こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第四章「論肝無補法」の其の二です。



和訓:
肝血不足すれば則ち筋攣と爲り、角弓と爲り、
抽搐と爲り、爪枯と爲り、目眩と爲り、
頭痛と爲り、脇肋痛と爲り、少陽痛と爲り、疝痛諸症と爲り。
凡そ此れら皆な肝血の栄えざるものなり、而して以て補わざるべきや。
然るに肝血を補うは又腎水を滋すに如く莫し。
水は木の母なり、母旺なれば則ち子も強し、是れ以て當に化源を滋す。
若し肝補法無法と謂いて肝の病を見る者は、尽く伐肝を以て事と爲せば、
愈よ疏となり愈よ虚となりて、病は言うに勝ゆべからざるもの有らん。
故に肝に補法無しと言うは、肝気の補うべからざるを以てなり
而して肝血の補うべからざるを謂うに非らざるなり。


・肝血不足によって、筋肉の痙攣、角弓反張、抽搐(ひきつけ)、
爪の枯燥、めまい、頭痛、脇肋痛、少復痛、疝痛(発作性腹痛)などの
諸症状が起こるのである。
このような病証はすべて肝血の不足があるのに
どうして補ってはいけないといえるのであろうか?

・肝血を補うのには腎水を滋養するのが最も良い方法である。
五行論でいえば水は木の母であって、腎水を滋養することは
母を旺んにすることであり、母が旺んになると、
その子である肝も強くなるのである。
そのような考え方から当然、水の化源である
腎水を滋養しなければならない。

・もし”肝に補法無し”という考え方で肝の病を治療するのに
全て伐肝(疏肝解鬱)の方法を用いたら、
肝の血虚により諸症はますます疏となり虚となって、
病はどうなるか分かったものではない。
”肝に補法無し”というのは肝気は補ってはいけないと言っているのであって、
決して肝血を補ってはいけないと言っているのではない。


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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