【原文】
砂仁性温、養胃進食、止痛安胎、通経破滞。
蓮肉味甘、健脾理胃、止瀉渋精、清心養気。
肉桂辛熱、善通血脈、腹痛虚寒、温補可得。
桂枝小梗、橫行手臂、止汗舒筋、治手足痺。
呉茱辛熱、能調疝気、臍腹寒疼、酸水通治。

<第十九に続く>


【解説】
砂仁の性は温。
胃を養って食を進め、
気滞を捌き止痛する。
また妊娠中の胎動不安にも用いる。

蓮肉の味は甘。
健脾して胃を理めて、
止瀉、固精する。
また心を清して気を養う。

肉桂は辛熱。
よく血脈を通じさせる。
虚寒の腹痛に用いる。

桂枝の小梗は
腕を横行して汗を止め、
筋を伸びやかにして手足の痺を治す。

呉茱は辛熱。
疝気を調え、臍腹の寒疼や
酸水を通治する。

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◉砂仁

ショウガ科のヨウシュクシャの種子。
性味:辛・温
帰経:脾・胃・腎
効能:
①行気止痛・消食
・脾胃の気滞や食積による腹満や腹痛に。
方剤例 → 香砂枳朮丸
②開胃止嘔
・湿困脾胃の悪心嘔吐や腹満、食欲不振に。
方剤例 → 香砂二陳湯
・脾胃気虚の悪心嘔吐や食欲不振に。
方剤例 → 香砂六君子湯
・妊娠中の嘔吐。
③温脾止瀉
・脾虚寒湿積滞の下痢や腹痛に。
方剤例 → 縮砂丸
④理気安胎
・切迫流産の腹痛に。

◉蓮子肉

ハスの種子で、蓮肉とも称す。
性味:甘・渋・平
帰経:脾・腎・心
効能:
①健脾止瀉
・脾虚の慢性水様便に。
方剤例 → 参苓白朮湯・啓脾湯
②養心安神
・心神不寧の不眠や心悸に。
方剤例 → 清心蓮子飲
③益腎固精
・腎虚の遺精や不正性器出血や帯下に。
方剤例 → 蓮肉散

◉肉桂

クスノキ科のニッケイ、又は同属植物の幹皮。
性味:辛・甘、大熱
帰経:肝・腎・心・脾・胃
※小堀さんによる解説はこちら → お屠蘇について

中国では香木のことを「桂」と呼び、
肉桂は樹皮が分厚いことから
「肉」という字が当てられたようです。

◉桂枝

桂枝
桂枝

クスノキ科のケイの若枝またはその樹皮。
性味:辛・温・甘
帰経:肝・心・脾・肺・腎・膀胱
※為沢先生による解説はこちら → 【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(上) 十二章・十三章
※本多先生による解説はこちら → 葛根湯 / 腹證奇覧

肉桂との違いは、
作用が穏やかで発汗解肌に働きます。

◉呉茱

呉茱萸
呉茱萸

ミカン科のニセゴシュユ、ホンゴシュユの未成熟な果実。
性味:辛・苦・熱・小毒
帰経:肝・腎・脾・胃
※本多先生による解説はこちら → 呉茱茰湯 / 腹證奇覧

雌雄異株の木のようですが、
日本にあるのは雌木だけと言われており、
雄木はないとされているようです。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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