下野です。

万病回春巻之一 万金一統の述の記事に参ります。
今回で六回目となりますが、
まだまだこの医学総論は続きます。


【原文】
脈者、天真委和之気也。
三部、寸関尺也。
九候者、浮中沈也。
五臓者、心肝脾肺腎也。
六腑者、胆胃大腸小腸膀胱三焦也。

左手寸口、心與小腸之脈所出、君火也。
左手関部、肝與胆之脈所出、風木也。
左手尺部、腎與膀胱之脈所出、寒水也。
右手寸口、肺與大腸之脈所出、燥金也。
右手関部、脾與胃之脈所出、湿土也。
右手尺部、命門與三焦之脈所出、相火也。

毎部中、各有浮中沈三候也。
三候三、而三之為九候也。
浮者、主皮膚、候表及腑也。
中者、主肌肉、以候胃気也。
沈者、主筋骨、候裡及臟也。

寸為陽、為上部、法天為心肺、
以應上焦、主心胸以上至頭之有疾也。
関為陰陽之中、為中部、法人為肝脾、
以應中焦、主膈以下至臍之有疾也。
尺為陰、為下部、法地為腎命、
以應下焦、主臍以下至足之有疾也。

<第七に続く>


【現代語訳・解説】
脈は天真委和の気である。
三部とは寸・関・尺を、
九候とは浮・中・沈を指している。
五臓者は、心・肝・脾・肺・腎・であり、
六腑者とは、胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦である。

左手寸口は、心・小腸の脈の出る所で、君火である。
左手関部は、肝・胆の脈の出る所で、風木である。
左手尺部は、腎・膀胱の脈の出る所で、寒水である。
右手寸口は、肺・大腸の脈の出る所で、燥金である。
右手関部は、脾・胃の脈の出る所で、湿土である。
右手尺部は、命門・三焦の脈の出る所で、相火である。

部中ごとに、浮・中・沈の三候があり、
三部にそれぞれ三候あるので合計九候となる。
浮は皮膚を主り、表及び腑をうかがう。
中は肌肉を主り、胃の気をうかがう。
沈は筋・骨を主り、裏及び臓をうかがう。

寸口は陽で上部であり、
天になぞらえ心肺、上焦に応じる。
胸から頭部にかけて病が有ることを主る。
関部は陰陽の中で中部であり、
人になぞらえ肝脾、中焦に応じる。
横隔膜から臍部にかけて病が有ることを主る。
尺部は陰で下部であり、
地になぞらえ腎命門、下焦に応じる。
臍部から足にかけて病が有ることを主る。

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ここでは脈(三部九候)について記載されている。

また両手の寸・関・尺に臓腑が配当されているが、
これは以前に難経の記事でも解説した
五行相生の法則より決められている。
(詳しくはこちら↓
【古医書】古医書を読み解く:『難経』第十八難①


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『基礎中医学』 燎原書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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