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過去のブログ
迎随の補瀉と経絡
迎随の補瀉に見る「令和」?
補瀉迎随の論
・前回→「迎随の補瀉」と『霊枢』の内容

こんにちは、大原です。
前回の続きです。
前回は
補瀉迎随のやり方の根拠となっているとされている、
『霊枢』九鍼十二原論篇(第1)の内容を確認しました。
すると、その内容は
・・・
来たる邪気を迎えてこれを奪すれば(瀉すれば)、

必ず虛となるであろう。
往く邪気を追ってこれを益すれば(補すれば)、
必ず実となるであろう。・・・
と、一般的に言われている「迎髄の補瀉」の内容とは
合致しませんでした。

さて、その内容と関連する箇所が
『素問』離合真邪論篇(27)にありますので
みていきます。
——————————————————————-
『素問』離合真邪論篇(27)
<原文>
・・・眞氣者、経氣也。
経氣太虚。
故曰、其來不可逢、此之謂也。
故曰、候邪不審、大氣已過寫之則眞氣脱。
脱則不復、邪氣復至而病益蓄。
故曰、其往不可追、此之謂也。

<読み>
眞氣とは経氣なり。
經氣はなはだ虚す。

故に曰く、其の来るや逢うべからずとは此れをこれいうなり。

故に曰く、邪を候いて審ならず。

大氣已に過ぎてこれを寫せばすなわち眞氣脱す。
脱すれば復せず。邪氣また至り病ますます蓄すと。
故に曰く、其の往くは追うべからずとは此れをこれいうなり。

<意味>
「真気とはすなわち経脈を流れる経気である。
したがって経脈中に盛んな邪気があるということは、
それだけ経気が虚するということになり、
経気ははなはだ虚している状態にあります。

今もし何の考慮もなく、うっかり来る邪気を迎えて刺すときは、
かえって真気までも脱することになります。
その来るや逢うべからずというのは、
そのことをいうのです。

また、これと反対に、邪の来るのをうかがっていても
詳細のことを知ることができないので、
大気(邪気を押しだす気)が
すでに過ぎてしまってからこれを瀉した場合には、

真気だけが抜け出してしまいます。
ひとたび抜け出した真気は二度ともとの経脈にもどって行くことは
できるものではありません。
したがって次の邪気がくり返しやってきて、
前の邪気の上に積み重なり、病はますます蓄えられることになります。
その往くものは追うべからずと申すのは、
つまりそのことをいうのです」
(以上、『鍼灸医学大系 黄帝内経素問⑤』 雄渾社 p.2221〜2232 より。
<意味>については同文献の、「語句の解」も参考にした。)

———————————————————————–
となり、要約すると次のようになります。
・経気が虚しているから邪気がある
・邪気を迎えて刺すと、かえって真気を脱する(虛となる)
・邪気を往くのを刺すと、邪気が蓄えられる(実となる)

つまり、
一番上の、
『霊枢』十二原論篇(第1)の内容と合致します。

このように考えますと、
ここで書かれている内容や、
先の『霊枢』十二原論篇(第1)の、
いわゆる「迎髄の補瀉」の根拠とされている記述の部分は、
邪に対して
迎えて鍼をすること、往くものに鍼をすること、
これらに対する注意が
書かれていると読めるのではないでしょうか。

ちなみに、
今回の『素問』離合真邪論篇(27)は
このあと
「ではどうやって治療を行うのか」
という内容が続きます。

夕焼け
夕焼け

 


■参考文献

『鍼灸医学大系 黄帝内経素問⑤』 雄渾社
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢①』 雄渾社
『現代語訳◉黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『霊枢講義』 学苑出版社
電子辞書 CASIO EX-word xd-n7300

興味がございましたら、ぜひ参考文献もお読みください。

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