どうも、下野です。
今回も『難経』の記事ですが、
第八十一難ということで 今回が最終『難』となります。
第一難は2011年の2月16日にアップしておりましたので、
3年と2ヶ月くらいでしょうか。
まだまだ理解出来ない『難』がありますので、
これからも読み続けないといけませんし、
今回は東洋学術出版社の『難経解説』を元に記事を
書いてきましたが、
『難経』の書籍はまだまだ沢山あるようなので
探して 学んで参ります。

では第八一難の記事です。


【原文】
八十一難曰、
経言無実実虚虚、損不足而益有余、是寸口脈耶。
将病自有虚実耶。其損益奈何。

然。
是病、非謂寸口脈也、謂病自有虚実也。
仮令肝実而肺虚、肝者木也、肺者金也、
金木当更相平、当知金平木。
仮令肺実而肝虚、微少気、用針不補其肝、
而反重実其肺。故曰実実虚虚、損不足而益有余。
此者中工之所害也。


【現代語訳】
医学経典には、
「実を補すべからず、虚を瀉すべからず」と述べ、
「これは不足を損じ、有余を益している」と述べているが、
この虚実とは寸口の脈のことなのか、それとも病のことなのか。
補瀉の法とは、つまりはどういうものなのか。

答え。
これは病のことであり、寸口脈のことではない。
五臓の間における虚実を述べたものである。
例えば、肝が実し肺が虚している(肝実肺虚)の場合、
肝は木に、肺は金に属しており
金と木は互いに平衡にあるべきである。
その際は、金を補い木を平定する方法を用いる。
肺実にして肝が虚して少気のものに、
鍼を用いて肝を補わず、
かえって実している肺を補うことがある。
これは実を補して、虚を瀉すこととなり、
誤って不足を損じ、有余を益したことになる。
これは中程度の技術を持った者(中工)の
粗雑な治療が起こした誤治である。


【解説】
当難では、
虚証に瀉法を用い、実証に補法を用いるという
誤治について論じている。

実証には瀉法、虚証には補法が治療原則だが、
虚証に瀉法、実証に方法となると原則上の誤りとなり、
『黄帝内経 霊枢』九鍼十二原篇では
「無実無虚、損不足而益有余。是謂甚病、病益甚。」
(「実証には補ってはならず、虚証には瀉してはならない。
そのようにしてしまうと、不足を損ない有余を益すこととなり、
病を重くしてしまう。」)
と戒めている。

当難は『黄帝内経』に書かれている原則を元に、
肝実肺虚、肺実肝虚を例に挙げ
説明したものである。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here