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こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第十五章「論《原病式》病機十九条」の其の一です。



和訓:
《内経》の一十九条は、實に病機の要旨を察す、
末言まつげんの“有者求之、無者求之、盛者責之、虚者責之”、
を以て篇首の“盛者瀉之、虚者補之”の旨に答える、
総結して一篇十九条の要法となす、此れ正に先聖せんせいの心傳の妙旨なり。
劉河間は其の顚末てんまつを略にし、此の一十六字を遺て、
独り其の中の十九条病の病機のみを取りて、
《原病式》と為して著し、盛氣實邪に偏りて言い、
俱に火に重きを帰す者は十の七八なり、
虚邪に及ばざるに至りて、全く相いかえりみず。
又云う:「其の治を爲すは但だ其の過甚の氣を瀉すべきのみ、
反って其の兼化けんかを誤る可からず。」
立言りっげんの此のごとければ虚者は何ぞ堪えんや?


・『黄帝内経 素問』の至真要大論の中に
病機に関する十九条は、病機の要旨を実によく察しているものである。

・その十九条の前に“盛者瀉之、虚者補之”とあり、
そして十九条の後に“有者求之、無者求之、盛者責之、虚者責之”、
とあるが、これは虚実の本を探求して、それを適切に補瀉すべきであると
指摘しているものである。
それがこの十九条の総括とも言えるものであり『素問』の真意もそこに存在するものである。

・劉河間はその前後の大切なところを捨てて、
その間の十九条の病機だけを取り上げて
素問玄機原病式』という書を著し、その内容は盛気実邪に偏っていて、
十中八九は火熱であるとしているし、
虚邪についてはほとんど述べていない。

(『素問玄機原病式』 / 劉完素 述
詳しくはこちらで御参照下さい ↓)
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ya09/ya09_00042/index.html

・これでは全面的なものとすることはできない。

・また治法においては、
過盛の邪気を瀉すべきであるとし、その病の兼証や変証に騙されてはならないと述べている。

・このような劉河間の考え方に従っていたら、
虚する者は治療に堪えることができないのでは?


原文:
《内経》一十九条、實察病机之要旨、
末言“有者求之、無者求之、盛者責之、虚者責之”、
以答篇首“盛者瀉之、虚者補之”之旨、
総結一篇十九条之要法、此正先聖心傳妙旨。
劉河間略其顚末、遺此一十六字、
独取其中十九条病机、着爲《原病式》、偏言盛氣實邪、
俱帰重於火者十之七八、至於不及虚邪、全不相顧。
又云:其爲治、但当瀉其過甚之氣、不可反誤其兼化。
立言若此、虚者何堪?


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『格致餘論注釈』医聖社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
『景岳全書』台聯國風出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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