部屋を整理していると、懐かしい写真を見つけました。

少女の視線の先には…
少女の視線の先には…

数年前、とある場所で出会った少女。
なにかとても不機嫌な顔をしていたので その様子を伺っていると、
どうも母親が知人と立ち話をしていて、それに対して
不満を募らせていたようです。
その光景を目にしたとき、自分も母親が友人と立ち話をして、
なかなか目的地に行けなかったり、相手にしてもらえず不満に
思っていたことを思い出してしまい、少女の顔がだんだん
ふくれてきたのが なんだかなつかしくなり、一枚カシャッ!

こちらの事には気が付いていたようで、
この後は自転車で同じ所ををぐるぐると笑顔で回っていました。
今はいくつになっているのでしょうか?

 

では『難経』に参ります。


【原文】
「第四十六難」
四十六難曰、老人臥而不寐、少壮寐而不寤者、何也。

然。
経言少壮者、血気盛、肌肉滑、気道通、栄衛之行不失于常、故昼日精、夜不寤也。
老人血気衰、肌肉不滑、栄衛之道渋。故昼日不能精、夜不能寐也。
故知老人不得寐也。

「第四十七難」
四十七難曰、人面独能耐寒者、何也。

然。
人頭者、諸陽之会也。
諸陰脈皆至頸胸中而還、独諸陽脈皆上至頭耳。
故令面耐寒也。


【現代語訳】
「第四十六難」
老人は睡眠時に熟睡出来ないが、若い人達は熟睡して容易に目覚めないのは
どうしてなのか。

答え。
医学経典には、次のように述べられている。
若い人は血気盛んで、肌肉は潤沢、気道は通り営衛の循環は調節されている。
それ故に、昼間は精神が旺んで、逆に夜間は深く眠れ目覚めないのである。
反対に老人は血気が衰え、肌肉は潤沢ではなく、営衛の循環も失調します。
つまり若い人とは逆の状態となりますので、睡眠時に目が覚めてしまうのである。

「第四十七難」
人間の体の中で、顔面だけが寒さに耐えることが出来るが
どうしてなのか。

答え。
人の頭は諸陽(手足の三陽)が集まる場所である。
諸陰(手足の三陰)は皆、頚あるいは胸に至るのだが、
諸陽は皆、頭部まで至っている。
そのために、顔面部は寒さに耐えることが出来るのである。


【解説】
「第四十六難」
ここでは、若い人と老人による眠りの違いを論じている。

睡眠障害に関して、病理面でいえば
肉体的病変と精神的病変で発症をすると考えているが、
当難に出てくる「老人臥而不寐」とは病理的問題ではない
言っており、重要になってくるのが本文中の「栄衛之道渋」である。
営衛の失調に関しては『黄帝内経 霊枢』「大惑論篇」
「黄帝曰、病而不得臥者、何気使然
岐伯曰、衛気不得入於陰、常留於陽。留於陽則陽気満、
陽気満則陽蹻盛、不得入於陰、則陰気虚、故目不瞑矣。」
(「黄帝がいう。人が病んで安眠できない原因は何か。
岐伯がいう。それは衛気が陰分に入ることができず、
常に陽分に停滞するためである。陽分に停滞すると
陽気が充満し、その結果陽蹻脈を盛んにさせ、
陰分に入ることができず陰分が虚し、それで入眠することができない。」)
(『現代語訳 黄帝内経霊枢 下巻』 東洋学術出版社より)

と述べられている。
つまりは老人は若い人に比べ営衛の運行が失調しているために
安眠できないと言うわけである。

「第四十七難」
当難では、顔面部が寒さに耐えれる原理を論じている。

その理由は、手足の陽経が頭や顔に分布し、
経気が充ちているので寒さに耐えれるとされており、
このことは『黄帝内経 霊枢』「邪気蔵府病形篇」にも
「其気之津液皆上燻于面、而皮又厚、其肉堅。
故天気甚寒、不能勝之也。」
(「各種の気が化した津液は、皆上行して
顔面を燻発するので、顔面の皮膚は厚く、筋肉は堅実である。
そのため、極寒の中でも寒さに負けることなく順応できる。」)
(『現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社より)

と述べられている。


<参考文献>
『難経鉄鑑』 たにぐち書店
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経霊枢 上巻』 東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経霊枢 下巻』 東洋学術出版社

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

2 コメント

  1. ここは外国でしょうか??絵になる写真ですね。
    そうですね。よくよくありましたね。
    「ねえ〜おかあさん」と一生懸命母親に話しかけているのに
    無視・・か良くて「ちょっと待って」と言いながらお喋りに興じてしまう母親達。
    もう随分昔の話ですが娘の幼稚園の先生が私と話していても・・
    子供からの話しかけがあれば即時にきっぱり親との話を
    中断された態度に当たり前のことなのにプロを感じた事を想い出しました。
    下野先生、お子さんが出来たら(もうおられますか?)
    是非、木田恵子さんの本を読まれることをお薦めします。
    子育ての上でとても教えられた記憶があります。

    • もーちゃんさん

      僕はまだ子供はおりませんので、
      木田恵子さんの事は存じ上げませんでしたが、
      今回教えて頂きましたので頭の隅に置いておきます。
      ちなみに写真は仰る通り海外です♪

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