<相談会の開催お知らせ>
学生さんや鍼灸師を目指す方、
お待ちしてます!!!

【対象者】学生、この業界を目指す方
(※免許を取得し鍼灸師になった方は今回はご遠慮頂いております)

【日時】2017/03/12(日) 15:00~18:00

【費用】一人3,000円

詳しくはこちらの記事をご参照ください。
https://www.1sshindo.com/blog/zenith13539/


月

もう2月も終わりです。
となれば、国家試験も間近ですね。
受験なさる学生さんは
体調だけは崩さぬよう気を付けて下さい。

では『諸病の主薬』の記事に参ります。


【原文】
泄瀉、須用白朮、茯苓、為主。
水瀉、須用滑石、為主。
久瀉、須用訶子、肉豆蒄、為主。
霍乱、須用藿香、半夏、為主。
嘔吐、須用姜汁、半夏、為主。
欬逆、須用柿蒂、為主。
呑酸、須用蒼朮、神麴、為主。

<第十四に続く>


【解説】
泄瀉には、白朮、茯苓を使用すべし。

水瀉(水を注ぐような激しい下痢)には、滑石を使用すべし。

慢性の泄瀉には、訶子、肉豆蒄を使用すべし。

霍乱(日射病)には、藿香、半夏を使用すべし。

嘔吐には、姜汁、半夏を使用すべし。

咳喘気逆には、柿蒂を使用すべし。

呑酸には、蒼朮、神麴を使用すべし。

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白朮びゃくじゅつ

白朮
白朮

キク科のオオバナオケラの根茎。
性味:甘・苦・温
帰経:脾・胃
効能:
①健脾益気
・脾気虚による食欲不振・泥状便・水様便・腹満・倦怠無力感。
方剤例 → 四君子湯・参苓白朮散。
・虚寒の腹痛や冷えに。
方剤例 → 理中湯・附子理中湯。
・脾虚に積滞があり、腹満や腹痛に。
方剤例 → 香砂枳朮丸。

②燥湿利水
・脾虚で水湿が停滞したための浮腫・尿量減少・泥状便・水様便などに。
方剤例 → 防已黄耆湯・啓脾湯。
・虚寒の冷えや寒がるを伴うときに。
方剤例 → 実脾湯・真武湯。
・水飲の滞りによるふらつきやめまいに。
方剤例 → 苓桂朮甘湯。
・湿困脾陽の腹満や下痢に。
方剤例 → 四苓散・五苓散・胃苓湯。

③固表止汗
・表虚の自汗に。
方剤例 → 玉屏風散。

④安胎
・胎動不安・妊娠中の腹痛・性器出血など。

⑤その他
・風湿痺の関節痛に。

茯苓ぶくりょう

茯苓
茯苓

サルノコシカケ科のマツホドの外層を除いた菌核。
性味:甘・淡・平
帰経:心・脾・肺・腎・胃
効能:
①利水滲湿
・水湿停滞の尿量減少や浮腫に。
方剤例 → 四苓散・五苓散。

②健脾補中
・脾虚の食欲不振や元気がない、腹鳴、水様便などに。
方剤例 → 四君子湯・啓脾湯・参苓白朮散。
・脾虚の水湿停滞で悪心や嘔吐、めまいなどに。
方剤例 → 二陳湯・半夏白朮天麻湯・六君子湯・小半夏加茯苓湯。

③寧心安神
・心神不寧の不眠や動悸などに。
方剤例 → 帰脾湯・安神定志丸。

滑石かっせき

加水ハロサイトを正品とする。
性味:甘・寒
帰経:肺・胃・膀胱
効能:
①利水通淋・止瀉
・湿熱蘊結の熱淋・石淋・血淋の排尿困難や排尿痛に。
方剤例 → 八正散・二金排石湯。
・湿熱の下痢、腹痛に。
方剤例 → 三加減正気散・猪苓湯・黄笒滑石湯。

②清熱解暑
・暑邪の発熱や口渇、下痢等に。
方剤例 → 六一散。
・暑温や湿温の発熱や頭重、身体がだるい、悪心、下痢等に。
方剤例 → 三仁湯・甘露消毒丹・杏仁滑石湯。

③除湿斂瘡
・湿疹や湿瘡、汗疹に。

訶子かし

シクシン科のミロバランの果実。
性味:苦・酸・渋・平
帰経:肺・大腸
効能:
①渋腸止瀉
・寒熱の問わない慢性下痢に。
方剤例 →訶子散
・虚寒の慢性泥状~水様便や脱肛に。
方剤例 → 訶子皮散

