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こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第七章「論諸痛不宜補氣」の其の三です。



和訓:
是れ以て治は表虚で痛む者は、陽不足なり、温経に非ずば不可なり。
裏虚で痛む者、養栄に非ずば不可なり。
上虚にして痛む者は心脾の受傷せるなり、補中に非ずば不可なり。
下虚にして痛む者は、脱泄亡陰なり、
速やかに脾腎を救い命門を温補するに非ずば不可なり。
凡そ諸痛の虚に属する者は、以て補わざる可からざるなり。
通ずれば則ち痛まずと曰うこと有り、
又 痛みは利に随って減るとも曰う。
人は皆以て不易の法と為すも、
此は実痛を治す者の為に言いしとは知らざるなり。
故に王海蔵は痛利の二字を解くに、
利を以て下と為す可からず、通の字と作して訓むが宜しとす。
此の説は甚だ善し。明哲なる丹溪の如き徒の、
諸痛は補気す可からずと曰いしは則ち失まてり。


・表虚で痛む者=陽虚であるから温補が必要

・裏虚で痛む者=陰虚であるから栄を養わなければならない

・上虚で痛む者=心脾が損傷を受けているので補中しなければならない

・下虚で痛む者=正氣が脱泄し陰が失われているので
脾腎を速やかに救い、命門を温補する必要がある。

「通じれば則ち痛まず」「痛みは随って減る」
というように言われて皆これを不易の法だと順守しているが、
これらは実痛の治法について述べたものでしかないことを
理解していないのである。

・王海蔵は「痛利」の二字について
「利」を「下」と解釈すべきでなく、「通」の意に取るべきだとしているが、
この説は非常に良いものである。

・明哲な朱丹溪のような方が
「諸痛は補気すべからず」といったものは錯誤である。


朱震亭『中国医学の歴史』より
朱震亭『中国医学の歴史』より

朱丹溪朱震亭しゅしんこう 1281年〜1358年)
生涯、丹溪の辺りに住んでいたため、
朱丹溪しゅたんけいと呼ばれていた。
学説の基本は「相火論」を基礎にした
陽は常に余りあり、陰は常に不足す
との考え方におかれている。

主な著書
『格致余論』『局方発揮』
『傷寒弁疑』『本草衍義補遺』
『外科精要発揮』『金匱鈎元』
『丹溪心法』『丹溪心法附余』


王好古
王好古

王海蔵王好古おうこうこ  1200年頃〜1264年頃)
字を進之、号を海蔵老人と称する。元代趙州の人。
先に張元素を師とし、のち李杲を師と仰ぎ、
張仲景の学説を崇拝し、
傷寒は古今の一大病と為す。
陰証一節人を害することもっとも速し

特に傷寒陰証の研究に力を注いだ。

主な著書
『陰証略例』『医塁元戒』
『湯液本草』『此事難知』
『斑論萃英』『伊尹湯液仲景広為大法』
『活人節要歌活』『仲景詳弁』


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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