こんにちは、本多です。
今回は縁あって昨年よりお世話になっております、
お店の紹介からさせて頂きます。

阪急・モノレールの山田駅から、
徒歩1分ほどの場所にあります「ICHICA」さんで、
下の写真のご夫婦お二人で経営をされております。
(ブログの掲載許可頂きありがとうございます☆)

ICHICAさん
ICHICAさん

居心地の良さや技術を信頼し、
僕自身今も通わせて頂いております。
さて、なんのお店なのか、
↓こちらをどうぞ
ICHICA

毎回リラックスさせていただいおります♪


では、今回は腹證奇覧に掲載しております、
桂枝加竜骨牡蠣湯についてです。

桂枝加竜骨牡蠣湯

桂枝加竜骨牡蠣湯
桂枝加竜骨牡蠣湯


図の如く臍上中脘の辺に動気つよく。
小腹に弓弦を張りたる如くひき張るものあり。
常に衝逆(のぼせ)、目眩(めまい)の患ありて、
上実下虚、上熱下寒。
脈虚芤なるもの、
桂枝加竜骨牡蠣湯の證なり。
證に曰く、
「夫れ失精家、
小腹弦急・陰頭寒え・目眩・髪落ち、
脈極めて虚芤遅なるを、
清穀亡血・失精と為す。
脈・諸を芤動にして微緊なるを得れば、
男子は精を失し、女子は夢に交わる。
桂枝加竜骨牡蠣湯之を主る」と。
(失精は、夢に交じりて精を失すなり。
男女を別つは、互分にして其の実は一なり。
小腹弦急は、強くすじばること弓弦のごときをいう。
其の證、小腹にあるものは、下虚の候にして、
下降の気すくなく陽気下部に旺ぜざるなり。
髪落ちるもの、皆上実にして、瘀血頭部に集るによるなり。
「脈極めて虚・芤・遅なるは、清穀・亡血・失精となす」とは、
脈例をいう斜挿の文なり。
言うこころは、凡そ脈に、
虚・芤・遅の三證を極めてあらわすは、
下利清穀か、亡血か、失精か、
此の三は場所ありてものなきもの義にて、
浮大にして根のなき脈をいう。芤は、
中の空なる脈をいう。遅は、おそき脈。
三脈ともに気血の虚に属して、陽気の衰えたる脈證なり。
「脈の虚……」以下を、此の方の脈證に取るなり。
言うこころは、以上の脈例に就いて言うときは、
其の三脈の中にて、之を芤動にして微緊なる方に得れば、
失精夢交の脈とするなり。
動は関上にありて上下に首尾なき脈といえり。
蓋し、臍上の築動、之と応ずるものなるべし。
此の方、虚寒の意なし。微緊にして遅ならざる所以なり)


此の方を按ずるに、龍骨・牡蠣の二味を加うるは、
動気衝逆を鎮むるのみにして、
其の余皆、桂枝湯本方の与るところ。
陽を助け、栄衛を調え、
衛気を平らかにして気血相い和せしめば、
諸證自ら癒るものなり。
初編、桂枝湯本条の下に弁ずるの意と同じ。併せ読むべし。
因って此の方の用を弘むるときは、特に失精家のみならず、
所謂、虚労・欝證・赤白濁・小児の胎驚・夜啼・客忤・驚癇の等、
證に随って試効あり。
或曰く。
「故なくして頭髪脱尽すること、麻風の如くなるものに試験す」と。
愚謂らく、亦證に随うにあり。
或は桂枝湯、或は大柴胡湯(加石膏)、或は黄連解毒湯、
亦皆、前證に試験す。
豈、但此れのみならんや。


【桂枝加竜骨牡蠣湯:組成】

桂枝(けいし)

 

桂枝
桂枝

クスノキ科のケイの若枝またはその樹皮。
性味:辛・温・甘
帰経:肝・心・脾・肺・腎・膀胱
主な薬効と応用
①発汗解肌:
風寒表証の頭痛・発熱・悪寒・悪風などの症候時に用いる。
方剤例⇒桂枝湯

②温通経脈:
風寒湿痺の関節痛時に用いる。
方剤例⇒桂枝附子湯

③通陽化気:
脾胃虚寒の腹痛時などに用いる。
方剤例⇒小建中湯

④平衡降逆:
心気陰両虚で脈の結代・動悸がみられるときなどに用いる。
方剤例⇒炙甘草湯

備考:
麻黄の発汗作用には劣るものの温経散寒の作用の効力は強く、
解肌発汗して寒邪を散じることができる。



白芍(びゃくしゃく)

芍薬
芍薬

ボタン科のシャクヤクのコルク皮を除去し、
そのままあるいは湯通しして乾燥した根。
性味:苦・酸・微寒
帰経:肝・脾
主な薬効と応用
①補血斂陰:
血虚による顔色につやがない・頭のふらつき・
めまい・目がかすむ四肢の痺れ、月経不順などの症候に用いる。
方剤例⇒四物湯

