こんにちは、為沢です。
た…大変申し訳ございません。
私のミスで傷寒論 弁太陽病脈証并治(中)の
六十章・六十一章の解説ブログを更新し忘れ
〜 六十七章まで自然に紹介しておりました(汗)
遅ればせながら、こちらで御紹介させて頂きます。


弁太陽病脈証并治(中)六十章と六十一章。
六十章では誤治により表裏がどちらも虚になった場合の脈証について。
六十一章では下法を行ったあと、発汗法を行ったために、
真陽が尽きようとしている場合の証治について詳しく述べております。


弁太陽病脈証并治(中)
六十章

下之後、復發汗、必振寒、脉微細。所以然者、以内外俱虚故也。

 

和訓:
之を下して後、復た発汗すれば、必ず振寒し、脉微細ならん。
然る所以のものは、内外倶に虚するを以ての故なり。

 


下之後、復發汗、必振寒、脉微細。所以然者、以内外俱虚故也。
最初に下法を行ったあとに発汗法を行うということは順序が違ってくる。
下法によって陰気が傷つき、発汗法により陽気が傷つくので
表では陽虚となり分肉を温めることができなくなり、
振るえるような寒気を感じる。
また、裏では気血がともに虚すので、脈微細を示す。

提要:
誤治により表裏がどちらも虚になった場合の脈証について

訳:
攻下したあと、さらに発汗させると、
必ずや悪寒戦慄し、脈は微細となるだろう。
そのようになるのは、
誤治によって内外表裏が巳に虚してしまったからだ。


六十一章

下之後、復發汗、昼日煩燥不得眠、夜而安静、
不嘔、不渇、無表証、脉沈微、身無大熱者、
乾薑附子湯主之。方二十四。
乾薑一兩 附子一枚、生用、去皮、切八片
右二味、以水三升、煮取一升、去滓、頓服。 和訓:
之を下して後、復た発汗し、
昼日には煩燥して眠るを得ず、夜には而るに安静に、
嘔せず、渇せず、表証なく、脉沈微に、
身に大熱なきものは、乾薑附子湯之を主る。方二十四。
乾薑一兩 附子一枚、生で用う、皮を去る、八片に切る
右二味、水三升を以て、煮て一升を取り、滓を去り、頓服す。


下之後、復發汗、昼日煩燥不得眠、夜而安静
「煩燥」というのは陽虚のことである。
太陽病を誤って下法を行えば、
太陽と表裏関係にある少陰腎の陽気は虚となり
さらに発汗法を行えば表の陽気も虚となる。
昼間は陽が盛んになるので陽虚が尚、陰邪と争うことができ、
昼間煩燥して眠くないのだが、夜間になると陰気が盛んで、
陽気が虚しているため争うことができない。
故に、夜間は比較的症状が落ち着いている。

不嘔、不渇、無表証、脉沈微、身無大熱者、乾薑附子湯主之
嘔せず、渇っせずは病が少陽と陽明にないことがわかる。
しかも表証はなく、病が太陽にないこともわかる。
脈は沈微。沈は裏を候うし、微は陽気が不足しているのがわかる。
陽気が非常に衰えているから、身に大熱はなく陽気が失われんとする。
この場合、乾薑附子湯でもって、陽気を急速に回復すべきである。

乾薑附子湯

方義

乾薑
乾薑

乾薑
基原:ショウガ科のショウガの根茎を乾燥したもの。
古くは皮を去り水でさらした後に晒乾した。
乾姜は生姜を乾燥させてもので辛散の性質が弱まって
辛熱燥烈の性質が増強され、
無毒であり、温中散寒の主薬であるとともに、
回陽通脈・燥湿消痰の効能をもつ。
陰寒内盛・陽衰欲脱の肢冷脈微、
脾胃虚寒の食少不運・脘腹冷痛・吐瀉冷痢、
肺寒痰飲の喘咳、風寒湿痺の肢節冷痛などに適し、
乾姜は主に脾胃に入り温中寒散する。

附子
附子

附子
基原:キンポウゲ科のカラトリカブト。
その他の同属植物の子根。
加工・炮製して利用することが多い。

附子は辛熱壮烈であり、
「走きて守らず」で十二経を通じ、
下焦の元陽(命火)を峻補して裏の寒湿を除き、
皮毛に外達して表の風寒を散じる。
それゆえ亡陽欲脱の身冷肢冷・大汗淋漓・
吐利不止・脈微欲絶などには回陽救逆し、
腎陽不足の陽痿滑精・腰膝冷弱には補火壮陽し、
脾腎陽虚・陰寒内盛の心腹冷痛・吐瀉転筋には温裏散寒し、
陽虚不化水湿の身面浮腫・
腰以下腫甚には助陽行水して冷湿を除き、
風寒湿痺の疼痛麻木には祛風散寒止痛し、
陽気不足の外感風寒で悪寒発熱・脈沈を呈するときは助陽発表する。
このほか、補益薬と用いると
一切の内傷不足・陽気衰弱に使用できる。

乾薑附子湯について
乾薑と附子という大辛大熱の二味の生薬を用いて、
消滅しようとしている脾と腎の陽気を急速に回復させる処方。
その作用の強さは、回陽救逆の代表処方とされる四逆湯と比べても
まず緩和作用のある甘草を用いず、また附子は最も作用の強い生附子を用いることや
さらに全量を一回に頓服させることによって薬力を集中し、
強力に発揮させるようにしている点が特徴的である。

 

提要:
下法を行ったあと、発汗法を行ったために、真陽が尽きようとしている場合の証治について


攻下したあと、さらに発汗させた結果、日中は煩燥して安眠できず、
夜間は日中よりは安らかで、嘔吐せず、口渇せず、そして表証もなく、
脈象は沈微で、身体の熱もそれ程激しくない状態になった場合は、
乾薑附子湯で治療しなければならない。処方を記載。第二十四法。

乾薑一兩 附子一個、生で用いる、皮を除く、八片に割る
右の二味を、三升の水で、一升になるまで煮て、滓を除き、頓服する。

 


参考文献:
『現代語訳 宋本傷寒論』
『中国傷寒論解説』
『傷寒論を読もう』
『中医基本用語辞典』     東洋学術出版社
『傷寒論演習』
『傷寒論鍼灸配穴選注』 緑書房
『増補 傷寒論真髄』  績文堂
『中医臨床家のための中薬学』
『中医臨床家のための方剤学』 医歯薬出版株式会社
生薬イメージ画像:
『中医臨床家のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみてあげて下さい。

追記:更新忘れてすみませんでした!

為沢

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