この傷寒論のシリーズは、
当院の修行生によって毎週、水曜日の早朝に開かれる、
自主的な勉強会におけるメモ・備忘録となります。
古典の専門家によるものではなく、
一から学ぶ者の新鮮な目線を共有出来れば幸いに思います。


太陽病上篇より

9/14(水)
板書1

板書2

 

(30条)
問曰、証象陽旦、按法治之而増劇、厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語。
師曰、言夜半手足当温、両脚当伸後如師言。何以知此?
答曰、寸口脈浮而大、浮為風、大為虚、風則生微熱、虚則両脛攣、病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、附子温経、亡陽故也。
厥逆、咽中乾、煩躁、陽陰内結、譫語、煩乱、更飲甘草乾姜湯、夜半陽気還、両足当熱、脛尚微拘急、重与芍薬甘草湯、爾乃脛伸。
以承気湯微溏、則止其譫語、故知病可愈。


本条文は、桂枝湯に対して誤治を行ったとする設定や、
症状、用いられる方剤など、前条を汲む内容であり、
前条の内容の注釈ではないかとする見方もある。
そのため、解説本では、29条を詳細に解説して
この30条の解説を省略しているものが多い。

30条の内容としては、
桂枝湯の証と思い込み治療を行ったが
厥逆、咽中乾、両脛拘急而譫語
(手足の冷え、喉の渇き、両脚のひきつり、うわごと)の症状が出てしまう。
だが、夜半にそれらの症状が治まると予測できたのはなぜか?
という問いに対するものである。

問いに対しての答えは、
脈が「浮而大」で、かつ、症状から
桂枝湯を用いて症状が悪化した後、
29条の考察のように、適切な考察・処置を行うことで
陽気・陰気が回復して
症状が治まるという予測ができたということである。

ところで、条文中に
病形象桂枝、因加附子参其間、増桂令汗出、附子温経、亡陽故也。
とあるが、この通りに読むと、
「附子を用いて経を温めると、陽気を亡す」となり、誤った解釈となる。
この一文は、文節の順番を下記のように入れ替えると良いのではないだろうか。
病形象桂枝、増桂令汗出、亡陽故也、附子温経、因加附子参其間。
(病は桂枝湯証のようにみえるので、桂枝湯を用いて発汗させると、陽気を亡す。
附子は経を温めるので、附子を加えるべきである。)

最後に、承気湯を用いる場面についても記述があるが、
これは29条の内容を踏まえたもので、
さらに、症状の中の「陽明内結」に対する処置であろう。 

参加者:下野、新川、大原、小堀


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