【原文】
胃乃脾之剛、脾乃胃之柔、表裏之謂也。
飲食不節、則胃先病、脾无所稟而後病、
労倦則脾先病、不能為胃行気而後病。
其所生病之先後雖異、所受邪則一也。
胃為十二経之海、十二経皆稟血気、滋養于身、
脾受胃之稟、行其気血也。
脾胃既虚、十二経之邪、不一而出。

【書き下し】
胃はすなわち脾の剛、脾はすなわち胃の柔、表裏これを謂うなり。
飲食不節、すなわち胃先ず病み、脾 稟する所なく後に病む。
労倦すなわち脾先ず病み、胃 気をめぐらすこと能わずして後に病む。
その病の生ずるところの先後異なるといえども、邪を受ければすなわち一なり。
胃は十二経の海、十二経みな血気を稟し、身を滋養し、
脾は胃の稟を受け、その気血をめぐらすなり。
脾胃虚せば、十二経の邪、一ならずして出る。

【現代語訳】
胃は脾にとっての剛(という存在)であり、
脾は胃にとっての柔(と言う存在)である。
飲食に節度がないと、まず胃が病となり、
脾が稟*1を受け取れず病む。
過度な労働や運動不足があると脾が先に病となり、
胃が気をめぐらすことが出来ずに病む。
病の生じるところは異なってはいるが、
邪を受ければ一つとなる*2
胃は十二経の海であり、十二経はすべて気血を稟し、身を養っており、
脾は胃の稟を受けて、気血をめぐらす。
脾胃が(ともに)病となると、
十二経の邪は、一つでなくなり現れる*3

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*1
「稟」には「こめぐら」という意味がある。
飲食によって体内に取り入れた有用なもの
ぐらいの意味で取るのが良いだろう。
*2
おそらく、病の生じるところは違うが
結果としてお互いに病むことを「一」と
表現したものと思われる。
*3
上の文と対句的に書かれている。
ここではいろいろな症状が現れることを
述べているものと思われる。


中医学的には飲食で脾胃を傷ると考えるが
ここでは飲食不節と労倦によって傷られる蔵府が異なるとしている。 

参考文献
『脾胃論』人民衛生出版

※『脾胃論』は金元四大医家と言われた
李 東垣(り とうえん)の名著です。
興味を持たれた方はぜひ原文をあたって下さい。

美味しいガスパチョ
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