インド料理屋さんにて
インド料理屋さんにて  
ナンの大きさに驚きました!(写真では大きさが分かりにくいですが・・・)

こんにちは、大原です。
前回に続いて、黄帝内経によく使われている
助詞をみていきます。
今回は「」についてです。

・「而」・・・「〜にして」「しかして」(順接または逆接のはたらき)

例1経脉十二者、伏行分肉之間、深不見。
〜霊枢 経脈篇(第十)より〜
(十二経脈なる者、分肉の間を伏行し、深くして見えず。)

1節目の「」は主語を強める働きがあるので、
十二経脈というのは、〜である」という意味です。
」は、「深いので」と
」を順接の意味で用いるのが
自然なとらえ方だと思います。
すなわち、「を順接、逆接の
どちらの意味でとらえるべきかは、
その文章の前後の意味から決まるようです。
この文章をまとめると
十二経脈というのは、肌肉の間を深く進んで行くので、
見えないものである」といったニュアンスになります。

例2凡刺之道、気調止。
〜霊枢 終始篇(第九)より〜
(およそ刺の道は、気調えば止む。)

これは、霊枢終始篇に出てくる
治療原則についてのはじめの文章です。
そのまま「刺の道は、気が調えばやめる
というニュアンスになりますので、
意訳すると
鍼治療とは、気を調えることを目的とする
となると思います。

ちなみに、はじめの文字の「」には
一般的に」とか「ひろく
というような意味があるようです。
「凡例(はんれい)」という言葉がありますね。

例3虚者、脈大如其故不堅也。
〜霊枢 終始篇(第九)より〜
(虚なる者は、脈の大なること其の故(もと)の如くして
堅からざるなり)

この文章は、同じく霊枢終始篇から、
例2の文章の少し後に出てくる文章です。
実証の人に瀉法を用いた後の、
その脈の状態について
述べられている内容の一部です。

」とは、一般的には
正気が不足している状態のことですが、
ここでは瀉法を用いたことによって、
脈の状態に変化があった場合が述べられています。

虚者」で、その「虚」の状態の場合は
こういう脈をしているものであると述べられています。
」の前の「脈大如其故」は
脈の大きさがもとの状態(実証のときの脈の状態)のようで
というニュアンスになります。
」の後の「不堅也」は
堅い脈象はない」というニュアンスになります。
では、この「」はどのような意味になるでしょうか?

この文章は瀉法を用いた治療後の
状態について述べられているので、
脈の大きさがもとの状態のようである
という内容がそのまま続くのは不自然です。
そのため、この「」は逆接とするのが
自然でしょう。つなげると、
脈の大きさがもとの状態(実証のときの脈の状態)のようで
あっても、堅い脈象がない
となります。

実証の場合、
一般的には堅くて有力な脈になると言われます。
脈が有力でも、その中に硬さがないことを
不堅」と表現しているのでしょう。
「虚実」についての知識がないと理解しにくい文章ですね。

ちなみに、この後は、
堅如其故者、適雖言故、病未去也。
と続きます。これは
脈の中に堅さが残っていれば、
元の状態()に戻った(症状が治った)と感じても、
病はまだ去っていないのです

というニュアンスになります。

続きます。

※正確な現代語訳や読み下し文、
その他漢文の解説に関する内容は、
参考文献を参照してください。


参考文献:
『黄帝内経  素問 上巻』 東洋学術出版社
『黄帝内経  霊枢 上巻』 東洋学術出版社
『基礎からわかる漢文』 日栄社
『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 』 講談社学術文庫

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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