年の瀬
(2階一鍼堂の玄関先から)
年の瀬のせいか、人や車の動きが慌ただしく感じます。
交通事故を起こしたり、事故に遭わないように気を付けましょう!

こんにちは、大原です。
最近、黄帝内経の内容を
もう一度確認してみようと思い、
訳文からではなく
できるだけ原文から意味を考えるようにしています。

訳文には、訳者の意図が入っていることが多く、
原文だけを純粋にみると
「その訳の内容はどこから出てきたのか?」
という内容に遭遇したりします。

これは、訳者のもつ原文への理解、
すなわち「こういうことを言いたいのだろう」
という、想像力や文章の内容に不随する知識、
さらに時代背景なども考慮した結果だと思います。

そのため、解説本を読む時、
原文に全くあたらずに
訳文だけをみてしまうと、
訳者の意図と原文の内容とが区別されずに
読んでしまうことになると思います。

原文を読むのに必要なのは、
一言でいうと漢文を読み解く力かと思いますが、
漢文独特の文法、すなわち、多く出てくる
助詞の訳し方が重要と思います。

そこで、素問の霊欄秘典論篇(第八)を例に、
漢文によく出てくる基本的な助詞を
みてみましょう。

「者」・・・もの (主語を強調する働きがある。)

例:、君主之官也。
(心なる者、君主の官なり。)

ここで主語は「心」ですので、
心を強調させることから、意味としては
心というのは、君主の官である」という
ニュアンスになると思います。

「以」・・・もって (「〜を用いて」(または、特に意味のない場合もある))
「則」・・・
すなわち (「〜であれば、〜である」)

例:故主明下安此養生寿、歿世不殆。
  為天下、大昌
(ゆえに、主が明らかなればすなわち下安んじ、
これをもって生を養えばすなわち寿、
世をおうるまであやうからず。)
もって天下をおさむれば、すなわち大いにさかんなり)

1つめの文章ですが、
2節目の以此「此(これ)」は、
前段の故主明則下安を指していると
考えるのが自然だと思います。

すると、「」は、「〜を用いて、〜によって」という
意味として用いられていると思われます。
」は、そのまま「〜であれば」という意味でしょう。

大まかに文章全体の意味を考えると
「主(君主)」が「明(明らか)」であれば、
主の「下(部下)」も「安じ(正常となり)」、

このように生を養えたなら長寿となり、
あやうく(病に)ならない

というニュアンスで良いと思います。

2つ目の文章ですが、ここでの「」は
文章の調子を調えるようなものとして
とらえても良いかも知れません。
ですが、前文を受けて「以為天下」とあるので、
先程出てきた「〜を用いて、〜によって
というニュアンスとしてとらえても良いと思います。

大まかな意味は、
「(このように)、天下をおさめたとしたら、
大変さかんになる(栄える、隆盛になる)でしょう」
というようなニュアンスでしょう。

このように、漢文の助詞の意味は、
文章の内容から、その前後の関係によって
決まる場合が多いようです。
助詞は多く出てきますので、
その用い方がある程度分かると
読みやすくなると思います。

続きます。

※正確な現代語訳や読み下し文、
その他漢文の解説に関する内容は、
参考文献を参照してください。


参考文献:
『黄帝内経  素問 上巻』 東洋学術出版社
『基礎からわかる漢文』 日栄社
『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門 』 講談社学術文庫

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

大原

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