こんにちは。
本院受付の日下です。
今回も五味の一つ、辛味の持つ(散・行)の内の散について書いていきます。

この記事では前回ご紹介した表証以外に散が使われているシーンをご紹介します。

中医病因病気学 P449
「陽虛内寒には、2種類ある。1つは陽気不足で寒が裏に入ったために起きるもので、上述の「陰寒内盛」病機にあたる。
もう1つは、陽気が虚損したために、寒が体内に発生したもので、これが虚寒」

前者のパターンは言い換えれば傷寒論にある「直中」が当てはまると思います。
普通の人ならまず三陽の段階で病邪と正気が戦うところが、体が弱いのでそこをすっ飛ばして三陰にいきなり病邪が直撃するものです。

後者のパターンはそのままの意味です。
このあたりにおける「散」の理解は金匱要略 腹満寒疝宿食病脈証治が分かりやすい篇だと個人的には感じています。
特にその中にある記載がある大烏頭煎は烏頭、蜂蜜のみからなる方剤で寒疝を治しているのでとても理解しやすいです。

具体的な解説では
金匱要略解説 金子幸夫著 P221
「裏の陽気が虚し、旺盛になった寒邪が三陰経の走行する臍部に凝結して発散されなくなると臍部周辺に疼痛が出現する。
…烏頭は、大辛大熱有毒で温陽破結・散寒止痛する。」
とあります。

長々と書きましたが、結局のところ
火神派ではなく火神派的な医案解説集 P170
「温裏散寒薬は「辛い」です。辛味とは「発散する力」、発散するからこそ「寒邪を散らす」という散寒作用が実現するのです。」

こちらの解説が全てを表しています。
辛散の理解は附子、乾姜、肉桂、山椒などが含まれる漢方薬の理解に役立つと思います。

参考資料
中医病因病機学 東洋学術出版社 柴崎瑛子訳
金匱要略解説 たにぐち書店 金子幸夫著
火神派ではなく火神派的な医案解説集 星雲社 小金井信宏著
中国傷寒論解説 東洋学術出版社 劉渡舟著

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