京都にて
京都にて

こんにちは、為沢です。
写真は京都での一枚。紅葉の季節ですね♪


ここからは、張仲景の古医書『傷寒論』の解説です。

今回の傷寒論は弁太陽病脈証并治(下)百五十三章と百五十四章。
百五十三章では、汗法、下法、焼鍼法のあと
変証が生じた場合と、その後について。

百五十四章では、心下痞塞し
関脉が脉浮を示す場合の証治について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(下)百五十三章

太陽病、醫發汗。遂發熱惡寒、因復下之、心下痞、
表裏倶虛、陰陽氣並竭、無陽則陰獨。復加焼鍼、因胸煩、
面色青黃、膚瞤者、難治。今色微黃、手足溫者、易愈。

和訓:
太陽病、医発汗し、遂に発熱悪寒し、
因って復た之を下し、心下痞し、

表裏倶に虚し、陰陽の気並び竭き、陽なければ則ち陰独り。
復た焼鍼を加え、因って胸煩し、

面色青黃に、膚瞤する者は、治し難し。
今色微かに黃ばみ、手足溫かき者は、愈え易し。


太陽病、醫發汗。遂發熱惡寒
太陽病は本来汗法で治療を行うが、
依然として発熱悪寒が残るのは

表邪が増強され衰弱していないことを示している。

因復下之、心下痞
この病理を理解せず、
発汗後も解けないのは裏に内伝したと

早急に判断して下法を行った。
裏虚となり、表邪が内陥して心窩痞となったのである。

表裏倶虛、陰陽氣並竭、無陽則陰獨
誤汗により表陽が傷つき、誤下により裏陰が傷ついたので、
表裏の気がどちらも傷ついて虚した。
つまり陰陽の両気が衰弱した状態になり、邪が表になく、
内陥して裏に溜まった心窩痞という変証が出現したのである。
原文では、これを「無陽則陰獨」と表現している。

復加焼鍼、因胸煩、面色青黃、膚瞤者、難治
さらに、この状態で新たに焼鍼を加えた。
それにより津液は損傷して、
火邪は内に逼迫し胸煩が生じた。

中焦・土が虚して衰えているときに、
木邪がこれ乗ずれば木剋土となり、顔色が黃黒くなり、
肌肉がピクピクと動くようになる。
このような場合、
病はかなり重く危険な状態で非常に治りにくい。

今色微黃、手足溫者、易愈
顔色が少し黃色いだけで、手足が温かければ、
幸運にも中焦・土は虚衰せず、
陽気を四肢の末端に送ることができるのだから

回復するメカニズムは残っていると癒える。
比較的治療しやすい。

提要:
汗法、下法、焼鍼法のあと変証が生じた場合と、その後について。

訳:
太陽病に罹り、医者は発汗を行ったが、依然と発熱悪寒がある。
そこで今度は攻下法を施したところ、心下痞がおこった。
この場合は表裏のどちらもが虚し、
陰気と陽気はともに枯渇衰微した状態で、

表証はなくなったが、
心下痞という裏証のみが存在している。

これにさらに焼鍼を行うと、
胸中が苦しくなるが、

もし顔色が青黃で、皮膚の跳動があれば、難治である。
しかし顔色が微黃色で、手足が温かければ、容易に治癒する。


百五十四章

心下痞、按之濡、其脉關上浮者、大黄黄連瀉心湯主之。
大黄二兩 黄連一兩
右二味、以麻沸湯二升、漬之、須臾、絞去滓、分溫再服。

和訓:
心下痞し、之を按じて濡、
其の脉関上浮なるものは、大黄黄連瀉心湯之を主る。

大黄二両 黄連一両
右二味、麻沸湯二升を以て之を漬し、須臾に絞りて滓を去り、分かち溫め再服す。


心下痞、按之濡、其脉關上浮者、大黄黄連瀉心湯主之
邪気が心窩で痞塞し、気機昇降の働きができなければ、
その影響は必ず上下・水火の交流に現れる。
脉位の寸関尺の三部で、
それぞれ上焦・中焦・下焦の様子を候っている。

つまり関部で浮脉を示していれば、
中焦から心胸に向かって熱が通り

煩が生じていることが分かる。
これは中焦が痞塞したことにより

下焦の水が上焦の火を牽制しないために
火が独り上焦で昂ぶっているためである。

大黄黄連瀉心湯

 

大黄
大黄

大黄
基原:
タテ科のダイオウ属植物、
およびそれらの種間雑種の根茎。

しばしば根も利用される。

大黄は苦寒沈降し気味ともに厚く、
「走きて守らず」で下焦に直達し、
胃腸の積滞を蕩滌するので、

陽明腑実の熱結便秘・壮熱神昏に対する要薬であり
攻積導滞し瀉熱通腸するため、
湿熱の瀉痢・裏急後重や
食積の瀉痢・大便不爽にも有効である。

このほか、瀉下泄熱により血分実熱を清し
清熱瀉火・凉血解毒に働くので
血熱吐衄・目赤咽腫・癰腫瘡毒などの

上部実熱にも用い、
行瘀破積・活血通経の効能をもつために、
血瘀経閉・産後瘀阻・癥瘕積聚
跌打損傷にも適し、
湿熱を大便として排出し清化湿熱にも働くので、
湿熱内蘊の黄疸・水腫・結胸にも使用する。
外用すると清火消腫解毒の効果がある。

 

黄連
黄連

黄連
基原:
キンポウゲ科のオウレン、
以上は日本産である。
中国産は同属の川連・味連、
雅連・峨眉連、野黄連・鳳眉連、
雲連などに由来する。

黄連は大苦大寒で、寒で清熱し苦で燥湿し、
心・胃・肝・胆の実火を清瀉し、
胃腸積滞の湿熱を除き、
清心除煩・消痞・止痢に働き、
湿火欝結に対する主薬である。

それゆえ、心火熾盛の煩熱神昏・心煩不眠、
肝胆火昇の目赤腫痛・羞明流涙、

胃熱の清穀善飢、
腸胃湿熱の痞満嘔吐・腹痛泄瀉などの要薬である。

また、清熱泄火・解毒にも働くので、
疔毒癰腫・口舌潰瘍・湿瘡瘙痒および
迫血妄行の吐血衄血にも有効である。

提要:
心下痞塞し関脉が脉浮を示す場合の証治について。

訳:
心下部が痞満し、押さえると柔らかく、
浮脉が関上の部位に現れていれば、大黄黄連瀉心湯で治療する。
大黄二両 黄連一両
右の二味は、たぎった湯二升に浸し、しばらくしてから絞って滓を除き、二回に分けて温服する。


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』   東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社

生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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