雪(1月下旬 大阪)
雪(1月下旬 大阪)

こんにちは、大原です。

前回(太陽経と膀胱・小腸 その1)の続きです。

前回の記事では、
小腸と膀胱が連携して小便を生成する
という臓腑の働きと、
太陽経脈の異常が小便の生成に関係しているのかどうかを、
霊枢経脈篇にある
いわゆる是動病・所生病の記述を
みていきました。

ですが、経脈篇の中で、
小便の異常については記されていませんでした。

では、関連づけられる記述はないのでしょうか?

さて、傷寒論に目を移してみますと、
太陽病に関する記述の中で、
「小便不利」という記載を見つけました。
原文から追ってみましょう。

<辨太陽病脈證并治6条>
太陽病、発熱而渇、不悪寒者、為温病。

若発汗已、身灼熱者、名風温。
風温為病、脈陰陽倶浮、自汗出、身重、
多睡眠、鼻息必鼾、語言難出。
若被下者、小便不利、直視、失洩。
若被火者、微発黄色、劇則如驚癇、時瘈瘲、
若火薫之、一逆尚引日、再逆促命期。

読み下し
太陽病、発熱して渇し悪寒せざる者は、温病と為す。
若し発汗し已(終)り、身灼熱する者は名づけて風温となす。
風温の病たる、脈陰陽倶に浮、自汗出て、身重く、
睡眠すること多く、鼻息すれば必ず鼾し、語言出で難し。
若し下を被る者は、小便不利、直視し、失洩す。
若し火を被る者は、微なれば黄色を発し、劇すればすなわち驚癇し、時に瘈瘲す。
若し火にて之を燻すれば、一逆して尚日を引き、再逆すれば命期を促す。

→これは傷寒ではなく
温病にかかった場合について述べられています。
5行目に「小便不利」とあり、これは
小便の量が少なくなることをいいます。
その直前の「下を被る者」とは、
誤って瀉下剤を用いた場合のことで、
陰液が消耗するために
小便が少なくなることをいいます。

すなわち、温病に対して、
誤って瀉下剤を使ったために
身体の中の水分が消耗したために
小便の量が減るということです。

・・・ということは、太陽経脈の失調が
小腸や膀胱に影響を及ぼすという内容では
なかったですね・・・。(直接的には)

気を取り直して、
他の条文に、「小便難」という記述がありましたので
見ていきましょう。

<辨太陽病脈證并治20条>
太陽病、発汗、遂漏不止、其人悪風、

小便難、四肢微急、難以屈伸者、桂枝加附子湯主之。

読み下し
太陽病、汗を発して遂に洩れ止まず、其の人悪風し、
小便難、四肢微急、以て屈伸し難き者は、桂枝加附子湯之を主る。

「小便難」とは、そのまま「小便が出にくい」ということです。

条文全体の意味としては、
太陽病は発汗法を用いるのが基本的な治し方ですが、
発汗させて汗が止まらず、悪風し、小便の出が悪くなるなどの
症状が出た場合には、
桂枝加附子湯を用いるべし、となります。

太陽経を犯す外寒邪を除こうと発汗させて、
それをやり過ぎたために、
小便の出が悪くなるということです。

・・・これは、次の二つの可能性が考えられると思います。

①太陽経を調えようとしたが
逆に太陽経脈を犯してしまい、

そのため小腸や膀胱が失調して小便が出にくくなった。

②発汗によって陰液を消耗させてしまい、
小便が出にくくなった。

さて、①②どちらの解釈が正しいのでしょうか?

長くなりましたので、考察は次回にしましょう。


参考文献:

『傷寒論を読もう』 東洋学術出版社
『黄帝内経 素問 上巻』 東洋学術出版社
『黄帝内経 霊枢 上巻』 東洋学術出版社

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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