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下野です。
今回は「薬性の歌」の記事になり、
何首烏、五味子、山茱萸、石斛、補骨脂
についてです。

【原文】
何首烏甘、添精種子、黒髪悦顏、長生不死。
五味酸温、生津止渇、久嗽虚労、金水枯竭。
山茱性温、渋精益髓、腎虛耳鳴、腰膝痛止。
石斛味甘、却驚定志、壮骨補虛、善驅冷痺。
破故紙温、腰膝酸痛、興陽固精、塩酒妙用。

<第三十八に続く>


【解説】
何首烏は甘。
精を補い、生殖器系を調え、
髪は黒くて顔に艶を出す。
長生不死の薬。

五味は酸温。
津を生じて渇を止める。
慢性の咳嗽や身体疲労、
肺腎の枯渇に。

山茱は性温。
渋で精を固摂して髄を益す。
腎虚や耳鳴りに用い、腰膝の痛みを止む。

石斛は味甘。
驚を去り心神を定め、
虚を補い骨を強くする。
冷痺を駆逐する。

破故紙は温。
腰膝の酸痛に用いる。
腎陽を興して、固精する。
塩酒にて炒って用いる。

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何首烏かしゅう

タデ科ツルドクダミの塊根。
性味:苦・甘・渋・微温
帰経:肝・腎
効能:
①補肝腎・益精血・生発烏髪
・肝腎精血不足のふらつきや目がかすむ、めまい、耳鳴り、
腰や膝がだるく力が入らない等に。
方剤例 → 七宝美髯丹・烏髪丸・補血生髪湯。

②截瘧
・久瘧に。
方剤例 → 何人飲。

③解毒
・皮膚化膿症に。
方剤例 → 何首烏散。
・頚部のリンパ節種。
・血虚狭風の皮膚の痒みに。
方剤例 → 当帰飲子。

③潤腸通便
・腸燥の便秘に。

五味子ごみし(五味)

五味子
五味子

マツブサ科チョウセンゴミの成熟した果実。
性味:酸・温
帰経:肺・心・腎
※為沢先生による五味子の解説記事
【古医書】傷寒論を読む:弁太陽病脈証并治(中)四十章・四十一章

五味子の由来は、
その字の如く果実の中に
「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹」の五味が
あることからつけられました。

山茱萸さんしゅゆ(山茱)

ミズキ科サンシュユの成熟果肉。
性味:酸・渋・微温
帰経:肝・腎
効能:
①補益肝腎
・肝腎不足による腰や膝がだるく無力、めまいやふらつきに。
方剤例 → 左帰飲・左帰丸・六味丸・河車大造丸・右帰飲・右帰丸・八味丸。

②渋精縮尿
・腎虚の遺精や頻尿、尿失禁に。
方剤例 → 草還丹・山茱萸丸。

③固経止血
・衝任虚損による不正性器出血や月経過多に。
方剤例 → 固衝湯。

④斂汗固脱
・虚脱、又は慢性の病で汗が止まらない。
方剤例 → 来復湯。

石斛せっこく

ラン科セッコク属、
もしくはその他の同属植物の茎。
性味:甘・微寒
帰経:肺・胃・腎
効能:
①養胃生津・滋陰清熱
・熱病傷津の口渇や胃陰虚の消渇に。
方剤例 → 清熱保津方・祛熕養胃湯。
・陰虚内熱の微熱や焦燥感に。
方剤例 → 石斛湯。

②滋腎陰・明目強腰
・腎陰虚の視力低下や腰や膝が無力などに。
方剤例 → 石斛夜光丸。

補骨脂ほこつし(破故紙)

マメ科オランダビユの成熟した種子。
性味:辛・苦・渋・大温
帰経:腎・脾
効能:
①補腎壮陽・固精縮尿
・腎陽虚の勃起不全や遺精、遺尿に。
方剤例 → 補骨脂丸・破故紙丸。
・腎陽虚の腰痛や冷え、膝の無力感に。
方剤例 → 青娥丸。

②温脾止瀉
・脾腎陽虚の五更泄瀉に。
方剤例 → 二神丸・四神丸。

③温腎納気・平喘
・腎陽虚、不納気の呼吸困難に。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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