②柔肝止痛:
肝鬱気滞による胸脇部の張った痛み・
憂鬱感・イライラなどの症候時に用いる。
方剤例⇒四逆散

③平肝斂陰:
肝陰不足・肝陽上亢によるめまい・ふらつきなどの症状に用いる。
方剤例⇒鎮肝熄風湯

備考:炒用すると補気健脾、生用すると燥湿利水に働く。



生姜(しょうきょう)

生薑
生薑

ショウガ科のショウガの根茎。
性味:温・辛
帰経:肺・脾・胃
主な薬効と応用:健胃・発汗・鎮咳
①散寒解表:
風寒表証に辛温解表薬の補助として発汗を増強する。
方剤例⇒桂枝湯

②温胃止嘔:
胃寒による嘔吐に、単味であるいは半夏などと使用する。
方剤例⇒小半夏湯

③化痰行水:
風寒による咳嗽・白色で希薄な痰などの症候時に用いる。
方剤例⇒杏蘇散

備考:傷陰助火するので、陰虚火旺の咳嗽や瘡癰熱毒には禁忌である。



炙甘草(しゃかんぞう)

甘草
甘草

マメ科のウラル甘草の根。
性味:平・甘
帰経:脾・肺・胃
主な薬効と応用:去痰・鎮咳・抗炎症
①補中益気:
脾胃虚弱で元気がない・
無力感・食欲不振・泥状便などの症候に用いる。
方剤例⇒四君子湯

②潤肺・祛痰止咳:
風寒の咳嗽時に用いる。
方剤例⇒三拗湯

③緩急止痛:
腹痛・四肢の痙攣時などに用いる。
方剤例⇒芍薬甘草湯

④清熱解毒:
咽喉の腫脹や疼痛などに用いる。
方剤例⇒甘草湯

⑤調和薬性:
性質の異なる薬物を調和させたり、偏性や毒性を軽減させる。

備考:生用すると涼性で清熱解毒に、密炙すると温性で補中益気に働く。



大棗(たいそう)

大棗
大棗

クロウメモドキ科の棗(なつめ)の果実。
性味:温・甘
帰経:脾
主な薬効と応用:鎮静・抗アレルギー
①補脾和胃:
脾胃虚弱の倦怠無力・食欲不振・泥状便などの症状に用いる。
方剤例⇒六君子湯

②養営安神:
営血不足による不眠・不安感などに用いる。
方剤例⇒甘麦大棗湯

③緩和薬性:
薬力が強力な薬物に配合し、性質を緩和し脾胃の損傷を防止する。
方剤例⇒十棗湯

備考:湿盛の脘腹脹満・食積・虫積・齲歯・痰熱咳嗽などには禁忌となる。



竜骨(りゅうこつ)

古代の大型哺乳動物の化石。
種々の原動物が知られ、
主なものにゾウ・サイ・ウマ・シカ・ウシ類のものがある。
性味:甘・渋・平
帰経:心・肝・腎
主な薬効と応用:
①鎮心安神:
心神不寧の動悸・健忘・不眠・
多夢・驚きやすいなどの症候時に用いる。
方剤例⇒桂枝加竜骨牡蠣湯

②平肝潜陽:
肝陰虚陽亢による頭のふらつき・めまいなどの症候時に用いる。
方剤例⇒鎮肝熄風湯

③収斂固脱:陽虚の自汗に用いる。
方剤例⇒二加竜牡湯

④生肌斂瘡:皮膚の潰瘍や外傷出血時に用いる。

備考:湿熱や実邪には使用してはならない。



牡蠣(ぼれい)

牡蠣
牡蠣

イタボガキ科のマガキ、
イタボガキやその他同属動物の貝殻で、
通常は左側が利用される。
性味:鹹・渋・微寒
帰経:肝・胆・腎
主な薬効と応用:
①鎮驚安神:
心神不寧による驚きやすい・ビクビクする・
焦燥感・不眠・多夢・動悸などの症候に用いる。

②益陰潜陽:
熱病傷陰・虚風内動による四肢の引きつり・ふるえなどに用いる。
方剤例⇒二甲復脈湯

③収斂固脱:
自汗・盗汗時に用いる。
方剤例⇒牡蠣散

④軟堅散結:
瘰癧・痰核・肝腫・脾腫などの症候時に用いる。
方剤例⇒消瘰丸
備考:虚寒に用いてはならない。


【桂枝加竜骨牡蠣湯:効能】

陰陽両虚・心腎不交の失精・夢交などに対して、
陰陽調和栄衛斂精潜陽の効能がある。


参考文献:
『生薬単』 NTS
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会

画像:
『腹証奇覧翼 二編2巻』
京都大学貴重資料デジタルアーカイブより
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/item/rb00004922

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。


本多

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here