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こんにちは、大原です。
前回の続きで、今回は
第三 漢方医書 妄誕多し」についてです。
この題名だけ見ると、
東洋医学を批判しているかのような内容に思われますが、
どうでしょうか、読んでみましょう。
(前回の記事:『医界之鉄椎』より 其の二 )

十七頁
十七頁
十八頁
十八頁

本書の著者である和田啓十郎先生は、
明治政府による西洋医学のみを推進していく政策に
疑問を投げかけ、
漢方は決して陳腐なものではなく、
むしろ内科疾患においては
西洋医学よりも東洋医学の方が優れているのではないかとの
考え方を示されました。(前回の内容より)

ですが、東洋医学の歴史をみると、
それら東洋医学の医書にも
問題がないわけではないという内容が
今回の内容です。

本文の最初で、
漢方の医書に妄誕無稽のもの甚だ多しと。」とあり、
その具体的理由がそのあとに述べられています。

五行の推理法は遂に一切事物の推理法にして
又説明法たりになり。これより以後、医は手足を収めて
陰陽五行の削説中に萎縮し睡眠し。
天下また一人の此規外に脱出する者なかりしなり。
病理の大本既にかくの如し。
いわんや、人身の解剖的関係においてをや
とあり、
人体の生理・病理をすべて五行にあてはめて考える
東洋医学の考え方の一つに疑問視をしています。

そのあと、たとえば
肺壊疽、肺膿瘍結核という異なる肺の病が、
五行にあてはめて考えるにとどまると、
混同してしまうと続きます。

江戸時代の日本においては、
このような五行にあてはめて考える医療の考え方に対し、
古方派と呼ばれる派閥ができ、
五行論を機械的に運用することは疑問がある。
古書である傷寒論などを参考にして治療をすべきだ
という考え方がおこってきました。それが次の頁に記されています。
(ちなみに、古方派に対して、
五行を機械的に運用する一派を後生派といいます。)

十九頁
十九頁

————————————————-
次に、
当時の西洋医学についても所見を述べられています。

熱性の病に対して、西洋医学では
体温器の検査結果に基づいて
「熱が高いから、その熱を冷ますべきだ」とし、
治療方針は絶対にその熱を冷ます方法をとる。
しかし、今までの東洋医学での考え方によれば
熱性の病に対して必ずしもそれを冷ます方法を取ることはなく、
むしろ体温の保温を要すべき場合があり、
今までもそのようにして治療実績があった。
西洋医学における考え方にも誤りがあるのである。
とあります。

二十頁
二十頁

最後に、まとめとして、
西洋医学にも誤診はあり、
古い医学である東洋医学だけが
必ずしも悪いという考え方は疑問である。
医学における迷信や誤診を取り除き、
治療に効果のあるものが医療として残るべきである。

確かに、東洋医学には迷信めいたものも多くあるが、
治療効果のあるものも多くある。

その見極めが必要ではないのか。
としめくくられています。

著者の和田先生は
東洋医学と西洋医学の両方の良い点や悪い点を
冷静に見られていたことが分かります。


参考文献
『復刻 医界之鉄椎』たにぐち書店

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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