下野です。

今年も桜の季節がやってきました。
まだ三分咲き?くらいですが、
これからどんどん気温の上昇とともに
咲いてくれるでしょう。

マンションから見える桜
マンションから見える桜

では『難経』に参ります。


【原文】
七十七難曰、
経言上工治未病、中工治已病者、
何謂也。

然。
所謂治未病者、
見肝之病、則知肝当伝之於脾、
故先実其脾気、無令得受肝之邪。
故曰治未病焉。
中工者、
見肝之病、不暁相伝、但一心治肝。
故曰治已病也。


【現代語訳】
医学経典では、
上工は未病を治し、
中工は現在出ている病だけをみて治す
と述べられているが、どういうことなのか。

答え。
未病を治すとは、
例えば肝に病があるとすると、
それが脾に伝わるであろうと考え、
脾土を充実させ、
脾が肝木に剋されないようにする。
これが上工が未病を治すということである。
中工の場合は、同じ肝病を見ても
その先 脾に伝わる事るということを知らないので、
肝だけを治そうとするのである。
これが已病を治すということである。


【解説】
当難では、上工、中工の治療技術を論じている。

先ず上工、中工とは、
以前に第十三難の記事
(こちら☞【古医書】古医書を読み解く:『難経』第十三難
に出てきた術者の技術の差を表す言葉で、
上工=上級の医者
中工=中級の医者
下工=下級の医者
と表現されている。

当難では、
五行の相剋の原理から、
上工は病の根本原因を把握し、
その後の伝変・進行を予測して、
早期の治療を行う事で病を予防する
=未病を治すとされている。

反って中工は
病を見ても、その後の伝変・進行を把握せず、
ひたすら現在の病のみを治そうとする
=已病を治すと表現されている。

当難に書かれている内容は
『黄帝内経霊枢』逆順篇
「上工、刺其未生者也。
其次、刺其未盛者也。
其次、刺其已衰者也。」
「すぐれた医者は、まだ病が発生していない時に刺す。
それに次ぐ者は、病が発生しているが、
邪気がまだ盛んでない時に刺す。
それに次ぐ者は、邪気がすでに衰えて、
正気が回復しようとする時に刺す。」
と記載されている。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経霊枢 下巻』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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