こんにちは、下野です。
暫くアップ出来ていなかった、『難経』の第七難です。


七難曰、経言、
少陽之至、乍大乍小、乍短乍長。
陽明之至、浮大而短。
太陽之至、洪大而長。
太陰之至、緊大而長。
少陰之至、緊細而微。
厥陰之至、沈短而郭。
此六者、是平脈耶、将病脈耶。

然。
皆王脈也。

其気以何月、各王幾日。

然。
冬至之後、得甲子少陽王、復得甲子太陽王、
復得甲子太陰王、復得甲子少陰王、復得甲子厥陰王。
王各六十日、六六三百六十日、以成一歳。
此三陽三陰之王時日大要也。


医学経典には
「少陽の脈が至る時の形態は、
急に大になったり小になったり、短くなったり長くなったりする。
陽明の脈が至る時は、浮で大で短い。
太陽の脈が至る時は、洪で大で長い。
太陰の脈が至る時は、緊で大で長い。
少陰の脈が至る時は、緊で細で微かである。
厥陰の脈が至る時は、沈で短で重厚である。」
と記されているが、
この六種類の脈は正常な人の脈なのか、それとも病人の脈なのか。

答え。
これらいずれも、その時節に旺んとなる旺脈である。

では各経の気は、どの月に何日間旺んとなるのか。

答え。
※書くと長くなるので、表にしました。

六経

時  候

日数

気  候

脈  象

少陽

冬至後の最初の甲子

60日

陰気まだ消えず、陽気が初めて生じる 急に大になったり、小になったり、短くなったり、長くなったり

陽明

冬至後の二回目の甲子

60日

陰気が次第に消え、陽気が次第に盛んになる

浮・大で短い

太陽

冬至後の三回目の甲子

60日

陰気尽きて、陽気が盛んに 洪・大で長い

太陰

冬至後の四回目の甲子

60日

暑湿が権勢を誇り、秋気が始まる 緊・大で長い

少陰

冬至後の五回目の甲子

60日

陽気が衰え陰気が盛ん 緊・細で微か

厥陰

冬至後の六回目の甲子

60日

陰気全盛 沈・短で重厚

参考:東洋学術出版社『難経解説』

旺んになる気は、それぞれ六十日ずつを主り、
六経すべてで、六六三百六十日となって
ちょうど一年になる。
以上が三陰三陽が旺んとなる季節の概況である。

<解説>
自然界(天)に季節ごとの気候の違いがあるように、
脈象にも陰陽の変化があり、
その時節に旺んとなるべき経の旺脈があるのは正常なことである。
古人は天が六六の節によって一年となることに基づき、
人の六経をそれと組み合わせた。

「冬至」は天地が気を生じ始めた時であり、
冬至以降昼はだんだん長くなり、夜は短くなり
陽がだんだん盛んになるのである。
人に表すと
「少陽」は一陽、「陽明」は二陽、「太陽」は三陽となり、
陽が極まったところで陰が生じ、
それが「太陰」「少陰」「厥陰」と進んでいく。

脈では
「少陽」:陽がまだ生じ始めたので、大小長短が混在。
「陽明」:陽が盛んになるが、まだ陰を含んでいるので浮大短。
「太陽」:陽の極みであるので、洪大長。
「太陰」:陰が生じるので洪が収縮するので、緊大長。
「少陰」:陰が盛んになるが、陽を含むので緊細微。
「厥陰」:陰の極みであるので、沈短郭(重厚)である。
上記の脈象を表すのである。


<参考文献>
『難経解説』 東洋学術出版社
『難経鉄鑑』 たにぐち書店

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