こんにちは、大原です。
前回に続いて、金匱要略 痙湿暍病脈証治(第2)の
今回は二回目です。
有名な方剤が少しずつ出てきておりますので
しっかり読んでいきましょう!
(前回のブログ:金匱要略 痙湿暍病脈証治(第2)①

<条文2-13>
太陽病、無汗而小便反少。氣上衝胸。口噤不得語。欲作剛痓。葛根湯主之。
(太陽病、汗無くして小便反って少なく、気上がって胸を衝き、口噤し語ることを得ず。剛痓をなさんと欲す。葛根湯之を主る。)

→汗が出なければ小便が多くなければならないが、かえって少なくなっている。
そして口をきゅっとむすんでしゃべることができないというのは(「口噤不得語」)、
剛痓を作ろうとしているので、葛根湯が良い。

これまで、剛痓と柔痓の2つが出てましたが、
剛痓とは激しい痙攣で麻黄湯などが、
柔痓とは軽いもので桂枝湯などが良いということでした。
この条文では葛根湯を用いて強く発散させているということですね。

葛根湯の方
葛根(四両)、麻黄(三両、節を去る)、桂枝(二両、皮を去る)芍薬(二両)、甘草(二両、炙る)、生薑(三両)、大棗(十二枚)
右七味、㕮咀(ふそ)し、水一斗を以て、先ず麻黄、葛根を似て、二升を減じ、沫を去り、諸薬を内(い)れて、煮て三升を取り、滓(かす)を取り、一升を温服、覆うて微似汗を取る。不粥を啜るを須(もち)いず。餘(よ)桂枝湯法の如く、将息及び禁忌す。

<条文2-14>
痓爲病、胸滿口噤。臥不著席。脚攣急。必齘齒。可與大承氣湯。
大承氣湯方
大黄、四両酒洗 厚朴、半斤炙去皮 枳實、五枚炙、芒消、三合
右四味。以水一斗。先煮二物。取五升。去滓。内大黄。煮取二升。去滓。内芒消。更上火。微一二沸。分温再服。得下止服。

(痓の病たる、胸満し、口噤し、臥して席に著(つ)かず、脚攣急(れんきゅう)し、必ず歯をかみならず。大承氣湯を与うべし。)

大承氣湯方
大黄(四両、酒洗す)、厚朴(半斤、炙り、皮を去る)、枳實(五枚、炙る)、芒消(三合)
右四味、水一斗を以て、まず二物を煮て五升を取り、滓(かす)を取り、大黄をいれて煮て二升を取り、滓を去り、芒消をいれ、更に火に上げ、微しく一、二沸し、分かち温め再服す。下(げ)を得れば服するを止(とど)む。

大承気湯は瀉下剤の中でも(小承気湯、調胃承気湯)強いものです。
解説本によると、
大承気湯は、葛根湯を使う場合より更に症状がはげしくなってきているときで、
胸満、口噤、仰臥することができない、脚が攣急(れんきゅう:ひきつけのこと)し、
歯を食いしばっているという症状から、これは破傷風である。
承気というのは気をめぐらすという意味で、気をめぐらせれば瘀血も去るといえ、
大承気湯はかなり応用範囲の広い薬方だと思われる。

破傷風といえば、予防ワクチンや、
破傷風菌に対する抗菌薬で治療を行うというイメージが
現代では一般的な認識だと思います。
ですが、一昔前は、
あらゆる症状に対しては漢方での治療が当たり前で、
そのような時代では、
この大承気湯などの強い漢方薬を用いて、
破傷風といった
きつい症状のものを治していたということですね。

続きます。

木陰で一休み
木陰で一休み

<参考文献>
『金匱要略講話』 創元社
『金匱要略も読もう』 東洋学術出版社
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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