【週2日程度の研修生募集中】
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秋晴れ(緑地公園にて)
秋晴れ(緑地公園にて)

こんにちは、大原です。

前回の続きです。
前回は清肺湯の出典もとである
「万病回春」の解説をもとに
清肺湯の加減法の、
はじめの一部をみていきました。

(はじめから抜粋)
一切の咳嗽、上焦に痰盛んなるを治す。
桔梗、茯苓、陳皮、桑白皮、貝母、当帰、天文冬、麦文冬、杏仁、山梔山梔子さんしし)、
五味子、甘草、黄芩。
右刻み一剤。生姜、棗子を煎じて食後に服す。

淡吐けども出でざるには、
瓜蔞かろう枳実きじつ竹瀝ちくれきを加え、五味子ごみしを去る。
(前回はここまで)

その後の続きを、みていきましょう。

咳嗽、喘急には、
蘇子そし竹瀝ちくれきを加え、桔梗を去る。

(訳:咳嗽(せき)や急な呼吸困難には
蘇子そし竹瀝ちくれきを加え、桔梗を除いたものを用いる。)

さて、加えるべきとある蘇子、竹瀝ちくれき
、また、
取り除くべき桔梗について調べてみましょう。

蘇子そし
性味:辛、温
帰経:肺・大腸
効能:①下気消痰・止咳平喘、②寛腸潤燥
注意:耗気滑腸するので、気虚の久咳・脾虚の泥状便には使用しない。

竹瀝ちくれき
性味:甘、寒
帰経:心・肺・胃
効能:①清熱滌痰・定驚透絡
注意:寒性で傷胃滑腸するので、寒痰や脾虚の泥状便には使用しない。

桔梗ききょう
性味:苦・辛、平
帰経:肺
効能:①宣肺祛痰、②排膿消腫、ほか
注意:開泄宣散に働くので、陰虚久咳や咳血には使用しない。

さて、ここで一つ疑問が生まれます。
蘇子や竹瀝、桔梗はどれも
「帰経」に「肺」を含んでいることから
この3つは肺の働きを整える作用があるといえます。
ですが、「桔梗は除く」とあります。
これはなぜなのでしょうか??

桔梗の効能の中に「宣肺」とあります。
これは肺の作用の一つ「宣発」を促すということです。

肺の「宣発」とは
外向き、上向きに宣通し布散すること」と
基礎の中医学書にあります。
言い換えると呼気によって体表に
津液・汗などの水液を到達させることのようです。

ここで、条件として、
咳嗽、急喘がおこった場合を考えていますが、
急喘」とは、多くは外邪や痰飲などの邪実が
肺気を襲ったもの考えられます。
これを「実喘」ともいいます。
(これに対して、
主に臓腑の虚からくる喘を「虚喘」というようです。)

肺気を襲っている邪実が存在する場合、
その邪実を取り除くことが必要で、
肺気を高めて宣発させることは、
邪実が存在している場合には
嬌臓である肺に負担がかかってしまうのではないでしょうか。

また、宣発によって胸膈や皮毛が開きますが、
邪実が入り混んでしまう可能性もあるのかも知れません。

すなわち、咳嗽などの症状が
悪化してしまうと考えたのではないかと思います。

邪実が肺気の宣発を妨げているということで、
この場合は痰飲を取り除く蘇子、竹瀝を加え、
肺の宣発によって痰を取り除く桔梗は
副作用をもたらす可能性があるために
省いたということだと思います。

薬草ごとの、痰の取り除き方の違いを
古人はしっかりと考察されていたのですね。


参考文献:
『中医臨床のための方剤学』 東洋学術出版社
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社

『万病回春解説』 創元社
『基礎中医学』 燎原

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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