②斂肺下気開音
・肺虚の呼吸困難や咳嗽、嗄声、失音に。
方剤例 → 訶子湯・訶子飲・訶子清音湯
・痰火鬱肺の咳嗽や失音などに。
方剤例 → 訶黎勒丸

③その他
・性器出血や帯下、頻尿に。

肉豆蔻にくずく

ニクズク科ニクズクの成熟した種子から
種皮を除いたもの。
性味:辛・温
帰経:脾・胃・大腸
効能:
①渋腸止瀉
・脾虚寒による慢性泥状~水様便、脱肛に。
方剤例 → 養臓湯
・脾腎虚寒の五更泄瀉に。
方剤例 → 四神丸

②温中行気
・脾胃虚寒の気滞による腹痛や腹満、嘔吐に。
方剤例 → 肉豆蔻丸

藿香かっこう

シソ科のパチョリの全草、葉。
性味:辛・微温
帰経:肺・脾・胃
効能
①発表解暑
・なまものや冷たいものを摂取して
湿困脾胃を生じ、同時に風寒の邪を外感した悪寒・発熱・悪心・嘔吐等に。
方剤例 → 藿香正気散。

②化湿止嘔
・寒湿内阻の心窩部の痞え・悪心・嘔吐等に。
方剤例 → 藿香半夏湯。
・湿困脾胃の悪心・嘔吐・下痢等に。
方剤例 →不換金正気散。
・湿温初期の悪寒・発熱・体が重い・泥状便等に。
方剤例 → 藿朴夏苓湯。

③行気止痛
・脾胃気滞の脹満・腹痛に。

半夏はんげ

半夏
半夏

サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。
性味:辛・温・有毒
帰経:脾・胃
効能:
①燥湿化痰
・湿痰の咳嗽や痰が多い、胸苦しいなどに。
又は痰濁のめまいや動悸、不眠症などに。
方剤例 → 二陳湯・半夏白朮天麻湯。
・上記に熱証を伴うもの。
方剤例 → 温胆湯・清気化痰丸。
・風痰による嘔吐、頭痛、めまいなどに。
方剤例 → 玉壺丸・青州白丸子。

②降逆止嘔
・胃寒や痰飲の嘔吐に。
方剤例 → 小半夏湯・小半夏加茯苓湯。
・胃虚の嘔吐に。
方剤例 → 大半夏湯・乾姜人参半夏丸。
・胃熱の嘔吐に。
方剤例 → 黄連橘皮竹筎半夏湯・温胆湯。

③消痞散結
・痰熱の心窩部の痞えに。
方剤例 → 半夏瀉心湯。
・痰熱の小結胸で心窩部に圧痛があるときに。
方剤例 → 小陥胸湯。

④その他
・老人の虚秘に。
方剤例 → 半硫丸。
・生半夏を、皮膚化膿症に用いる。

姜汁きょうじゅう

生姜をすり下ろしたり、砕いた搾り汁。
性味:辛・微温
効能:
・中風痰迷の牙関緊急や意識消失、嘔吐に。

柿蒂してい

カキノキ科カキの果蒂。
性味:苦・渋・平
帰経:胃
効能:
①降気止凉
・胃寒のしゃっくりに。
方剤例 → 柿蒂散・丁香柿蒂散。
・胃熱のしゃっくりに。
方剤例 → 竹筎黄連柿蒂散。
・気虚のしゃっくりに。
方剤例 → 柿銭散。
・陽虚のしゃっくりに。
方剤例 → 丁附柿蒂散。

蒼朮そうじゅつ

キク科のホソバオケラ、
もしくはシナオケラの根茎。
性味:辛・苦・温
帰経:脾・胃
効能:
①祛風除湿
・風湿痺、寒湿痺の関節痛や肢体の痛みに。
方剤例 → 二朮湯・桂枝加朮附湯。
・湿熱痺の関節痛や腫れ、熱感に。
方剤例 → 二妙散・三妙丸。

②燥湿健脾
・湿困脾胃の腹満や胸苦しい、悪心嘔吐、下痢などに。
方剤例 → 平胃散・胃苓湯。

③散寒解表
・外感風寒の頭痛や発熱、無汗、悪寒などに。
方剤例 → 神朮散。

④除障明目
・夜盲や角膜混濁、白内障などに。
方剤例 → 蒼朮丸。

神麹しんきく

米や小麦を酵母菌で発酵させたもの。
一般的に麹(こうじ)と呼ばれている。
性味:辛・甘・温
帰経:脾・胃
効能:
①消食和胃
・飲食積滞の腹満や、腐臭を伴う曖気・腹痛・下痢に。
方剤例 → 保和丸・麹麦枳朮丸。

②その他
・消化しにくい鉱石類を含んだ丸剤に。
方剤例 → 磁朱丸・万氏牛黄清心丸。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『本草綱目』 国立国会図書館デジタルコレクション
『東方栄養新書』 メディカルユーコン

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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