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こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第十三章「論陽常有余」の其の二です。



和訓:
天癸の未だ至らざるも、本より氣に由り、
而して陰氣の自半なるも、亦た氣に由ることを知らずや、
是れ形は陰に屬すと雖ども、氣は則ち陽に従うなり。
故に人身の通体の溫かきは陽氣なり。
既に死すに及べば、則ち形は存し氣は去る、
此は陽は前に脱し、陰は後に留るなり。
生は陽に由り、死も亦た陽に由ると見る可し。
陽に非ずば物の死すこと能わんや、
陽の来りなば則ち生きん、陽去らば則ち死せん。
故に経に云う:陽氣は、天に日を与えるが若し、
其の所を失えば則ち寿を折りて彰ならざらん。
人の生は、只だ此一息の真陽の運行を爲せると見る可し。
孰んぞ陽は常に有余なりと謂いて、苦寒の味を以て此の陽氣を伐せんや?


・天癸の至らないのも気によるものであり、
陰気が自ら半ばになるのもまた気に由るものである。

・形体は陰気に属すけども、その形を動かすのは気は陽に属するものである。
だから人の身体を温めるのは陽気である。

・人が死んでしまえば、形は残るが気は失われてしまう。
これは陽気が先に脱して、陰が後に残っているものである。

・生きることは陽の作用であり、死ぬことも陽によるものである。

・陽の作用が無ければ、そもそも死もありえないのであり、
陽が来るから生き、陽が去るから死ぬのである。

・『素問』生気通天論
”陽氣者、若天与日。失其所、則折寿而不彰。”

和訓:
陽氣は、天に日を与えるが若し。
其の所を失すれば則ち寿を折りて彰かならず。

陽気とは天に太陽が有るがごときもので、
天と太陽の関係がうまく行かないと天候が不順になり
人の寿命が短くなる。

と述べている。

・このようなことから、
人の生命はただひたすらに真陽が運行するものであると言えるであろう。
どうして陽は常に有余があるなどと言って、
苦寒の味の薬でもってこの陽気を消伐すべきであろうか?


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『格致餘論注釈』医聖社
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『宋本傷寒論』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社
『校釈 諸病源候論』緑書房
『景岳全書』台聯國風出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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