下野です。
今回は久しぶりになります
「薬性の歌」の記事になります。


【原文】
紫草苦寒、能通九竅、利水消膨、痘疹最要。
地膚子寒、去膀胱熱、皮膚瘙癢、除熱甚捷。
練根寒性、能追諸蟲、疼痛一止、積聚立通。
樗根味苦、瀉痢帯崩、腸風痔漏、燥湿渋精。
沢蘭甘苦、癰腫能消、打撲傷損、肢体虚浮。

<第三十四に続く>


【解説】
紫草は苦寒。
*九竅を通じさせ、
利水して膨を消す。
天然痘に最も適している。
*体にある九つの穴。両眼・両耳・両鼻孔・口・尿道口・肛門。

地膚子は寒。
膀胱の熱を去り、
皮膚の瘙癢にも用いる。
熱をすみやかに除く。

蓮根の性は寒。
諸虫を追う効能があり、
疼痛が止み、積聚を通す。

樗根は味苦。
瀉痢や帯崩、腸風、痔漏に。
湿を乾燥させ、精気を渋らす。

沢蘭は甘苦。
癰腫を治すのにすぐれており、
打撲損傷や手足の浮腫に。

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◉紫草

ムラサキ科ムラサキの根部。
性味:甘・鹹・寒
帰経:心・肝
効能:
①涼血活血・解毒透疹
・血熱毒盛で班疹が透出しないときに。
方剤例 → 当帰紅花散・紫草快班湯。
・先述の症状に、咽痛があるものに。
方剤例 → 紫草消毒飲。
・麻疹の予防、症状の軽減に。
・皮膚科化膿症や潰瘍、皮膚炎などに。
方剤例 → 生肌玉紅膏。

②利小便滑腸
・血熱毒盛の排尿障害や排尿痛、便秘に。

 

 

◉地膚子

アカザ科ホウキギの成熟した果実。
性味:辛・苦・寒
帰経:腎・膀胱
効能:
①清湿熱・利小便
・湿熱下注膀胱の排尿困難や排尿時痛に。
方剤例 → 地膚子湯。

②袪風止痒
・皮膚の痒みや湿疹、蕁麻疹に。
・膣炎や外陰部炎の痒みに。

 

◉藕節(蓮根)

スイレン科ハスの茎の節部。
性味:渋・平
帰経:肝・肺・胃・膀胱
効能:
①収渋止血・涼血化瘀
・吐血や喀血、鼻血、性器出血等に。
方剤例 → 双荷散。

 

 

◉樗根

二ガキ科シンジュ、
もしくはセンダン科チャンチンの根皮。
性味:苦・渋・寒
帰経:胃・大腸・肝
効能:
①清熱燥湿・止帯・止瀉
・湿熱の帯下に。
方剤例 → 樗樹根丸・愈帯丸。
・湿熱の下痢に。

②渋腸止瀉
・慢性の下痢や軟便、泥状便に。
方剤例 → 脾胃湯。

③固下止血
・血熱の月経過多、不正性器出血に。
方剤例 → 固経丸。
・血便に。

④その他
・湿疹に。

 

 

◉沢蘭

シソ科シロネの全草。
性味:苦・辛・微温
帰経:肝・脾・腎
効能:
①活血祛瘀
・血瘀の無月経や月経痛、月経不順に。
また産後瘀阻の腹痛に。
方剤例 → 沢蘭湯。
・打撲外傷の内出血による腫れや痛みに。
・皮膚化膿症に。

②利水退腫
・産後浮腫や血虚浮腫に。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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